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Milky Way Library
Milky Way Library(https://club.brokore.com/sunjyon)
「Hotelier」にインスパイアされた創作(written by orionn222)の世界です
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D&J


こちらは、ドンヒョク&ジニョンを中心としたお話の部屋です。
私なりに想像した二人のその後・・・というお話になります。 婚約時代から、結婚後、ファミリーのお話・・・とありますが、時系列がばらばらだったりして、読みにくい一面もあると思いますが、よろしければお付き合いくださいませ。
No 385 HIT数 1260
日付 2012/04/21 ハンドルネーム Library Staff
タイトル Sentimental journey (4)
本文
『 Sentimental journey (4) 』




「実は・・・ボスと・・ある女優の写真が・・・明日の週刊誌に掲載されることが分かった」

「えっ・・・・」

ジニョンは、そうつぶやいたきり、絶句した。
レオの苦しげな言葉が、ジニョンの頭の中をぐるぐると駆け巡るばかりで、全く意味が理解できない。

ドンヒョクssiが・・・女優さんと・・・写真?

「いや、ジニョンssi、写真を撮られたといっても、ボスは潔白だ。それは、俺が保証します。」

レオの力のこもった弁明も、ジニョンの心をするすると上滑りしていった。

ドンヒョクssiが・・・女優さんと・・・写真を撮られた・・・・

このフレーズだけが、ぐるぐると回り続けるだけで、ジニョンの頭も心もいまだ思考停止状態だった。

「その写真誌は・・・女優・・・イ・ジュリというんだが・・・その『イ・ジュリが大物実業家と深夜の密会』という
タイトルで・・・その・・ボスと・・彼女が写った写真を掲載すると事務所にFAXを送ってきやがった。
すぐに手を打つように指示したんだが・・・、あいにく俺もボスもアメリカで・・・身動きが取れない状態で・・・
そっちの現行スタッフがあれこれ策を講じたんだが、間に合わずに・・・申し訳ない。
こういう最悪の事態を招いてしまった。」

「レオssi・・・深夜の・・・密会って・・・」

ようやく、思考が僅かながら働き出したジニョンの口から微かな言葉が零れ出た。

「全くの捏造だ!悪意に満ちたでっち上げた!」

そう一気に言い切ってから、レオは少し声を潜めて話を続けた。

「確かに・・・確かに・・ボスをあの女優は会ったことはあります。
しかし、あれは明らかなビジネスがらみの会食だった。それを、さもなにかありげに勝手に話を作ったんだ。」

「でも・・・それなら・・・どうして・・・」

「そうなんだ・・・すまない。ジニョンssi、こんなことになっちまって・・・
これは、いわゆるハニートラップというやつだ。
情けない話だが、我々はどうやら、その罠にひっかかってしまったらしい。」

「ハニートラップ?」

ジニョンは、その聞きなれない言葉を繰り返した。

「ハニートラップ・・・まあ、このケースは言ってみれば女性を使って敵を罠にはめる・・という意味だが・・・」

女性を使って、罠にはめる?これは、誰かがドンヒョクssiを貶めるために仕組んだことなの?

「ジニョンssi・・・俺たちが、ここ数ヶ月、寝食を忘れて打ちこんできたプロジェクトのことは知っているでしょう?」

「・・ええ・・・あの・・アメリカのホテルチェーンの・・・」

ジニョンは、ゆっくりと記憶を辿った。
それは、アメリカの東部の有名なホテルチェーン・・・アリシア・ホテルグループとのプロジェクトだった。

そのホテルグループは、東部にいくつもの系列のホテルを所有していたが、経営状態の悪い地域のホテルの
売却を考えていた。ドンヒョクたちは、その買収に名乗りを上げた。

まさに心血を注いで、という表現がぴったりなくらい打ち込んでいたプロジェクトだ。
グループの会長、アメリカ財界の大物実業家チャールズ・ジョンソンを相手に、ドンヒョクは、鬼気迫る執念で
取り組んでいた。

そのいつもと少し違うドンヒョクのビジネススタイルに、ジニョンは微かな不安を覚えていたのだが・・・
そんなジニョンの心配を見抜いたように、その当時レオがこう言って慰めてくれたのだった。


「ジニョンssi、男には、いつか返さなくちゃならない借りがあったりするんです。・・・なんていうか・・・
宿題みたいなものを片付けなくちゃならない時期ってものがあるというか・・・・
ボスは丁度いま、その時期なんだと思って欲しい。」

