容量 : 39M/100M |
メンバー |
Total :732 |
Today : 0 |
書き込み |
Total : 898 |
Today : 0 |
|
|
D&J |
こちらは、ドンヒョク&ジニョンを中心としたお話の部屋です。
私なりに想像した二人のその後・・・というお話になります。
婚約時代から、結婚後、ファミリーのお話・・・とありますが、時系列がばらばらだったりして、読みにくい一面もあると思いますが、よろしければお付き合いくださいませ。
|
No |
332 |
HIT数 |
1025 |
日付 |
2009/03/06 |
ハンドルネーム |
Library Staff |
タイトル |
レオのつぶやき by hant55 |
本文 |
orionnさんの世界を壊さないことを祈って・・・
『レオのつぶやき by hant55』
「そうか!じゃあ、ボスの拘束も解かれたんだな。ああ、ありがとう。知らせてくれて感謝してる。 わかった、わかった。又、そっちに行った時に礼をするよ。じゃあ。」
やれやれ、やっと、ボスと連絡がとれる。 ボスが麻薬事件に絡んで拘束されているらしいと知った時は、正直驚いた。 麻薬!? なんでボスが! ジニョンさんから「キ・ヨンア」の名前を聞いた時は不安が全身をよぎった。 なんで、ボスはあの女を構うんだ! もう、関係ないじゃないか。自分には今、大切な家族がいることを忘れたのか。
だが、所詮、同じ孤児院で育った彼女もボスにとっては家族のような存在だったのかもしれないな。
心配そうに俺を見るソヨンが何も言わずに立っていた。彼女も寝ていないのだろう。 美しい顔に翳が色濃く滲みでていた。
心配いらない、と一言だけ言って、ボスの携帯にメールを入れた。
「件名:全て了解。 こちらは、大丈夫。ジニョンさんが仕事でN・Yに行っている。 宿泊先はフランクリンホテル。 ゆっくりしてきていいぞ、ボス。」
程なく、返信がきた。 「Re:全て了解。 心配かけた。ジニョンには知らせるな。僕が会いにいく。 テジュンにも謝っておいてくれ。ありがとう、レオ。」
コーヒーを持って入ってきたソヨンにボスが麻薬事件に巻き込まれ拘束されていた事、今は無事、ジニョンさんのところに向かっている事を告げた。 彼女から聞いて心配しているだろう、テジュン社長にもボスから謝って欲しいとメールがあった事も。
彼女はそれを聞いて安心したようにソファーにどさりと座りこんだ。
それから俺はボスとキ・ヨンアの事を話して聞かせた。 同じ孤児院で育ち、一緒に養子としてアメリカに渡った事、N・Yでの再会。 そして俺達を破滅に落とし入れたかもしれなかった、あの事を・・・
「それで? ボスはどうしたんです?」 「ボスは・・・。」_____________
翌日遅くにボスは約束どおりオフィスに顔を出した。 黙って入ってきて、黙ったまま書類を整理し、メールのチェックをしていた。 今日、1日どこで、何をしていた? 聞きたいのを我慢して俺も黙ったままだった。 1時間程、気まずい沈黙の中二人で過ごしたが、とうとうボスの口からは何も語られる事はなかった。
「帰るか、レオ。」
心なしか穏やかな声だった。俺はその声を信じることにした。 片付いたんだな、ボス。何も心配することはないんだな。 ボスは俺に対して、極端に口数が少ない。その分、俺はそれなりの表情と声の調子で感情を読み取るくせがついていた。 大丈夫だな、そう思わせる何かがあった。
数日は何事もなく過ぎていった。彼女、キ・ヨンアから会いたいと電話が入ったのは、クリスマスも間近な今にも雪が降りそうな寒い日の夕方だった。 ___彼女は待ち合わせにホテルのバーを指名した、二人きりで会いたいと。
そのバーは 摩天楼を独り占めしているかのような見事なナイトビューの落ち着いた店だった。 約束の時間どおりに、まるでこれからパーティーにでも行きそうなシャンパン・ゴールドの光沢を抑えたドレスに身を包み、彼女は現れた。 俺とは不釣合いだな、少し自嘲気味に苦笑するのを彼女は不思議そうに見つめた。
「お呼び立てして申し訳ありません。フランクからあなたの事を聞きました。大切なパートナーだと。 そのあなたにもご迷惑を掛けた事をお詫びしようと思いまして。」 ボスが俺の事を大切なパートナーと言ったのか?彼女に?
