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Milky Way Library
Milky Way Library(https://club.brokore.com/sunjyon)
「Hotelier」にインスパイアされた創作(written by orionn222)の世界です
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D&J


こちらは、ドンヒョク&ジニョンを中心としたお話の部屋です。
私なりに想像した二人のその後・・・というお話になります。 婚約時代から、結婚後、ファミリーのお話・・・とありますが、時系列がばらばらだったりして、読みにくい一面もあると思いますが、よろしければお付き合いくださいませ。
No 379 HIT数 2461
日付 2009/08/10 ハンドルネーム Library Staff
タイトル きっと、もっと、そっと・・・
本文
『 きっと、もっと、そっと・・・ 』





ふわり・・・ひらり・・・はらり・・・

あ・・・桜・・・

ジニョンは、肩先にふわり・・と舞い降りてきた薄桃色の花びらを指先でそっとつまんだ。

振り返ってみると、あの桜の樹が丘の上に立っているのが、樹木の隙間からちらり・・見えた。

少し強い春の風に吹かれて、こんなところまで花びらが飛んできたのね

ジニョンは、小さくため息をつくと、眩しい陽射しに花びらを透かしてみた。
桜はもう花を舞い散らし、若葉がすでに芽吹き始めている。

あの別れから、もうどれくらい?

ジニョンは、左手の薬指にはめた指輪にそっと触れてみた。

あの日から、今日まで・・・
あの樹を見るのも近くを通るのも辛くて、ずっと避けてきたけれど・・

ジニョンは振り向くと、あの桜の樹へとゆっくりと歩き始めた。
でも、一歩、近づくごとに、あの辛くて悲しい夜が甦ってくるようで・・・

そんなこみ上げてくる切ない気持ちをこらえて、ジニョンは高い梢を見上げた。

あぁ・・・もうこんなにも若葉が芽吹いているのね・・・

あの夜・・・
咲き誇るこの樹の下で、あの人に告げた。
一緒に行くことはできないと・・・

今、ひらひらと舞い散る桜の樹の下で・・・

私がこんな風に過ごしていても、季節は巡り、時は刻まれていく。
ゆっくりと・・・でも確実に・・・

ジニョンは、朧に霞んだ春空を見上げた。

ねぇ・・ドンヒョクssi・・・
貴方は、今、どこで、何をしていますか?
NYでも、桜は咲いている?
もしかしたら、貴方もNYのどこかで、こんな風に桜を見ているのかしら・・・
ねぇ・・・ドンヒョクssi・・・
この花びらが散り終わり、青々と若葉が茂って、やがてその葉を涼やかな風が揺らす頃・・・
私たち、もう一度、巡り逢える?

ジニョンは、ひんやりと冷たい木肌にそっと手を当てると、目を閉じ願った。

また、私たちの人生が重なって、同じ時を、同じ歩調で歩いていけますように・・・

ジニョンは、薄桃色の花びらと、芽吹いたばかりの若葉が重なる樹を見上げて問いかけた。

いつか、私たち二人に、そんな日が来るわよね・・・
そう・・・
いつか・・・
きっと・・・

 

 

***

 

 


ふわり・・・ひらり・・・はらり・・・


あっ・・・桜だ。

ユミンは足を止めて、花びらが飛んできた方を振り返った。

そこには、きらきらと舞い踊る陽射しの中で、咲き誇る桜。
春の光を浴びて、眩しいくらいに輝いている。

綺麗ね・・・


ユミンは、樹の下まで歩み寄ると、満開の桜を見上げた。

構内のこんなところに桜の樹があったのね。
普段は桜だって気づかないけれど・・・
一年に一度、こうして「ここにいるわよ」って花を咲かせてみんなに知らせているのかしら・・

華やかな女子大の中で、道行く女の子たちの賑やかなおしゃべりに包まれながらも、どこか桜の樹の周りだけ、静かな時が流れているように感じられる。

そんな中で、ユミンはくすっと思い出し笑いを零した。

ね、オッパ・・・
オッパって桜を見ると、ちょっとこそばそうな顔をするね。
どうして?桜に何か特別な想い出でもあるの?って聞いたら・・・「子供の頃、ちょっとな」って・・・思わせぶりな返事
それって、一体、なんなんだろう・・・

