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Milky Way Library
Milky Way Library(https://club.brokore.com/sunjyon)
「Hotelier」にインスパイアされた創作(written by orionn222)の世界です
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D&J


こちらは、ドンヒョク&ジニョンを中心としたお話の部屋です。
私なりに想像した二人のその後・・・というお話になります。 婚約時代から、結婚後、ファミリーのお話・・・とありますが、時系列がばらばらだったりして、読みにくい一面もあると思いますが、よろしければお付き合いくださいませ。
No 382 HIT数 2929
日付 2010/12/06 ハンドルネーム Library Staff
タイトル Sentimental journey (1)
本文
『 Sentimental journey (1) 』




「信じられねーーーー!全く!信じられねー!」

ジェイは穏やかな日差しが溢れる川沿いのカフェで、冷たい水を一気にあおった。


「ホント!信じられねーーぜ!!」

「いつまでもぐだぐだとうるさいわね。」


かれんは、自分をにらみつけるジェイの視線をさらりとかわすと、涼しい顔でアイスティーを口にした。


「俺の留守に勝手に上がりこんで、部屋をあちこち荒らすなんてな!」

「あら、勝手にじゃないわよ。あんたの正式な保護者であり、かつ生活費や授業料など諸々の仕送りで
あんたの留学を支えているソ・ジニョンssi、かあさんの許可を得ての入室よ。それに」

かれんは、じろりとジェイと見据えた。


「部屋を荒らしただなんてとんでもない。第一、荒らす前に、十分荒れてたわよ。
かあさんと二人、あの汚い部屋を掃除してあげたのよ。ごみの分別から有害物資の撤去、適所収納及び整理
整頓洗濯に除菌・・と、本当に大変な作業だったわ。清掃料金を請求したいくらいよ。」

「くっ・・・」


ジェイは言葉に詰まると、またもやグラスを掴み、水を飲もうとしたが、ほとんど空なのに気づいて、乱暴にグラスをテーブルに置いた。

ジェイが夕べ遅くにドンヒョクと帰りついた頃には、部屋はすっかり片付けられていて、ジェイはそんな自分の部屋の中で呆然と立ちつくしたのだった。


ハーバードに入学して一年とちょっと・・・

もう大丈夫だろうと油断していたこの時期に、ジェイはまさかの家族全員によるアポなし突撃訪問を受けたのだった。

その上、ホテルにいるとばかり思っていた、母と姉が、自分が思い切って父を誘い男同士で飲んでいる隙をついて、勝手に部屋を襲撃したのだった。


「それにしても想像を絶する汚さだったわね。最初は母さんと二人、ごみの山で遭難するんじゃないかと思ったくらいよ。ま、綺麗になってよかったでしょ。感謝してよね。」

ジェイは、そう言って、つん・・と顎をそらしたかれんの横顔を、にらみつけた。


なーーにが感謝だ!ぜってーあちこち確認しただろ!クローゼットの中から、ベッドの下。本棚、机の引き出し、
ゴミ箱に捨てたレシート、カードの明細etc、etc・・・
・・・それにパソコンの中身まで・・・・ああ、もっと難しいパスワードにすればよかった!さすがに今どきイニシャルと誕生日の組み合わせって、確実にやばいよな!
絶対、見てる!メールから履歴まで・・・