「ご存知でしょうけど、フランクと私は同じ孤児院で育ちました。 親に捨てられ、一人ぼっちで泣いている私にフランクは優しくしてくれました。 寒くて、いつもお腹が空いていて・・・でも、フランクがいてくれる事だけが救いでした。
アメリカに来てからも家が近く、同じ高校に通いました。 私は、誰かに、そう、フランクに頼らずには生きていけなかった。 フランクには、叱られてばかりいたわ。何故、人を頼るんだ、自分の力で生きていけないのか、と。 そのうち、回りの環境が私をフランクではない、別なものを頼りにしだした。 これから私は私の持ってる力で生きていこうと決心したんです。
私の生き方について、ご意見がおありでしょうけど、これは私の生き方です。 今、付き合ってるウィリアムから、フランクの話を聞いて、もしかしたらあのフランクではないかと思い、あの日、パーティーで彼と再会しました。
嬉しかった。彼が私の事を覚えていてくれて。 彼は私の知っている死に物狂いで勉強をしていた時の彼と違って、余裕を持って私に接してくれました。 私が人に頼って手にしようとしてるものを自分の力で手に入れた余裕でした。 私はフランクの優しさにまた、触れたいと思いました。だけど、ウィリアムは彼から何か重要な情報が聞きだせるかもしれないと私をけしかけました。 迷いました。けれど、私は今のままの生き方を選びました。」
「ボスから情報を聞き出そうと?」 「ええ、しました。でも、結局、彼からは何も聞く事は出来なかった。そして、また、叱られました。」 悲しそうに目を落とした彼女は言いようもなく美しかった。
「先日、彼は私の滞在先のマイアミに訪ねて来てくれました。」
そうか、あの日ボスは、マイアミに行っていたのか。
『ヨンア、君とこうしてまた、巡り会ったことを運命とかいう根拠のない言葉で片付けたくない。そんなものは僕は信じない。 君が今、どんな生き方をしようと、僕には関係ない。 確かに僕達は親に捨てられた。それが最大の弱点でもあり、僕にとってはバネでもあった。
覚えているかい? 高校の頃、孤児だと、肌の色が違うと蔑まされた事を。 孤児でも肌の色が違っても、僕にはこの国で手に入らないものはないと言う事を知っていた。 それは、自分自身で掴まなければならないことも。 君が同じ物を手に入れようとして、自分を高めるのではなく自分を高く売るという生き方を選んだのは君の選択だ。 とやかくいうつもりはない。
君は昔、『貴方を待てない私を許して、遠い夢は待てなかった。』そう言って僕の元を去っていった。 君は僕を待てなかった。 あの時、僕は傷つけられたプライドを持ちつづけようと誓った。 君が欲しがった物をなんとしてでも手に入れてやろうと思った・・・ 今、僕が手にしている地位も富も名声も、誰にも頼らず、自分自身で築き上げたものだ。それは、誰のものでもない、僕だけのものだ。 今更、君に差し出すつもりはない。 それを君に見せることができて嬉しかったよ。
君は君のやり方で手に入れろ、僕は手を貸さない。
もう、君に会うことは、二度とないだろう。』
「もう、私が彼の優しい顔を見る事はない、そう思わせる冷たい顔でした。 彼が帰ったあと、ウィリアムは、私を罵りました、何故、さっさと奴と寝なかったのだと。そうすれば、もっと早く、情報が聞き出せたのに、と。
この人とも、もう終わりだと気づきました。 私は、娼婦じゃない。私の価値を認めてくれる人とでないと、私は生きてる意味がない。 その日、ウィリアムとは別れました。」
カクテルグラスの酒を一気に飲み干し、ヨンアは続けた。 「どうか、フランクに伝えて下さい。私は大丈夫だと、私が必要に思い、私を必要としてくれる人はいくらでもいるから、と。」