ユミンは、またくすっと笑った。

って、こんなふうに、オッパのことは、なんでも気になる私・・・
いつだって、オッパのことを考えている。
もっと、もっとオッパのことが知りたい。
だって・・・

ユミンは、手首できらきらと輝いているブレスレットを、桜の花びらにかざしてみた。

ね、オッパ・・・
きっと、オッパは覚えていないだろうけど・・・
昔・・・そう、まだ私が幼稚園児だった頃、オッパと遊んでいて、何かの折に泣いてしまったことがあった。
そのとき、オッパはとっても困った顔をして・・・きっとどう慰めたらいいのか分からなかったのかな・・・
「ユミン、いつまでも泣いてたら、大きくなってもお嫁さんにしてあげないぞ」って言ったの。
それで、私は・・・たぶんその頃からオッパのことが好きだったんだね
「泣きやんだら、オッパのお嫁さんにしてくれる?」って聞いた。
オッパは「うん、ユミンがいつも笑顔だったら、大きくなったら、お嫁さんにしてあげる」って約束してくれた。
私は、それが嬉しくて・・・
あれから、ずっとどんなときも笑顔でいるように、私なりに頑張ってきたんだよ。

ユミンは、樹木の隙間から見える、青空を見上げた。

この空・・・アメリカまで続いている?
オッパのいる・・・

あの頃・・・オッパが、荒れていたときも・・・心配で心配で、つい悲しげな顔になってしまいそうだったけど、オッパと会うときはいつも笑顔でいるように頑張った。
「お前の笑顔を見てると、怒ってるのが馬鹿らしくなってくるな」って、オッパ、言ってくれたよね。
それから・・・ハーバードを目指すって聞いたときも・・・本当はアメリカなんか・・そんな遠くになんか行ってほしくなかったけど・・・笑顔で励ました。
「オッパならできるよ。」って言って・・・
そうしたら「お前にそう言われると、そんな気になるな」って言ってくれて・・・

それから・・・オッパが年上の綺麗な女の人と歩いてたって知った時だって・・・
不安で不安でどうにかなってしまいそうだったけど・・・私の笑顔が好きだって言ってくれたオッパを信じて待っていた。
いつか・・・私のことを、「妹」としてではなく、一人の女の子として見てくれる日のことを・・・

ユミンは、もう一度ブレスレットを桜越しの陽射しにかざしてみた。
きらきらと、光を弾いて楽しげに揺れるのを見ていると、つい笑顔になる。

オッパからのプレゼント・・・
「彼女」としての私への・・・初めてのプレゼント・・・


ねぇ・・オッパ、これからも、もっともっと笑顔でいるから・・・
だから、あの約束守ってね・・
それまでは、泣かないで笑顔でいるから・・

そう、私が泣くときは、きっとオッパと神様の前で結ばれるとき・・・
そのときくらいは、泣いてもいいでしょう?
だから、それまでは・・・もっともっと笑顔でいるね・・・
そう・・・
これからも・・・
もっと・・・

 

***

 


