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D&J |
こちらは、ドンヒョク&ジニョンを中心としたお話の部屋です。
私なりに想像した二人のその後・・・というお話になります。
婚約時代から、結婚後、ファミリーのお話・・・とありますが、時系列がばらばらだったりして、読みにくい一面もあると思いますが、よろしければお付き合いくださいませ。
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No |
76 |
HIT数 |
1887 |
日付 |
2009/03/04 |
ハンドルネーム |
Library Staff |
タイトル |
No Reason 1 不在 |
本文 |
『No Reason 1 不在』
To フランク 貴方を待てない私を許してね。 私、遠い夢は待てなかった。 From ヨンア
「じゃあ、気をつけてね。ドンヒョクssi いってらっしゃい」 そう明るく言うとジニョンは電話を切った。
「あら、今日から出張?」 向かいのデスクからイ・スンジョンが声をかけるとジニョンは小さくため息をついて答えた。
「ええ・・今日から2週間・・・」
「まぁ、それは寂しいわね。何てったって今が一番楽しい時ですものね。」 「そうなんですか?」
「そうよ、婚約時代が一番気楽で楽しいものよ、結婚したらなにかと大変なんだから。」 とスンジョンはえらそうに先輩風をふかした。
そうかしら? 少なくとも結婚したら毎日一緒にいられるじゃない? こんな風に寂しく思うことも少しは減るんじゃないかしら? 出張前だってなにかと忙しくてゆっくり会えることも少なかったし・・・
「ほら、感傷にひたっている場合じゃないわよ、仕事、仕事」 「はいはい、わかってます」 そう答えるとジニョンはもうすぐ到着するお客様を迎えるために席を立った。
「今日いらっしゃるお客様は・・・・あら、」とジニョンは資料から目を離すと明るい表情でフロントの方を見た。
・
・・・マイケル・キム・・・ドンヒョクssiと同じ韓国系のアメリカ人ね・・・ ドンヒョクの出張中にソウルホテルにやってきた彼の国からのお客様はジニョンに不思議な縁を感じさせた。
・
・・いやね、私ったら・・・なんでもドンヒョクssiと結びつけて考えたりして・・・
ジニョンはふっと微笑むとそのお客様を迎えるためフロントへ向かった。 盛んに話しながらフロントで賑やかに手続きをしているそのお客様、マイケル・キムはいかにも、人好きのするアメリカ人という感じがした。
・
・・・いかにもクールって感じのしたドンヒョクssiとはえらい違いね。
またしても彼と関連づけて考えている自分にあきれながらもジニョンは彼に声をかけた。 「マイケル・キム様でいらっしゃいますね。ようこそ、ソウルホテルへ。 担当をさせていただく支配人のソ・ジニョンでございます。」
にこやかな笑顔を浮かべながら挨拶をしたジニョンの顔を見たマイケルの表情が一瞬固まった。
・
・・・お客様?・・・
驚いたようにジニョンの顔をじっと見ているマイケルに「あの・・お客様?どうかなさいましたか?」 とジニョンが問いかけると「・・・・いえ・・何も・・失礼しました。」とマイケルはジニョンからやっと目をそらした。
ジニョンは腑に落ちない思いでいたが、気を取り直し「では、お部屋にご案内いたしますね。」と、まだどこか呆然としているマイケルにいつもの笑顔を向けた。 マイケルは部屋に向かって歩きながらも、ホテル内の施設をあちこち説明するジニョンをどこか困惑した眼差しでちらちらと横目で見ていた。
・
・・・何かしら?私何か失礼な事でもしたかしら?・・・・・
やっとマイケルを部屋に通して、挨拶をした後オフィスに戻りながらもジニョンの頭は?マークで一杯になった。
「ちょっと、ソ支配人の担当のお客様、なかなか素敵じゃない!」オフィスにはいるなり興奮した イ支配人の歓迎を受けたが、「・・・そうですね・・」とジニョンは気のない声で答えただけだった。
「あら、なによ。どうかした?」 「・・・いえ、別に・・・ただ、あのお客様、私の顔を見て・・変な顔をされたから・・・」