「借り?宿題って・・・」

「俺も詳しいことはよくは知らないんだが・・・ボスとあのチャールズ・ジョンソンの間には確執があるようです。
まだボスが仕事を始めた頃になにかあったらしい・・・
ボスがホテル専門のM&Aという道を選んだものたぶんその辺りに理由があるんだろうと思う。
東洋系のボスが当時、仕事をするにあたってかなりの妨害を受けたらしい。
ひとかどになってからも、根拠のない噂を立てられたりして・・・
差別や偏見や、そのころ受けた屈辱や不当な扱いを、今、仕事という形で返したいんだと思う。
いつものボスと少し違ってジニョンssiも心配だろうが、今は、どうか見守ってやってくれないか。
ボスがどこで決着をつけるのか、俺がきっちりと最後まで見届けるから・・・」


レオssiは、そう言うけど・・・その時、ジニョンの胸は得体のしれない不安で揺れ動いていた。

あのドンヒョクssiを見ていると、ただそれだけではないような・・・
あの時のジニョンの勘はあながち間違ってはいなかったようだった。


「いつもなら、こんなくだらない罠にはまったりする俺たちじゃないんだが・・・」


ジニョンの回想をレオの苦しげな声が遮った。


「・・・やっぱり・・・その仕事にかかりっきりになっていたから・・?」

「まぁ・・・そういうことになるのかもしれない・・・だが、ジニョンssi、これだけははっきりしている。
この裏には黒幕がいる。そいつはずっと我々の隙を伺っていたんだろう。俺たちがあのプロジェクトに打ち込み、まさに契約まであと一歩という大詰めのこの時期に、今がチャンスと引き金をひいたんだろう・・・」

レオはいくぶん自嘲をこめてこう続けた。

「確かに・・・少し・・いや、かなりあのプロジェクトに入れ込みすぎて、足元が留守になっていたのかも
しれないが・・・」

「レオssi・・・」

ジニョンは、ただそうつぶやくしかなかった。
ドンヒョクやレオたちの生きる世界が、どれほどシビアで冷酷なものなのかは、自分などには到底分かりきることはできないだろう・・・

「とにかく今は善後策を講じることだ。」

レオがきっぱりと言い切った。


「真相の究明や出版社への抗議はすでに専門のチームを作って当たらせている。
ただ一番の問題は・・・ジニョンssiたちをいかに守るかなんです。」

「私たちを?」

ジニョンは、まだその時、ドンヒョクのスキャンダルが自分たちの生活をどう脅かすのか全くわかっていなかった。

「私たちを守るって・・・?」

レオは一度深く息を吸うと静かに続けた。

「ジニョンssi・・・マスコミや世間の好奇心ってやつは実に厄介だ。
やつらは相手の都合などお構いなしに、自分たちの知りたいことを知りたいように探り出す。
たとえるならイナゴの大群だ。
大勢で襲ってきて、全てを食い荒らして、飛び去っていく。後がどうなろうとお構いなしだ。
ジニョンssiたちをなんとかその被害から守ることが今一番の最重要課題なんです。」

「レオssi・・・でも、私たちは一般人なんだし・・・」

「いや、ジニョンssi、残念ながらやつらにそんな正論は通用しないんです。
確かに、その週刊誌にはボスの名前ははっきりとは出ていません。
だが、ちょっと調べればすぐわかることだ。
そして、すぐにジニョンssiの仕事や勤め先、子どもたちの学校まで調べ上げて、『取材』という攻撃を
仕掛けてくる。それをなんとか食い止めなければ・・」

「まさか・・・子どもたちまで?」

さすがにジニョンの声も震えてきた。
そんなジニョンを優しく諭すようにレオは「ジニョンssi、大丈夫です。全力で最善を尽くします。
すぐに帰国して俺が陣頭指揮をとりますから・・」と励ました。

「レオssi・・・ドンヒョクssiは・・」

ジニョンは、ずっと気になっていたことを切り出した。
一瞬の沈黙の後、レオが口を開いた。

「・・・ボスは今ちょっと病院に行っています。」

「えっ!病院?ドンヒョクssiになにか?」

「いや、ジニョンssi、たいしたことじゃない。ちょっと怪我をしただけで・・
俺が無理やりクリニックに送り込んだんです。で、その隙にこうしてジニョンssiに連絡をしているんだが・・・」

