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Milky Way Library
Milky Way Library(https://club.brokore.com/sunjyon)
「Hotelier」にインスパイアされた創作(written by orionn222)の世界です
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D&J


こちらは、ドンヒョク&ジニョンを中心としたお話の部屋です。
私なりに想像した二人のその後・・・というお話になります。 婚約時代から、結婚後、ファミリーのお話・・・とありますが、時系列がばらばらだったりして、読みにくい一面もあると思いますが、よろしければお付き合いくださいませ。
No 378 HIT数 2280
日付 2009/04/19 ハンドルネーム Library Staff
タイトル ようこそ
本文
『 ようこそ 』




「ジニョン、ちょっと散歩に行かないか?」
「えーーー?!散歩―――?!」

ダンボール箱が山と詰まれたリビングルームで、軍手をしながら作業に励んでいたジニョンは、ドンヒョクの意外な提案に驚いて手を止めた。

・・・散歩って・・・・ドンヒョクssi・・・

ジニョンは、呆然と目の前のダンボールの山々を見上げた。

・・・だって、これ・・・

目でドンヒョクに訴えてみるものの、ドンヒョクは意にも介さず、すでにリビングを出ようとしていた。

えーーーー、本当に行くのーー?

ジニョンは、ため息をつきながら、しぶしぶと軍手を外すと、2階で手伝ってくれている両親に声をかけに行った。

引越しは昨日。

夕べは、家具や荷物を所定に位置に収めるだけで手一杯だった。
そこで、今日は朝早くから、両親の手も借りて作業に励んでいたのだが・・・

ジニョンが、フルタイムで働いていることもあって、引越しの荷造りは主にプロの手を借りた。
最近は、クローゼットの中も食器棚の中も、一切出さずに荷造りしてくれることもあって、ジニョンは指示だけを出していればよかった。

しかし、荷解きとなると、そうも言っていられない。
どの荷物をどんな風に納めるのかは、全部他人に任せるわけにもいかず、ジニョンが2日ほど休みを取って自分自身で進めていくしかなかった。

だから、大忙しなのに・・・散歩って・・・

とはいえ、ああいう時のドンヒョクには、なにか考えがあるようで、ジニョンも従わざるを得ない。

はぁ・・・今夜は徹夜かしら・・・

深いため息をつきながら、ジニョンはかれんの部屋の片づけを手伝ってくれている母に声をかけた。

「お疲れ様、お母さん、ドンヒョクssiがちょっと散歩に行こうっていうから・・少し出かけてくるわね」
「あら、そう?そうね、ご近所の様子を見てくるといいわ。」

「じゃ、おばあちゃん、おじいちゃんと一緒に少し休憩しましょう。美味しい紅茶を淹れるわ。」
「ありがとうね。かれん」

そんなかれんの行動に、ジニョンは階段を下りながら、反省した。

そうね・・・私がばたばたしてちゃ、お母さんも休憩できないものね・・・
今日は朝早くから、昼食もそこそこに働きづめで・・・
なんとか、この休みのうちに片付けてしまおうって自分の都合ばかり考えて・・・
駄目ね・・・私ったら・・・

ジニョンは、もう一度ため息をつくと、少し肌寒い春の夕暮れにあわせて、オレンジ色のスプリングコートに袖を通した。

「お待たせ、ドンヒョクssi」

ジニョンは、フェンスにもたれて前庭を眺めているドンヒョクに駆け寄った。

ドンヒョクの視線の先を探っていくと、例の樅ノ木があった。
業者の手によって事前に移植され、今は、高い梢を揺らしていた。

「行こうか」

ドンヒョクは、柔らかに微笑むと、ジニョンの手を取り歩き出した。二人手を繋ぎ、緩やかな坂道をゆっくりと下っていく。
辺りには、閑静な住宅地が広がり、それぞれに凝った家のつくりや庭の様子が見て取れた。

「いいところね・・・」

ジニョンは、ドンヒョクを見上げて、にっこりと微笑んだ。

この家を決める辺り、予めドンヒョクが候補地をいくつか挙げてくれていた。
それぞれに、利点や周辺の様子など、詳細に検討した結果も用意してくれていた。
それを見ながら、あれこれ見比べ現地を何度も訪れ、家族の意見をまとめた結果、決まったのがここだったのだ。