「変な顔?」 「・・・ええ・・」とデスクに座って頬杖をつくジニョンに向かって「あら、まさか!」とスンジョンは声を張り上げた。
「な、なんですか?先輩」思わず顔を上げて問いかけるジニョンに「まさか、またなの!全くもう!2度ある事は3度あるって言うけど・・・ あら、これが2度め?あら?あら?」とスンジョンはわけのわからない独り言を言い始めた。
「先輩!何を一人で騒いでるんですか」 「あら、ソ・ジニョン、貴方またお客様に惚れられたんじゃないでしょうね」
「はぁ?」 「だって、あのお客様にじっと見つめられたんでしょう?」
・
・じっと見つめられたんじゃないわよ。変な顔をされたのよ とジニョンが反論するまもなくスンジョンがまくし立てはじめた。
「シン理事の時と同じじゃない。理事だって一目惚れなんでしょう。 しかもあの客様は理事と同じ韓国系のアメリカ人・・・・これは運命ね。」
・
・・何が運命なのよと反論する気もなくなったジニョンに向かって尚もスンジョンは 「し、か、も、今理事は出張中・・・・どうする、ソ・ジニョン!私だったら・・・」と空想の世界に突入しだした。
その時「よくある手だな」とオフィスの隅からいきなり声がした。
「総支配人・・いつからそこに・・・」驚くジニョンたちを尻目にオ総支配人は二人に向かって「男がよく使う手だ。 あれ、前にお会いしたことはありませんでしたか?とかなんとかいって、気を惹いといて、初めて会ったような気がしませんね、きっと僕達は縁があったんですよ。 運命の出会いかな・・・なんて言って口説くんだよ。それが男の手口だよ。 ちょっと格好いい男に言い寄られるとすぐ本気にして・・全く、これだから、女ってやつは・・・」 と首を振って話し終えた。
「あら、ダーリン」スンジョンの氷のような声がした。 「ずいぶん詳しいのね。貴方もそうやって女に言い寄った事があるのかしら?」
「いや・・これは、一般論で・・・その・・」 早くも夫婦喧嘩の雲行きを現してきた二人をのこしてジニョンはそっとオフィスを後にした。
・
・・まったく、やってられないわ。お二人でどうぞごゆっくり・・・
翌日からのマイケルは、ビジネスセンターの案内をするジニョンにまったく屈託のない様子のいかにもアメリカ人という態度で接した。 何でも興味を持ち、派手に驚き、時折ジョークを交えて陽気に質問をしてジニョンを笑わせた。
「マイクと呼んで下さい。僕もジニョンと呼びますから」 「あ、でも・・お客様・・」
「僕は貴方のただのお客様でいたくないなぁ。」と言って明るく笑う。
困った様な笑顔を浮かべながらも、どこかで聞いたようなセリフねとジニョンは心の隅で思っていた。
・
・・ほら、また考えてる ・
・・まだ、出張は始まったばかりなのに・・・もう寂しくてしかたないなんて・・・
「ソ支配人?」 「あ、すみませんでした。えっと・・次はどこにご案内いたしましょう?」 いつものホテリアーとしての笑顔を取り戻して尋ねるジニョンに向かってマイケルは突然真面目な顔でこういった。
「ホテル以外のところはだめですか?」 「えっ?」
「僕は何度も韓国へ来ているけれど、案外ソウルは詳しくないんですよ。案内をしていただけませんか?」 「お客様・・・あの、お客様とホテルの外で個人的に、その・・なんていうか・・・」
「客とホテリアーではなく、マイクとジニョンとしてなら?」
思わぬ問いかけに一瞬言葉を失ったジニョンを見て「冗談ですよ。」と明るく笑うと 「婚約者がいるって聞きましたよ。残念だなぁ」とジニョンを見た。
その時その目の中になにか計り知れないものを見た様な感じがしてジニョンは少し違和感を持った。 「案内をありがとう。気が変わったら連絡してください。」そう言って去っていくマイケルの背中を見ながら、なんとなくジニョンの心がざわついた。
・
・・ドンヒョクssiと同じように言われたからよ。それだけよ・・・・
それでも、ジニョンは心のどこかで全くタイプの違うマイケルを見て何故かドンヒョクと同じような陰を感じていた。 しかし、その後のマイケルの様子に特に変わったところはなく、相変わらず陽気に振舞いジニョンを楽しませてくれる。