彼女が去ったあと、一人残された俺は、生きていく事の強さや弱さを考えた。 ヨンアにはきっと、たくさんの取り巻きがいるだろう。すぐに又、ウィリアムに変わる男も現れるはずだ。けれど、結局ヨンアが本当に困った時に彼女を助けてくれる人はいるのだろうか。 ボスも富や名声以外に心の拠り所とするものに巡り会うことはできるのだろうか。
俺は、タクシーに乗り、ボスのアパートに向かった。 マンハッタン、アッパーイーストの92stのボスのアパートは、近くに美術館などがある閑静で治安のいい高級住宅街だ。 世界経済の中心地、ここN・Yで成功を収めた者がその象徴として住むに相応しい場所だ。
「帰って寝るだけの部屋だ。ベッドにシャワー、それに朝、コーヒーが一杯飲めればそれでいい。」
ボスはそう言っているが、高級アパートのペントハウスだ。 高い天井、白を基調に落ち着きのある家具やインテリアでまとめられた広いリビングはパーティースペースにも対応している。 交通の便が良い事もさることながら、ボスがここを選んだ理由は、毎朝の日課にしているジョギングがセントラルパークでできるという事が 一番だと俺は知っている。 今、最上階から眺めるそこは、黒々とした闇に包まれ静かな眠りの中にいる。
俺は、ヨンアから全てを聞いた事をボスに話した。
「ここに、彼女を連れてきたのか?」 掃除などは専門の業者に任せている部屋は無機質に整えられていて、女性の温かさを感じさせるものはなにもない。 「この部屋に来た女性は誰もいない。」 「あのべッドで寝た女も?」 「ああ。」 そうかもしれないな。いつか、ボスの心に入り込むことができる女性は現れるのだろうか。
「彼女の事は、わかっているな。もう、構うな。同情か?郷愁か? いずれにしてもあの女はもう、別の道を選んでボスの元を去っていったんだ。 どんな生き方をしようと関係ない。ま、最もあんな綺麗な女性はめったにお目にかかれないかもしれないがな。」 「僕はヨンアを綺麗だと思ったことは一度もない。」 「何故だ?確かに彼女は俺が見たなかじゃあ、一番の美人だと思うぞ。」 「外見の美貌に惑わされ、それを手に入れたがる男は多いだろう。彼女もそれだけを頼りに生きている。だが、所詮、そんなものは砂上の城だ。 男だってバカじゃないさ。いずれ、離れていく。彼女には若さや美貌に固執した生き方をして欲しくなかった。」 「それは、彼女自身が気づくことだ。ボスには関係ない。」 「わかった、レオ。この話は終わりにしよう。明日のミーティングの準備はできているな。朝は早いぞ、早く帰って寝ろ。」
OK,ボス。結局、彼女はヤドカリのように新しい立派な棲家を求めて、次々と男から男へと渡り歩いていくんだろう。 それが彼女のやり方、生き方ならどうしようもない。
帰り際、 「いいな、ボス、もうあの女には近づくなよ。」俺は最後に念を押した。___________
「ボスはやっぱり、お優しい方なんですね。」 じっと俺の話に耳を傾けていたソヨンが初めて口を開いた。
ボスもヨンアも親に捨てられ遠い異国の地で自分の力だけを頼りに生きてきた。ボスは一人で生きるという事がどんな思いだか、知っているからこそ彼女を見捨てることができなかったのだろう。今回の事もそんなボスの身を削って生きてきた辛さから生まれた優しさだったんだろうな。 ボスには、ジニョンさんがいる、愛する家族がある。 そうした宝物を手に入れたボスが自分と同じようにヨンアにも大切なものを手にして欲しいと願ったのかもしれない。
「ところでなあ、俺、ボスにゆっくりしてきていいなんて言ったけど、まいったな、片付けなきゃならない仕事は山積みだぞ。」 お盆を持って立ち上がったソヨンは、 「いいんじゃないですか、レオssiお一人でなされば。」 と、にべもなく部屋を出て行った。 又、俺ひとりでかあ~
(written
by hant55 2005/05/09 サファイアUP)
|
|
|