かれんは、自分の目の前でいつまでもぐずぐずと言い募るジェイをふん・・と一瞥した。


「あんたって・・・」

「な、なんだよ・・」

「別に・・・」


かれんはさらり・・と思わせぶりに微笑むと、目の前で焦りまくるジェイを面白そうに眺め、すっきりと晴れ渡った青空を見上げた。


「第一、みんなして何しに来たんだよ。ってか、来るときは連絡くらいしろよな!」

「あら、突然来られてなにか不都合でもあるの?」

「べ、別に、そういうわけじゃ・・・」

「わざわざあんたを心配して見に来てあげたのよ。ハーバードの授業についていけずに落ちこぼれているんじゃないかとか、くだらない喧嘩でもしてるんじゃないかとか・・・」

そこで、もう一度かれんはジェイをじっと見据えた。

「うっ・・そ、そんなことは・・別に・・・」


・・・・あいつ・・・・リスキーのやつ・・・どこまで姉貴に
しゃべってるんだ・・・


そんなジェイの心の中の葛藤を無視して、かれんはゆっくりとアイスティーを口にした。


「なにが、俺を心配してだよ!恋人に会いに来ただけだろ!」

「そうよ。悪い?」

「くっ・・・」


しれっとそう言い切るかれんに、さすがのジェイも戦闘意欲を失った。

ぐったりと椅子に背を預けて、嘆息する。


「リックssiは?」

「まだ研究室なの。論文の仕上げで忙しいのよ。あんたと違って」

最後の一言は聞かなかったことにしてジェイは言葉を続けた。

「せっかく親父と引き合わす絶好の機会なのにいいのかよ」

「ふふん」

かれんは、不敵な笑みを浮かべた。

「ご心配なく。手は打ってあるわ。」

「そ、そうかよ・・・」

そのどこかドンヒョクに似た仕草に、ジェイの背筋がぞくり・・と冷えた。

「なぁ、姉貴たち・・アメリカとイギリスで寂しくないのかよ。」

ジェイのどこか独り言めいた声が、吹き渡る風にのって川面を渡っていった。
そんなジェイにしては珍しい含みをもった質問に、かれんの瞳が掠められた。

「寂しいわよ。でも、だからこそ、お互い頑張れるの。それに遠恋にもいいところがあるわよ。
逢える日を励みに成長できるわ。ま、そのうちあんたにも分かると思うけど」

どきっ・・・・な、なんか、知ってるよな。俺と・・・ユミンのこと・・・

内心の動揺を隠して、ジェイはぶっきらぼうに話を続けた。

「言っとくけど、あの人、ものすげーーーもててたぜ」

「知ってるわ。」

くっ・・・

じろり・・・とかれんに睨みつけられて、ジェイの口調がトーンダウンした。

「まぁ・・浮気はしてなかったみたいだけど・・・」

「当たり前よ。あんたと違うわよ。」

「な、なにを!俺だって、そんな・・・」

しどろもどろになりながらも、ジェイはこのままでは、かれんの誘導尋問に引っかかってしまいそうな自分を戒め、なんとか話題を変えた。

「そろそろ、大学院を卒業だろ?」

「ええ・・・・・」

「リックssiの卒業後は、韓国に戻んの?」

「ええ、そうね・・」

「んじゃ、二人とも韓国で?」

「ええ、たぶんね・・・」

「ふぅーーん、いよいよ結婚かぁ・・」

「そうね・・・」

かれんが、ふっ・・と目を伏せた。

ジェイは、手を上げて珈琲を追加オーダーしながら、そんなかれんの表情をこっそりと盗み見た。


まぁ・・・姉貴たちもいろいろあったから・・・・


「まったく、あの二人、いつまで待たせんだよ!」

ジェイは、そんなかれんに気づかぬ振りをして、「ちょっと二人でお買い物に行って来るわね。」と出かけたまま、
一向に待ち合わせ場所に現れない両親にため息をついた。

おかげで、俺は姉貴と二人、待ちぼうけかよ。

久しぶりに家族で食事でも・・と言い出したわりには、これかよ。

全く、あの二人は、一緒に出かけると時間ってもんを忘れるのか?

ジェイは、心の中で、そう糾弾しながら、目の前のかれんをちらり・・と見た。


「本当ね・・・あの二人ときたら・・・」

そうため息をつくかれんの髪を、爽やかな風がふわりと揺らし、どこ物憂い色がちらり・・と走ったかれんの顔を
優しく撫でていった。

しばらくは、川のせせらぎと、店内の人々の楽しげな会話に聞くともなしに耳を傾けていた二人だったが、
ジェイがその沈黙を破った。


こんなふうに、腹になにかたまったような会話は苦手だ。
言いたいことは言うし、聞きたいことは聞く。家族なんだからよ。


「あのさ・・・あれ・・こっちではたいしてニュースにもならなかったぜ。まぁ、韓国では大変だったんだろうけど・・・
こっちでは、リックssiのことは全然・・・・」

ジェイには珍しく、かれんを気遣うようなそぶりを見せると、運ばれてきた珈琲を手にした。

「そう・・・」

かれんは、テーブルの上で空になったアイスティーのグラスをぼんやりと眺めながら小さく返事をした。







(2009/12/25 MilkyWay@Yahoo UP  Sentimental journey 1・2 )


 
 
 

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