かれんは、静かな住環境と交通の利便性が気に入り、ジェイは「高台だから・・」という理由でここを推した。

ジェイは、幼い頃から何故か坂が大好きで、坂道と見れば喜んで上り下りを繰り返していた。ジニョンは駅周辺の落ち着いた雰囲気と、可愛らしい雑貨店やフラワーショップ、ブティックなどが立ち並ぶ、お洒落な街並みが気に入った。

最終的に、ドンヒョクがみんなの意見を取りまとめ、決断を下した。

その後は、ハイスピードで諸事が進んでいった。

うずうずとドンヒョクのGOサインを待っていたジニョンの父が、全精力を傾けて設計、建築にあたってくれたお陰だ。
父は、ジニョンたちの意見を聞き入れながらも、長年培ってきたプロとしての厳しい意見も遠慮なくぶつけてきた。

「とにかく、収納のたっぷりと多い家にして、お父さん」

そう懇願するジニョンに対して「あのな、ジニョン、収納なんていくらあったって同じだぞ。女性ってのは、あればあるだけ、そこに荷物を詰め込む。それよりも荷物の適量ってものを考えなさい。」と、諭されたのだった。

確かに、言われてみればそういう側面もなくはない。

収納場所があるというだけで、つい荷物が増えていって・・・
そういったわけで、新しい家はとにかく「シンプル」に・・・というコンセプトになった。
というのも、以前家を選んだときと違って、今後は家族が減る・・・という状況もありえる。

夫婦二人きりになっても、快適に過ごせる家、また、やがて家族が増えることもあるかもしれない。
子供たちがそれぞれ家族を持ったときに集えるような家・・・も考慮に入れての設計になった。
家族が減っても、増えても、フレキシブルに対応できる家屋・・・それが新しい家の造りだった。

その折、ジニョンは、ドンヒョクに言ってみたことがあった。

「ね、ドンヒョクssi、私たちの年代で家を建てるときの最近のトレンドって知ってる?」

山と詰まれた壁紙見本やら、カーテンのサンプル、何度も書き換えられた設計図に囲まれながら、ある夜、ジニョンはドンヒョクに問いかけた。

「最近のトレンド?」
PDAでスケジュールを確認しながら、ドンヒョクはジニョンに聞き返した。

「そう、最近のトレンドは、『夫婦別寝』ですって」「夫婦別寝?」

「そうよ。あのね、新婚の頃のように一緒にダブルベッドに寝るっていうのじゃなくて、それぞれが自分の寝室を持ったり、一つの部屋を仕切って、そこに二つベッドを置いて、一人で寝たりするっていうのを夫婦別寝っていうんですって。まぁ、一応同じ部屋で寝るっていうことで、お互いの存在を感じながらも、それぞれが、プライベートスペースを持って、一人で眠るっていうのが、最近のトレンドなのよ。」

「ふぅん・・それで?」
「・・えっと・・・それでってこともないけど・・・」

ドンヒョクは、さっさとその話題を打ち切ると、「珈琲でも淹れてくるよ」とキッチンへと行ってしまった。

・・・あの様子じゃ、「うちもどう?」なんて冗談にも言い出せる雰囲気じゃないわね・・」
ジニョンは、キッチンで何故か大きな音を立てながら、カップの用意をしているドンヒョクの様子を伺いながら、くすっと笑った。

でも・・・・

ジニョンは、手元にある設計図を確かめながら、ちょっとため息をこぼした。

一つの部屋に、大きなダブルベッド・・・

でも・・・「夫婦別寝」も、ちょっと理解できる側面もある。
だって・・・ダブルベッドは寂しいときがある。
ドンヒョクssiが、出張でいないとき・・・いつも二人で眠っていたベッドに一人で眠る・・・それって、やっぱり寂しいわよ。