「それって・・一体・・・なにがあったの?」

ジニョンの問いかけにレオはしばらく沈黙していたが、やがて重い口を開いた。

「ジニョンssi・・・ボスは・・帰国しません。」

「えっ・・・」

ドンヒョクssiが・・・帰って・・・こない・・・

「そ、そうよね・・・今、大切な時期ですものね・・・もうすぐ契約だし・・・」

ジニョンは、なんとか気を取り直して、そう答えた。
ドンヒョクの肩には、多くのものが乗っているのだから・・・自分の夫というだけではないのだ・・・
会社やスタッフ・・その家族の生活までドンヒョクは背負っているのだから・・・

このプロジェクトをなんとしても成功させなければならないのだ・・・ジニョンは自分にそう言い聞かせた。


「いや、そうじゃないんです。そんなことではない。
ジニョンssiたちを守るには、今はボスとは距離を置いたほうがいい。こうするしかなかったんです。」

「私たちを・・守るために?」

「そうです。
さっきも言ったように、マスコミの攻撃からジニョンssiたちを守るには、ボスが近くにいないほうがいい。
ジニョンssiたちだけなら、全くの私人として、徹底的に取材規制ができるし、法的に厳重に抗議することも
できます。
ただボスが韓国にいるとなると、そうもいかない。当事者としてマスコミはしつこく追いかけ回すでしょう。
それを全て排除することは難しい。そうなると、多かれ少なかれ、ジニョンssiたちも巻き込まれてしまう。
だから、ボスにはこのままアメリカにいてもらうんです。
さすがにアメリカまではやつらも追ってこないだろうし、ボス一人ならなんとでもなる。
とにかく、今は、ボスとは離れていたほうがいい。
ジニョンssiや子どもたちを守るため・・・そういう理由なんです。」


「・・・ええ・・分かったわ。レオssi・・でも、ドンヒョクssiは・・・納得しているの?」

「・・・なんとか納得させましたよ。」

そこでレオが重いため息をついた。

「パソコンが2台、電話が3台、携帯電話やコピー機やFAXも使い物にならなくなったが・・・」

「えっ?レオssi・・・それって・・・」

「ボスが癇癪を起こすとどうなるか・・ジニョンssiも知っているでしょう。
飛び散った窓ガラスで、腕をちょっと切って、それでクリニックに送り込んだんです。」

ドンヒョクssi・・・暴れたのね・・・

ジニョンの脳裏には昔ホテルで謝罪にきたテジュンの前で、壁にシャンパンを投げつけたドンヒョクの様子が
甦っていた。


「そういうわけで、ジニョンssi、とにかくできるだけ早く帰国しますから・・・」

そこでレオの言葉が途絶えた。「まずい!ボスだ。それじゃ一旦切ります。」

唐突に電話が切れた。
ジニョンは受話器を見つめながらレオの意図を悟った。

たぶんドンヒョクssiは、なんとしても帰国しようとするのだろう。それをジニョンに引き止めてもらいたいのだ。
だから、ドンヒョクより先にジニョンに連絡をしてきたのだろう。