ご案内はできませんけど、お勧めの観光コースをリストアップしておきますね、 とジニョンが作成した観光案内をもらったマイケルはお礼にと大量の花束をジニョンに贈ってきた。
300本とまではいかないが、その大きなピンクのバラの花束にオフィスはまたも騒々しくなった。 ほら、言ったとうりでしょう?やっぱりあのお客様ジニョンssiに気があるのよ、とうれしそうに大騒ぎを始める
スンジョンにため息をつきながらも、何からなにまでドンヒョクのアプローチと似ているマイケルにジニョンは疑問を感じはじめていた。
誰かから、何か聞いたのかしら・・・ だって・・・
ジニョンはここ最近のマイケルの様子を思い返していた。 プールの現場確認に行ったジニョンの前に突然現れて驚かしたマイケル、ダイヤモンドヴィラの中を点検していたジニョンに、こんなところでお会いするなんて偶然ですねといってあらわれたマイケル・・・・
考えすぎよ、あの人がドンヒョクssiの真似をする理由がある? とジニョンは自分の疑問を否定したが、ホテル内では早くも噂がたち始めていた。
第二のシン・ドンヒョク 彼の出張中に現れたソ支配人の新しい求婚者
そう言ってみんなが面白がって噂をすることはジニョンにとって迷惑以外の何者でもなかった。
そんなある日、当直支配人のジニョンにカクテルバーから連絡が入った。
「ソ支配人、お客様がまだお帰りにならなくて・・・従業員が退勤できなくて・・」 「そう、わかったわ。すぐ行くわね」
いつかどこかであったようなシュチュエーションね。まさか、また?
急いでカクテルバーに向かってみると、案の定そのお客様というのはマイケルだった。
「お客様、従業員もお客様をお待ちしております。」 「営業時間は終わり?」
あの時交わした会話そのままね ジニョンの脳裏にあの時のドンヒョクの姿が甦ってきた。
たしか・・あのあと・・ダイヤモンドヴィラで・・・ ジニョンの物思いを打ち破るようにマイケルは席を立った。 「お客様、大丈夫ですか?」 足元のあやしいマイケルの後を追って、ジニョンもバーをあとにした。 「どうも、酔っ払ってしまったみたいだ。すみませんが、部屋まで送ってもらえますか?」
・
・・また?・・・
ジニョンは胸に湧き上がってくる微かな疑惑を押さえつけながら、にこやかに微笑んだ。 「もちろんです。お客様。」 二人して、夜更けの小径を歩いているとマイケルが突然立ち止まった。 「お客様?」
「ソ支配人、貴方は本当にいい人ですね。」 「えっ?」
「こちらに滞在してから、ずっと貴方の事を見てきましたよ。仕事に走り回る姿や、同僚達と楽しそうに過ごす姿や・・・ 貴方は本当にこの仕事がお好きなんですね。」 「ええ、この仕事が大好きです。」 ジニョンは穏やかに笑った。
「本当に貴方は素敵な人だ。」 そう言うとマイケルはジニョンにゆっくりと近づいた。
「だから、僕はもうこれ以上黙っていられない。」 暗闇をバックにゆっくりと近づいてくるマイケルの姿に思わずジニョンは後ずさりした。
「お客様?」 「貴方は騙されている。」 「えっ?」
マイケルは後ろの木に阻まれてこれ以上後ろへ下がれないジニョンにゆっくりとまた1歩近づいた。
「貴方は騙されている。 フランク・シンに。」 「フランク・シン? ドンヒョクssiをご存知なんですか?」
マイケルは暗い目をして答えた。 「ええ、知ってますよ、とてもよく知っている。 彼とは・・・高校、大学といっしょだったんですよ。」
驚いて声もでないジニョンにまた1歩近づきながら、ゆっくりとマイケルは話し始めた。 「そう。僕はフランクをよく知っている。貴方以上にね。」 そう言ったあと、どこか遠い目をして彼は続けた。
「あのフランクが急に結婚すると聞いて僕は大変驚きました。 僕の知るフランクはそんなタイプではなかったから・・・ でも、貴方を見て納得した。貴方はキ・ヨンアにそっくりだ。」 ・
・・・なんですって?・・・・
「キ・ヨンア・・・フランクから聞いた事はありませんか?」 そこまで言ってジニョンの目を見つめながらマイケルはゆっくりと微笑んだ。 「彼女はフランクが愛した、ただ一人の女性ですよ。貴方は彼女の身代わりにすぎないんですよ。」
・
・・・愛した、ただ一人の女性? 身代わり?
