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Milky Way Library
Milky Way Library(https://club.brokore.com/sunjyon)
「Hotelier」にインスパイアされた創作(written by orionn222)の世界です
サークルオーナー: Library Staff | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 732 | 開設:2008.11.22 | ランキング:51(8198)| 訪問者:141134/418545
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D&J


こちらは、ドンヒョク&ジニョンを中心としたお話の部屋です。
私なりに想像した二人のその後・・・というお話になります。 婚約時代から、結婚後、ファミリーのお話・・・とありますが、時系列がばらばらだったりして、読みにくい一面もあると思いますが、よろしければお付き合いくださいませ。
No 358 HIT数 816
日付 2009/03/23 ハンドルネーム Library Staff
タイトル レオのつぶやき by hant55
本文
orionnさんの世界を壊さない事を祈って・・




           『遅れてきたサンタクロース』  レオのつぶやき



「どうしてこんなに似合うんだろう・・・俺・・・」

去年よりきつく感じるのは気のせいだろう・・・たぶん・・・

忙しい。とにかく忙しい・・・。


「まだ届かないのか、期限は今日のはずだぞ。
おい、レオ、催促してみろ。」

この忙しい時に取引相手から何のアクションもない。
どうなっているんだ!

俺とボスは貸借対照表と損益計算書を待っていた。
将来の利益獲得と資金運用のために、どの程度の金額を支出し、
回収したのかを示すこの書類が届かなければキャッシュフロー計算書が出せない。
資金の調達源泉と、企業の財政状態を明らかにしなくてどうやって俺たちに動けというんだ。

こちらの考えがわかったかのように向こうの財務部長から電話が入った。
基本項目の整理に手間取りあと1週間待って欲しいという。

「それなら、うちにも考えがあります。ええ・・条件はかわりません。」
「期限は今日までです。Time is over これまでですね。」

世の中の動きは激しい。ウチにはウチのタイム・スケジュールがある。
ここで1週間動きを止めれば、その後は1ヶ月、1年と歯車はどんどんずれて行く。
立ち止まる事はできない。
まして、今はクリスマスシーズン、俺には1分1秒の時間も惜しい。

そこを何とか?
「I say ! stop it !」 ガチャン!!

ボス、この取引もこれまでだ。

「却ってレオには時間ができて良かったんじゃないのか。」
ボスが皮肉混じりに言いながらこれまで揃えた資料をシュレッダーにかけていく。

バカを言うな。
準備に費やしたオフィスの人件費、諸費用・・・いくらかかっていると思ってる。
とは言え、金では買えない時間ができたのは確かにありがたい。



「悪いな、何も手伝ってやれなくて。」
「ああ、ボスはいつも金と口だけだ。動くのはいつだってこの俺だ。」

ホームの子供達の顔が浮ぶ。
クリスマスまでに準備しなければならない事は山積みだ。


「カーヤも手伝ってくれるか?」

どんな仕事を頼むより嬉しそうに頷いた。
俺の企画がどんなに凄いか見せてやるぞ。

なに?楽しそう?
お前にもわかるさ。
あの子達の笑顔がこんな俺達への何よりのプレゼントだって事が。

いつも、いつもオフィスを和やかにしてくれるカーヤ。
底抜けの天然さからは微塵も感じさせないちょっと淋しげな胸のうち。
人間誰だって心の中にひとつやふたつ人には言えないものを抱えているさ。
だからこそ、学ぶべきものも与えるものもあるんじゃないのか。
カーヤにしか出来ない何かがあるはずだ。
カーヤにしか出来ないオリジナリティのある仕事をみんなが期待しているんだぞ。




ホームの食堂にはみんなが思い思いに飾りつけた天井まで届く大きなもみの木。
いつもは簡素な食堂も今日だけはおとぎの国のように輝き、無邪気にはしゃぐ子供達
を見るのはなんとも楽しい。
みんな思い通りのプレゼントは手にしただろうか。
クリスマスはただ、ご馳走を食べ、プレゼントを貰う行事などではなく、こうして
家族として集まる事を感謝する日だというシスターの言葉は届いただろうか。