程なくしてジニョンの携帯が鳴った。ドンヒョクからだった。


「ジニョン・・・実は・・・」

受話器を通して、ドンヒョクの深い苦悩がジニョンには伝わってきた。

「まさか、ドンヒョクssiが女優さんと浮気するなんて、思ってもみなかったわ。ドンヒョクssiってやっぱり凄いのね。」

ジニョンは、明るくドンヒョクをからかった。

「ジニョン!それは・・」

いきなりのジニョンの言葉にドンヒョクは一気に平静を失った。

あわてて、ジニョンがとりなす。

「嘘よ。冗談よ。レオssiから聞いたわ。」

「レオが?」

「ええ、さっき連絡があったの。だから心配しないで。それよりドンヒョクssi、怪我の具合はどう?大丈夫?」

「そうか・・・レオのやつ・・・」


そう言ったきり、ドンヒョクはしばらく沈黙していたが、「なんともないよ。ただのかすり傷だよ。」と答えた。


「実は、ジニもちょっと怪我をしたみたいだったから、一緒にクリニックへ行ったんだ。」

「えっ?ジニssiに怪我をさせたの?」

「僕もそう思ったから、クリニックへ行ったんだよ。ところが、僕以上の軽症だった。
ジニのやつ・・・レオに一枚噛んでたんだな。」


含みのあるその言葉からドンヒョクの気持ちが、ジニョンにも伝わってきた。

勘のいいドンヒョクのことだ。
すぐにレオの意図を察したのだろう。
ここは、レオssiの忠告どおり、なんとかドンヒョクssiの帰国を阻止しなければ・・

「とにかく、こちらは大丈夫よ。レオssiがあれこれ気遣ってくれているわ。
ドンヒョクssiは予定とおり、そちらでプロジェクトをやり遂げてちょうだい。」

「ジニョン・・・でも・・・」

「大丈夫よ。そんなに騒ぎにならないわよ。
一週間たって新しい雑誌が刊行されたら、みんなすぐに忘れてしまうわ。」

「ジニョン・・・」

「それとも・・・ずっと話題を独占するとか?あら、ドンヒョクssiって、そんな大スターだったかしら?」

ジニョンの軽口にドンヒョクの口調が少し和らいだ。

「私たちは、大丈夫よ。ドンヒョクssi・・・」

ジニョンは、諭すようにドンヒョクに語りかけた。

そしてあれこれ、言葉を尽くして説得を繰り返した結果、ドンヒョクはようやくしぶしぶながら納得し
「ありがとう、ジニョン・・・」と言い、少し口ごもったあと、「・・・ごめん・・」と言った。


しばらくして、ドンヒョクとの電話を切ったあと、ジニョンの心の中は、言いようのない不安が渦巻いていた。

まさか、ドンヒョクと女優の浮気を疑っているわけではない。
100%ドンヒョクを信じていると言い切れる。

それよりも、いつもと、どこか、何かが少し違うように感じられるドンヒョクのことが気がかりだった。


いつもは、隙のない、パーフェクトともいえるビジネススタイルを貫いているドンヒョク

もちろん、過酷な経済事情の中、いつも、そうなにもかも上手くいくわけではない。
数々の紆余曲折はあるだろうし、実らなかったプロジェクトもあっただろう。

しかし、こんな失態は初めてだった。
スキャンダルよりも、それに気づかなかったドンヒョクの心の揺らぎがジニョンには不安だった。

あのドンヒョクssiを、それほどまでにさせる今回のプロジェクト
それが、ドンヒョクにとって、どんな意味を持つのか、ジニョンは知るのが怖かった。


あの頃、なんとなく気になったジニョンは、「チャールズ・ジョンソン」という実業家について、
それとなくソヨンに聞いたり、自分でも調べたりしたものだった。


『チャールズ・ジョンソン
東部で、代々続く実業家一族の出身
クラブやカジノを経営していたが、彼の代でホテル事業に進出
持ち前のビジネスセンスや、政界にも食い込む独自のスタイルで事業を拡大
「アリシアホテルグループ」は東部一のホテルチェーンとなる。
ホテルの名前は愛娘のアリスから』


ジニョンの記憶がそこで何かに引っかかった。

アリス・・・・アリス・ジョンソン

昔、どこかで聞いたような・・・
なんとなく、ドンヒョクに聞き辛く、ジニョンはこっそりとネットを使って調べたのだった。

さすがに、一般人のプロフィールなどたいして調べられないだろうと思っていたのだが、
いわゆる「セレブ」の部類のアリス・ジョンソンの私生活は思いのほか、判明した。

東部一のホテルチェーンの一人娘のアリスは、どうやら、ビジネスがらみの結婚をしたようだ。
ところが、数年後に離婚となるが、その当時は愛人やら元夫の横領やらで、随分マスコミを騒がせたようだ。

そんなアリスのスキャンダルより、ジニョンはそのプロフィールに目が留まった。

ハーバード大学卒・・・
ドンヒョクssiと同時期、同学部・・・・

二人は・・・知り合いだったの?
アリス・・・アリス・ジョンソン・・
昔、どこかで・・・聞いたような名前・・・

ハーバードの同窓会名簿?
クリスマスカード?
ドンヒョクssiあてに届いたエアメール?

ジニョンの心の中に、小さな疑念が沸き起こった。
このプロジェクトに、ドンヒョクssiがそんなに熱中するのは、この人と昔なにかあったからなの?
だから、彼女の父親も執拗にドンヒョクssiを攻撃するのだろうか・・・


ドンヒョクが帰国しないのは、最良の判断だ。
頭ではそれを理解したジニョンだったが、ただただ無性にドンヒョクに逢いたかった。
あの腕に抱かれれば、全ての不安が吹き飛ぶのに・・・


ジニョンは、携帯を片手に遠くアメリカに続く空を眺めた。






(2011/5/13 MilkyWay@Yahoo UP  Sentimental journey 12・13・14・15・16 )


 
 
 

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