ジニョンの頭の中はマイケルの言葉がうずまき、それが何を意味するのか考えることすらできずにいた。 「貴方は純粋な人ですね。出来れば言わないでおこうと思っていたけど・・・ やっぱり貴方の為にこれ以上黙っている事はできません。ソ支配人、貴方はフランクに騙されている。」
薄暗闇の中、マイケルがゆっくりとジニョンを見た。 「聞きたくありませんか?フランクとヨンアの事を・・・ 二人の事を・・・」 いつも陽気に笑っているマイケルの顔が、今は暗く計り知れない表情を見せていた。 「わ、私は・・・・」マイケルは思うように言葉がでてこないジニョンを気の毒そうにみた。
「ヨンアはフランクがたったひとり本気で愛した人ですよ。二人は高校では有名なカップルだった。 卒業パーティーのパートナーにもフランクはヨンアを選んだ。 大学に入って離れても二人の付き合いは続いていました。でも・・・」
「でも?」思わずジニョンの口から先を促す言葉が零れ出た。 その様子にマイケルはどことなく満足げな笑みを浮かべた。
「そう、あれは・・・大学2年の時かな。結局遠距離恋愛が破綻してヨンアは別の人と結婚してしまったんです。 その時のフランクの様子は見ていられませんでしたよ。とても荒れて・・・
たしか、そう、あれは彼がガソリンスタンドでバイトしていたときの事だった。 強盗に入られたんですよ。そしたら、フランクは手元にあった拳銃を自分の頭につきつけて・・・ まさか、本当に死にたいとまで思いつめていたとは僕も気がつきませんでしたよ。」
・
・・あの時の・・・
ジニョンの顔から血の気が引いた。
「それからの彼は・・・まともに誰かとつきあう事はありませんでした。彼にとって恋愛はゲームになってしまった。 愛というものをまったく信じられなくなったようでしたよ。社会にでてからも・・・ だから結婚すると聞いて驚いていました。でも、ソ支配人を見て僕は納得した。 貴方がヨンアに似ていたから・・だから、フランクは貴方との結婚を決めたんですね。 でも、このままじゃソ支配人が不幸になるだけだ。 貴方はヨンアの身代わりにすぎないんですよ。」
マイケルは表情もなく後ろの木にもたれかかるようにしてようやく立っているジニョンをみた。 「フランクにこう言われませんでしたか? 今まで誰も愛した事はない、愛したのは貴方だけだ と・・」
・
・・・あっ・・・・
「やはり・・・これは彼のくどき文句ですよ。」
・
・・まさか・・・
「まず、プレゼント攻めにする。そう・・花かなんかを贈って・・バラか百合・・ 次々とプレゼントを贈ったり、あちこちに連れ出す。そしてこの言葉を言う。 今まで誰も愛した事はない、愛したのは貴方だけだ。とね。 ソ支配人、貴方はフランクにそう言われたんですね」 すっかり顔色を失ったジニョンを見てマイケルは気の毒そうにうなづいた。
「やっぱり・・ソ支配人、貴方はフランクに騙されている。」
騙されている? 私が?
そのときジニョンの無線が鳴った。 『ソ支配人、社長がお呼びです。社長室までおいでください。』 震える手で無線をつかむと「わ、わかりました。すぐ行きます」となんとか答える。
「す、すみません。もうそこがお客様のお部屋ですね。では、これで失礼いたします。」 ジニョンは体中の力を振り絞ってその場をあとにした。
ところがホテルの従業員用の階段まで来ると、急に全身の力が抜けてきた。 その場に崩れ落ちるようにしゃがみこむと真っ青な顔を壁に押し付けて目を閉じた。
誰かに似ている・・ その言葉はジニョンの胸に突き刺さった。
アメリカでほんの少しの時間を過ごしただけで、ドンヒョクssiはソウルホテルへやってきた。 仕事もあったけど、ここへきたのは私に会いたかったからだと言って・・・ ああ・・だけど一目ぼれなんて本当にあるのかしら?
でも、もし、私がドンヒョクssiの知っている人に似ていたのだとしたら・・ その人のことがずっと忘れられなかったとしたら?・・・ だから、あんなに急に私の事が好きだなんて言えたの? よく知りもしないのに・・・ ジニョンはドンヒョクと出逢った頃の彼の急速なアプローチを思い出していた。
・・・教えて、ドンヒョクssi 私は誰かの身代わりなの?・・・
(2005/03/01
サファイアUP)
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