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Milky Way Library
Milky Way Library(https://club.brokore.com/sunjyon)
「Hotelier」にインスパイアされた創作(written by orionn222)の世界です
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D&J


こちらは、ドンヒョク&ジニョンを中心としたお話の部屋です。
私なりに想像した二人のその後・・・というお話になります。 婚約時代から、結婚後、ファミリーのお話・・・とありますが、時系列がばらばらだったりして、読みにくい一面もあると思いますが、よろしければお付き合いくださいませ。
No 323 HIT数 1255
日付 2009/03/06 ハンドルネーム Library Staff
タイトル 難破船のマーメイド
本文
『難破船のマーメイド』




送信    ソ・ジニョン
受信    シン・ドンヒョク
件名    ドンヒョクssiへ・・


このメールを読む時、ドンヒョクssiはもうアメリカにいるのでしょうね。
ごめんなさい、ドンヒョクssi・・・
今、私に言える事はそれだけのような気がします。

あんなにたくさんのメールをいただきながら、気がつかず、ごめんなさい。

もう、二度と一人にはしない、ずっと一緒にいると約束したのに、守れなくてごめんなさい。

ソウルホテルを助けるために、全てをかけてくれたドンヒョクssiを、一人でアメリカに帰してしまって、ごめんなさい。

一緒に行けなくて、ごめんなさい。
ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・
こんな事しか言えず、ごめんなさい・・・

今は、ホテルを離れることが出来ないと言った私の言葉を、ドンヒョクssiがどんな想いで聞いていたのか・・
あのたくさんのメールを見て、ようやく、私にもわかりました。

実は、ドンヒョクssiからの最後のメールを見て、私は空港へ行きました。
ドンヒョクssiから渡されたチケットだけを手にして・・・

制服のままで、仕事を放り出して、ヨンジェssiまで巻き込んで・・・・
あの一瞬は、ドンヒョクssiの事しか頭にありませんでした。

ドンヒョクssiと一緒に行きたい。
そう願った気持ちに嘘はありません。

でも・・・やっぱり、これは言い訳ね

自分の都合のいいように、勝手な事を言っているだけ。
だって、結局行けなかった・・・
でも、ドンヒョクssi・・・

身勝手だってわかっています。
自分勝手で、わがままで、欲張りで、優柔不断で・・・よくわかっているわ。

でも、あの時、私の心の半分はドンヒョクssiと一緒にアメリカへ行ったと思ってはもらえませんか?

そして、ドンヒョクssiの心の半分は、私のところにある。

だって、半身ってそういう事でしょう?
でも・・・これも、勝手な言い分かしら・・・

私達の心が再び一つになるその日まで・・
ドンヒョクssiの言うように、一緒にその日を待ちたいと思います。
そんな日が来る事を、今度こそ約束します。

私たちが一緒になれるその日のために、私は、また明日からを生きていこうと思っています。



「もしもし・・・」
「ジニョンssi?」
「ええ・・ドンヒョクssi・」


あの・・・遅くにごめんなさい。今、大丈夫?
ああ・・・さっき帰ってきたところなんだ。ジニョンssiは、今日は仕事じゃなかったの?

今日はお休みだったの。久しぶりの・・・
そう。何をしていたの?

何って・・・特になにも・・・お掃除したり、洗濯したり・・・
でもジェニーがいつもちゃんとしてくれているから、特にすることはなかったわ・・・
ドンヒョクssiは、お休みはないの?

当分はね・・・もっとも、休みがあっても、意味はないな。ジニョンssiがいないんじゃ・・
ドンヒョクssi・・ごめんなさい・・

また、謝ったね。もう「ごめんなさい」は言わない約束だろう?
ごめんさない。そうだったわね。

また、言っているよ、ジニョンssi・・
ドンヒョクssi・・・・あの・・・

何?
ううん。なんでもない。あの・・・明日も早いんでしょう?

明日はちょっとNYを離れるよ。
そうなの。それじゃ、もう寝てね。疲れているでしょう?

ジニョンssiの声を聞いたら、元気になったよ。ありがとう。
また、電話するわね。今日はドンヒョクssiが先に切って・・

いいよ。ジニョンssiから切って・・・
ドンヒョクssi・・・そ、それじゃ、切るわね。おやすみなさい、ドンヒョクssi、ゆっくり休んでね。

ありがとう。おやすみ。ジニョンssi・・



送信    ソ・ジニョン
受信    シン・ドンヒョク
件名    元気ですか?


ドンヒョクssi、元気ですか?
お仕事が忙しいのでしょうね。

今はどこにいるのでしょう?NY?ラスベガス?それともLA?

お仕事の事は、よくわからないけれど・・

電話もメールも届かないような所ですか?
それとも、時間がないのでしょうか?

それとも・・・

This message was not delivered



夢を見た。

暗い暗い海の真ん中で、難破船の上で途方に暮れる私は、迷子の人魚だった。
ひどく頼りなくて、心細くて、どこへ行けばいいのかわからない迷子のマーメイド。

自分の居場所がわからない。
そして、目指した陸の方向も、帰るべき海の場所も・・


ドンヒョクssiがアメリカに戻ってからの毎日。
ただ、起きて、食べて、ホテルへ行って、仕事して、眠って・・
その繰り返し・・

まるで、ノルマのようにこなす毎日。
なんだか、現実味のない日々。
何をしても、心が動かず、何を食べても味がわからない。
生きているという確かな実感がなかった。

私の中の時間は止まったまま。
ドンヒョクssiと別れたあの時に・・

立ち止まって立ちすくむ私の周りを、皆が足早に追い抜いてゆく。
そんな毎日・・・

たった一つの実感はドンヒョクssiとのメールや電話
それが、私をなんとか繋ぎとめている。

ドンヒョクssiはいつも優しい。
私を責めるような事は、一言も言わない。
それが、かえって私の胸を苦しくさせる。

あの夢に出てきた人魚姫・・・
愛のために全てを捧げたマーメイド

私のドンヒョクssiへの愛は?