ドンヒョクssiだって、そうでしょう?
私が夜勤のとき、とか・・・

それならいっそのこと、最初から一人で寝ていれば、そんなに寂しくないかも・・・
なんて、言ったら、ドンヒョクssiどうするかしら・・・
少し困ったような顔をしながら、「おいで・・・」って抱き寄せるかしら・・・

そんなことを思い出しながら、ジニョンは、今、隣を歩くドンヒョクの端整な横顔を盗み見た。

一人の夜は寂しいけど・・・だからこそこうして一緒にいられる時間を大切にしようって思えるのかも・・・そんな想いを抱えながら、ジニョンたちは春の夕暮れの中をそぞろ歩いた。

ベーカリーショップ・・・ここが二人のお気に入りのお店になるといいわね。
オープンカフェが気持ちよさそうな珈琲店・・・ね、ちょっとお茶していく?

可愛らしい小物が、所狭しと、店内に飾られている雑貨店・・・今後かれんと一緒に来ようかしら。

大きなスーパーと、商店街もあって、買い物には不自由しなさそうね。

若者で賑わうスポーツショップやジム・・・あら、ヨガもあるのね。行ってみようかしら。

そして、あ、ドンヒョクssi、お花屋さんよ。ジニョンは、ドンヒョクの手を引いて、店内に入った。

「ほら、チューリップ」
ジニョンが、笑顔で指差す先には、色とりどりのチューリップが可愛らしく揺れていた。

「買っていこうか」
ドンヒョクも笑顔で答え、二人で選んだチューリップは可憐な花束になった。

チューリップの花を胸に抱えて、ドンヒョクと手を繋ぎ、あちこちと寄り道しながら楽しく散歩するうちに、夕暮れはその濃さを増していった。

「どう?」
ドンヒョクが、軽くジニョンに問いかけた。

「そうね・・・」
小さな川べりを歩きながら、ジニョンはゆっくりと辺りを見回した。
穏やかに街は暮れなずみ、朧な月が東の空にその姿を現しはじめていた。

「そうね・・・」
ジニョンは、繋いだ手に力を込めると、ドンヒョクを見上げた。

「そうね・・まだよくはわからないけど・・・でも、この街とはなんとなく肌が合いそうよ。」
「それはよかった」

「ドンヒョクssiは?どう?」
「ジニョンが好きなら、僕も好きだよ。

「ドンヒョクssiったら・・」
くすっと笑うと、ジニョンは、立ち止まってゆっくりと街中を見回した。

近くの公園からは、そろそろ帰り支度を始めた子供たちの声が賑やかに聞こえている。

「なんだかね・・・この街が、私たちを優しく迎えてくれているような気がするの。『ようこそ・・』っていう声が聞こえる気がするわ。」

「ジニョンが、そういうなら間違いないよ。」
ドンヒョクは、薄暗い空にまぎれてジニョンのおでこにそっとキスを落とした。

「ゆっくりと知っていけばいいよ。街も家も・・・」
「ええ・・・そうね。」
白く輝きだした月に照らされて、二人で微笑を交し合う。

ねぇ・・・ドンヒョクssi・・・

この街もまだまだ、「わが街」って思えるほどじゃない。
これから、ゆっくりお知り合いになっていくのよね。
あちこち、探検したり、お散歩したり、買い物したりしながら・・
そして、それは、家も同じ。

Houseはできたけれど、まだあの家は私たちのHomeじゃない
そう、そこで、人が暮らして、笑ったり泣いたりして毎日を送ってこそ、そこはただのハウスから家になる。

しっかりと手をつなぎ、ドンヒョクと二人で満開の夜桜を見上げながら、ジニョンは思った。

今年も、こうして二人で桜が見られたわね・・・
私たち・・・あの辛い別れの日からもう何年?
出逢って・・・別れて・・・また出逢って・・・
こうして、二人で家庭を築いてきた。ねぇ・・・ドンヒョクssi・・・また、これから、一緒に新しいホームを作っていきましょうね。

私たちの、home・・・

どこにも負けないくらいの温かで賑やかなhomeを・・・
さぁ、新しい、私たちのhomeへ、ようこそ・・・




 (2009/04/01 MilkyWay @yahoo UP)


 
 
 

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