ふわり・・・ひらり・・・はらり・・・

あ・・・桜だわ・・・

かれんは、公園の中の一本の桜の樹の下で立ち止まった。

今日は休日だったが、やり残した仕事が気になって、オフィスに出社した。
その帰りに通った公園の小径で、満開の花をつけた桜が、青空の下、伸びやかに枝を広げていた。

そうか・・・もうそんな季節なのね・・・
かれんは書類で膨らんだビジネスバッグを近くのベンチに置くと、咲き誇る桜の樹を見上げた。

慌しく毎日を送っていると、つい季節を忘れてしまう。
ゆっくりと花や自然を見る余裕すらなくて・・・
いえ・・・そうじゃなく・・・

かれんは、淡いため息をついた。
こんなふうに、休日出勤したり、仕事を家に持ち帰ったり・・・

そんなふうに過ごしながら・・・目をそらし、気づかないようにしているのかもしれない。

・・・逢いたいときに、貴方はいない・・・

急に、そんなフレーズがかれんの頭に浮かんだ。

・・・これって・・・どこかのドラマのタイトルだったかしら・・

かれんは、暖かな陽射しに紺のピンストライプのスーツのジャケットを脱いだ。

こうやって、ビジネスモードから解放されると、急に頼りない気持ちになる・・・

かれんは、はらはらと花びらを散らす桜を眺めた。
花びらの隙間から、瑞々しい緑の若葉が姿を覗かせている。
君の瞳によく似た、透き通るような綺麗なgreen・・・・

そう、私にだって、こんな日はある
毎日、ここイギリスで忙しくビジネスの修行に励んでいるけれど・・・
アメリカで頑張っている君に負けないようにって、私も頑張っているけれど・・・
だけど・・

ふと、途切れた時間に、やりきれない寂しさに飲み込まれてしまいそうになる時だってある。
逢いたさに、胸がちぎれそうに悲鳴をあげて、涙が零れ落ちるのを止めることができない夜だって・・・


君は平気?
そんなはずはないのに、ちょっと意地悪な気持ちになる。

君は、「寂しい」って、言わないね・・・
分かってる・・・
そんな言葉を口にすれば、とめどなくネガティブな気持ちになってしまうから、いつだって、前だけを見つめて未来だけを語りあってきた。

だけど・・・
こんな、お天気のいい春の休日・・・ぽっかり空いた時間の中で、ここに君がいれば・・・こんな綺麗な桜を一緒に見られたら・・・という気持ちを抑えることができない。

ぽとり・・・

 


涙が一滴、かれんの瞳から零れ落ちた。

いやだ・・・私ったら、なにを泣いているの・・・

その時、さぁ・・・と、一陣の風が吹き、舞い散った桜の花びらが、そっとかれんを包み込むように辺りに広がった。

あ・・・・

かれんは、髪に舞い降りた、ひとひらの桜の花びらを指でつまんだ。


あのサプライズのヴァレンタインの夜
私をその広い胸に抱いて、君が一晩中囁いてくれた言葉・・

「俺はずっと、かれんと一緒にいるよ。かれんをこんなふうにいつだって抱きしめているから・・・俺たちはいつも一緒だ。もし、かれんが寂しかったり、泣いたりしていたら・・俺は必ず側にいて、こんなふうにかれんを抱きしめているよ。」

舞い散る桜吹雪に包まれて、かれんは遠くの空を見上げた。
君に伝わったの?こんな私の気持ちが・・・

かれんは、そっと頬の涙をぬぐうと、白いブラウスのボタンを二つ開けた。
すると、一枚の桜の花びらが、するり・・・と、かれんの胸元に滑り込んできた。

くすっ・・と、笑うと、かれんはそっと瞳を閉じた。

はらはらと舞い踊る花びらに包まれて・・

そう、ちゃんと感じている
こんな風に、君の愛にいつだって包まれているってこと・・
いつも・・・どんな時も、どこにいても・・・心をそっと抱きしめられて、守られている。

かれは、絶え間なく降り注ぐ桜の花びらに包まれて、全てをゆだねた。
自然にこわばっていた肩の力が抜け、ふわり・・・と心が軽くなった。

時には・・・寂しさに負けそうになることもあるけれど・・・
私たちはいつも一緒にいるよね。
そして、いつだって、限りない君の愛に包まれている・・・

そう・・・
こんなふうに・・・
そっと・・・・

 


今は、離れ離れの恋人たちも・・・
きっと、また巡り合える日がくる・・・
もっと、もっと深く心が結ばれて・・・
だから、今は、そっと、その日を胸に願って・・・

やがて、恋人たちに明日は訪れ・・・・そう、やっと・・・
そして・・・永遠に結ばれる日が来ることだろう。
きっと、もっと、そっと・・・
そして、ずっと・・・

 




(2009/4/16  MilkyWay@Yahoo  UP)

 
 
 

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