結局、ホテルを離れる事ができずにドンヒョクssiを傷つけた。
もう、二度と一人にしないと約束したのに・・

あの人魚姫のような・・・・
声を失い、一歩歩くごとに、激しい痛みを感じながらも、ただ会いたいと願う気持ち
たとえ、その想いが叶わないとわかっていても、止められない気持ち。
一途で揺ぎ無い気持ち

そして、最後には自分の命を失っても願った、愛する人の幸せ

その覚悟が私にはある?

「僕たちの愛が試される時・・」
ドンヒョクssiはそう言った。

今、試されているのは、それぞれの愛

生涯で一度のタイミングを逃してしまったのかしら・・・
いつも遅刻ばかりしていた私
もしかして、人生最大の遅刻をしてしまったのかしら・・

このまま私たちはどこへ向かっていくの?
そっと左手に問いかけてみるけれど・・
薬指のリングは硬質の輝きを放っただけで答えてはくれない。

聞くのが怖いの・・
もしも、貴方の口から別れの言葉が出てきたら、この先、一生独りで生きてゆける自信がない。

テジュンssiの時とは違う・・
あの時は、仕事があった。
仕事だけは、私を裏切らない。
そう思って生きていたあの頃の私

それに、仕事はある意味とてもわかりやすい。
やったらやっただけの答えが返ってくる。
そう、ホテリアーという仕事は私の生き甲斐だった。

でも、今度は違う。

ドンヒョクssiは私の心まで持って行ってしまった。
二人で一つだった心では、なにもかも半分に感じる。

ねぇ、ジェニー
貴方はそうやって笑うけれど、本当はとっても不安なのよ。

もう、1週間も連絡がないの・・
でも、ジェニーに連絡があるという事は、事故や病気という事じゃなく、元気にしているのよね。

それなのに、私には電話もメールもこないのは、どういうわけ?


とうとう愛想をつかされてしまったのかしら・・
離れているのは、体だけじゃなく、心まで遠くなってしまったの?
自業自得とわかっていても、やっぱり私はドンヒョクssiが好き。

あの時、もし、空港で間に合っていたら・・
もし、ドンヒョクssiに会えていたら・・・

人生には決してない「if」を何度も繰り返す。

そして、even if ・・・
たとえ、そうであっても・・・

気がつけば、いつもドンヒョクssiの事を考えている。

あのカサブランカで、あの屋上で・・
もしかしたら、あの螺旋階段をドンヒョクssiが上ってくるかもしれない。
そして、いつかのように私の腕をつかんで引き寄せて、私の涙をぬぐってくれるかもしれない。
あの柱の向こうに、今にも貴方の影が現れそうで・・・


貴方の胸に抱かれてキスをしたのは、もうずいぶん前のことなのね
あの屋上で、肩を抱かれて見下ろした漢江の流れ・・
澄み切った青空と、貴方の笑顔
そこだけが切り取られて、今も私の手の中にある。

二人でとったプリクラの中で、貴方は私を見つめていた。

ねぇ、ドンヒョクssi・・・

今でも私を見てくれていますか?
私だけを想ってくれていますか?

それとも・・・


そう・・・・不安で不安で、たまらないの。
お守りのように、薬指のリングに触れてみるけれど・・

どうやら、私、人魚姫にはなれそうもない

誰にも貴方を渡したくない。
遠くから貴方の幸せを願うなんて、できそうもないわ。
海の泡と消えても貴方が欲しい。

あの指で誰かに触れないで。
あの胸に誰かを抱かないで。
あの唇で誰かにキスしないで

夜ごと募る想い・・

それなのに・・・


私に何が言えるのだろう・・

あんなに愛を捧げてくれたドンヒョクssiを・・・ドンヒョクssiの愛だけを選ぶ事ができなかった。

今まで私を支えてくれた多くの人たち・・・
ソウルホテルの社長や、テジュンssiや仲間のホテリアーたち・・
全てを捨てて、ドンヒョクssiの愛だけに走れなかった。

これは、ホテルも、愛も何もかも・・望んでしまった欲張りな私に下された神様からの罰かしら?

本当に大切なものは、失ってみてはじめてわかるのかもしれない。
愛だけを選べなかった私・・
でも、愛がなければ生きてはいけない。


難破船のマーメイド

目指すべき場所がわからない。
ただ波に漂って、失くした愛を数えている。

愛で光を灯して、どうか私を導いて・・
ほんの僅かな光でも、見つけたら泳いでいくから・・
どんな嵐の海でも、高い波でも、雨の夜でも・・・

光の中で、貴方の胸に抱きしめられたい。
もう二度と離れないと、今度こそ誓うから。

もう一度、あの指で私に触れて、あの胸に抱きしめて、あの声で囁いて欲しい

「僕はもうジニョンssiでないと駄目なんです・・」
そして、あの唇で、キスしてほしい。

なんだか、気恥ずかしくて、結局一度も言えなかったあの言葉・・

「愛しています、ドンヒョクssi」
ドンヒョクssiに会ったら、まず、そう言いたいの。
でも、きっと本当に会えたら、泣いてしまうだけかもしれないけれど・・・

ドンヒョクssi・・・今どこにいますか?
何をしていますか?

もう一度会えるその日まで、どうか、愛の灯を消さないで。

私が、迷子にならないように・・
ずっとその胸に灯し続けていて欲しい。


難破船のマーメイド

貴方の愛だけが、たった一つの道標




(2005/10/17  サファイアUP)

 
 
 

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