次々と披露される歌やゲームにみんなが沸く中、食堂の隅にひとり座る
小さな女の子。
サンタのコスチュームのまま、そっと隣のイスに座る。

「メリー・クリスマス、ヘジン」

「・・・メリー・・・クリスマス、サンタさん・・・」

「ハッピー・バースディ、ヘジン」

びっくりしたように俺を見るヘジン。

生まれたばかりのこの子がホームの玄関に置き去りにされたのは、ちょうど
クリスマス・イブの今日だった。
身元も生まれた日さえもわからぬまま、この子はここでの生活を始めた。
だから、今日はヘジンの誕生日だ。誕生日おめでとう。

子供達は正直だ。そしてその上残酷だ。
ヘジンは自分がホームに捨てられていた事を誰かから聞かされているのだろう。
ここの子供達にもそれぞれ事情がある。
片親でも親のいる子はそこに拠り所を求める。
だが、全く親のいない子は?
ヘジンは自分に親がいない、捨てられた事をどう思っているのだろう。

「おいで。」
俺はヘジンを膝に乗せた。

「プレゼントは貰った?」
頷くヘジン。

「サンタクロースはヘジンの欲しいものをくれたかい?」
首を振るヘジン。

「『サンタさんの手紙』には何て書いたの?」
首を振るヘジン。

何も書かなかったのか?

「昔、ここに一人の男の子が暮らしていた。
その子も一人ぼっちだった、親に捨てられてね。」
ヘジンの身体がビクっと動く。

「男の子はサンタクロースが自分の欲しいものをくれるとは思ってなかった。
それは自分で手に入れるものだと一生懸命勉強をして、働いて、お金をたくさん儲けて
何でも買えるお金持ちになった。
家も買った、車も買った、船も買った。
でも、本当に欲しい物はお金では買えなかった。

でもね、信じていればそれはきっと手に入るよ。
男の子は信じた。
そして、手に入れたんだ、一番欲しいものを。」

「本当?」
目を丸くし、俺を見上げるヘジン。

「ああ、本当さ。
今はその一番欲しかったものに囲まれているよ。
一番、欲しかったもの・・・家族、愛。

いつか君の願いも叶う時が来る、信じる事だ。その心はきっとサンタに届くよ。それまで信じて待とう。いいね。」

「男の子は今、幸せ?」

「ああ、幸せだよ。幸せのために大忙しさ。」

おかげでこっちはいい迷惑だ。
でも、人の幸せを見るのも悪いもんじゃないさ。与える喜び、分かち合える喜び。
それもまた、幸せ。

さあ、みんなのところに行こう。
今夜最後の出し物だ。
今年のサンタはどんな早変わりをすると思う?

可笑しそうに首を振るヘジンを床に降ろし、そっと耳元で囁いた。
「ヘジンにだけ教えてあげよう。」

みんなに気付かれないように口を押さえて笑うヘジン。
そう、笑ってごらん。
君の幸せも俺の幸せさ。
見せておくれ、遠い未来に君の輝くような幸せな笑顔を。

それまで、俺は何度でもサンタになろう。
的外れのプレゼントを持ってね。


かれんとジェイにも俺からのプレゼントは届いただろうか。

「等身大の人体模型」と「ドラゴン」。

『サンタさんは、夢のあるクリスマスプレゼントを持ってきてくれるんじゃないかし
ら・・』って、ママはいうけど、これは人類のロマンだと思わない?おじさん?
自分の身体でありながら未知の世界よ。
でも、ママのいう事もわかってあげなきゃね。
おじさんは本当のサンタじゃないから「夢のないクリスマスプレゼント」でもくれるわよね?


ママが腰を抜かさないといいが。
かれん・・・おじさんはかれんの欲しいものなら何でもプレゼントするよ、

いつか、かれんの本当のサンタクロースに巡り会う日まで・・・。

「Merry Christmas」




(written by hant55 2005/12/24 MilkyWay UP)

 
 
 

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