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Milky Way Library
Milky Way Library(https://club.brokore.com/sunjyon)
「Hotelier」にインスパイアされた創作(written by orionn222)の世界です
サークルオーナー: Library Staff | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 732 | 開設:2008.11.22 | ランキング:51(8198)| 訪問者:141174/418585
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Imagination
Cottage
Private
Congratulations
Gratitude
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D&J


こちらは、ドンヒョク&ジニョンを中心としたお話の部屋です。
私なりに想像した二人のその後・・・というお話になります。 婚約時代から、結婚後、ファミリーのお話・・・とありますが、時系列がばらばらだったりして、読みにくい一面もあると思いますが、よろしければお付き合いくださいませ。
No 80 HIT数 1253
日付 2009/03/04 ハンドルネーム Library Staff
タイトル 扉の向こうのアメリカ
本文 >

『扉の向こうのアメリカ』




バタンっと大きな音をたてて書斎のドアが閉まった。
貴方の大きな背中が薄暗い部屋の中へと消えていく。
私は大きくため息をつくと「全く!もう!」とダイニングの椅子にどすんと腰を下ろした。

全く!もう!
どうしてああ、怒りっぽいの?
本当に子供みたいなんだから・・

何が「君の予定はいつも未定だ」よ
第一いつも忙しいのはそっちの方でしょう?
いっつも待ちぼうけを食ってるのは私の方よ。

今度だって・・・
結婚してまだ3ヶ月しかたってないのに、いきなり長期出張だなんて・・
しかも3ヶ月も・・・

私が毎日どんな気持ちでいるのかなんか、ドンヒョクssiにはわからないわよ。
毎日毎日ちょっとずつ、二人の部屋のなかのドンヒョクssiのものだけがトランクの中に消えてゆく。
今日はスーツ、明日はコート
そうやって少しずつ、少しずつ貴方が消えてゆくのを私がどんな思いで見つめていると思っているの?

「君は毎日仕事で忙しそうじゃないか」
そうよ!その通りよ。
だってそうやって忙しくしていないとドンヒョクssiの顔を見るたび泣き出してしまうじゃないの。

今日は特にドンヒョクssiを見るのがつらかった・・
ベージュのトレンチコート、あれが壁にかかっているのを見てしまったから・・・
貴方のあのコート
私はあれが大嫌い

あのベージュのトレンチコートを見るたびアメリカが貴方を連れ戻しにくるようでとっても怖いの。
だから、私達が結婚して初めての二人の休日に、まず最初にした事がドンヒョクssiのコートを買うことだったでしょう。

ふんわりと優しいキャメルカラーのダッフルコート
ドンヒョクssiがこれを着るとまるごと全て私のものになる
その大きなポケットに一緒に手をいれて、貴方の温かな手に包まれるのが何よりも幸せ。

でもあのトレンチコートを着たドンヒョクssiはどこか私の知らない貴方のように感じるわ。
私の知らないアメリカでの21年があのトレンチコートには詰まっている。

私の知らないアメリカでの貴方。
フランク・シン in NY

少しでもそれを知りたくてハネムーン先にアメリカを選んだけれど・・・
なんだか、貴方が少し遠かった・・・

いつか、アメリカがドンヒョクssiを連れ去っていきそうで・・・
アメリカを捨てたことをいつか貴方が後悔しないか、それがいつも私の胸の底に澱の様に沈んでいる。

扉の向こうの小さなアメリカ
貴方は今そこにいる。


だけど、ドンヒョクssiといられるのもあと少しなのに、こうやって二人の時間を減らすことはとても愚かなことだと気がついた。
だって、もうすぐその笑顔も、その声も、私を包むその胸も、後ろから抱きしめて頬を寄せるその大きな背中も
絡めて眠るあの足も、貴方の全てが、なにもかも、アメリカが持っていってしまう。
パソコンの向こうに、受話器の彼方に、写真の中にしかドンヒョクssiを感じられなくなってしまうのね。

そうしたら、こんなつまらない喧嘩すらできなくなるのかしら?
時間を気にして、お互いを思いやって、僅かな瞬間しかドンヒョクssiとつながりあえない。

もったいないわね。こんな事・・・

私は携帯を手にして貴方の番号をプッシュした。
「・・・はい」
受話器越しの貴方の声が扉の向こうから聞こえてくる。

「・・・ごめんなさい・・」
「・・・僕もちょっと言い過ぎたよ。」

携帯を手にしたままちょっと困った笑顔を浮かべながら扉を開けて、貴方が小さなアメリカから帰国した。
私は思わず「お帰りなさい」と言いそうになり、この言葉は貴方が本当に帰国するまで
大切にとっておこうと思い直して、貴方の目をしっかりと見てこういった。

「ここへきて、私をしっかり抱きしめて」
私の最後の言葉は大きくて温かな貴方の胸の中に消えていった。

「ジニョン・・」
もうすぐ無くなる本物のぬくもりと受話器越しでない本物の声
貴方の優しい口付けがうれしくて、ちょっとせつない・・




(2005/03/06  サファイアUP)

 
 
 

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