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Milky Way Library
Milky Way Library(https://club.brokore.com/sunjyon)
「Hotelier」にインスパイアされた創作(written by orionn222)の世界です
サークルオーナー: Library Staff | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 732 | 開設:2008.11.22 | ランキング:51(8198)| 訪問者:141175/418586
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Imagination
Cottage
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Congratulations
Gratitude
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D&J


こちらは、ドンヒョク&ジニョンを中心としたお話の部屋です。
私なりに想像した二人のその後・・・というお話になります。 婚約時代から、結婚後、ファミリーのお話・・・とありますが、時系列がばらばらだったりして、読みにくい一面もあると思いますが、よろしければお付き合いくださいませ。
No 88 HIT数 1349
日付 2009/03/04 ハンドルネーム Library Staff
タイトル 燦々
本文
『燦々』




眩い朝の光が溢れる教会の重厚なドアの前にジニョンは父と腕を組んで立っていた。
・ ・このドアの向こうには、私達の結婚を祝ってくれる多くの人達と、そして、貴方がいる

少し緊張したジニョンの腕を父は優しくたたいた。
「大丈夫か? ジニョン」
「ええ お父さん ちょっと緊張しているけど私は大丈夫よ」
ジニョンは少しぎこちなく笑うと「お父さんは?」といたずらっぽい目で父を見上げた。

そんな表情は子供の時とちっとも変わらないなと思いながらジニョンの父は真っ白なウエディングドレスを着た娘に微笑みかけた。
しかし、何故だかずっとは見ていられない。

ジニョンの父は目の前の教会のドアをちょっと怖い顔をして睨みつけるとそのまま前をむいた姿で、ジニョンに語りだした。

「ジニョン・・何事も惜しむなよ。」
「・・惜しむ?」
不思議な父の言葉にジニョンは問い返した。

「それってどういう意味?」
「何事も惜しむな。与えると決めたのなら、なんでもたっぷりと与えればいい。
気持ちの全てを、自分の全てを余すことなく相手に与えればいい。
自分を惜しんだりしてその気持ちを減らすんじゃないぞ。」
ジニョンにはまだ父の言うことの真意はよくわからなかった。

「お父さん・・・」
「ジニョン、言葉を惜しむな。気持ちを伝える手間を惜しむな。
言わなくたってわかるだろうというのは、父さんに言わせれば、ただの手抜きだ。
自分ひとりで想っていたって伝わらなくちゃ意味がない。そんなのは傲慢だ。」
そこまで言うと父はしっかりとジニョンの目を見た。

「お前も知っている通り、父さんたちが結婚した時、うちは大家族だっただろう?
まだ、父さんの兄弟達も家にいたし、それにあのおばあちゃんだ。」
ジニョンは今もかくしゃくとして、教会の最前列に座る頑固な祖母の姿を思い浮かべた。

「まだ若かった母さんにしてみたら、それは大変なことだったと思う。
でも、父さんはいつだって母さんに気持ちを伝えることを惜しまなかったぞ。
母さんの顔を見るたび大切だという気持ちを伝えた。
綺麗だと思うときは恥ずかしがらずにそう言ったし、この世で一番大事な人だとずっとずっと言い続けてきた。」

そこまでいうとジニョンの父はぷっと吹き出した。
「もっとも、言い過ぎたのか、最近では大好きだといっても「はいはい」って返事されるだけだけどな」
ジニョンも父を見上げてくすっと笑った。

確かにジニョンよりもずっと若い年齢で大家族の長男に嫁いできた母の苦労は並大抵のものではなかっただろう。
でも、ジニョンの思い出の中で母はいつも笑顔だった。
その笑顔の影にたくさんの涙と忍耐があったであろう事は今のジニョンにはよく理解できた。
それでも子供達の前ではいつも笑顔でいられたのは、こんな父の支えがあったからなのだろう。

「お父さん・・・」
ジニョンはそこまで言うと胸が詰まって言葉が出なくなった。
「お前もドンヒョクssiにいつもちゃんと気持ちを伝えていけ。愛を伝えることを惜しむんじゃないぞ。」

ジニョンは絡めた腕に力を入れて返事した。
「はい・・お父さん・・」
そこまで言うとジニョンの父はまた前を向いて続けた。

「それからな・・・結婚したらいろんな事があると思う。
生まれも育った環境も、何もかも違った二人が一緒に生きていくんだ。
なんかあって当たり前だと思え。ないほうがおかしい。」
ジニョンの父はちょっと乱暴に鼻をすすった。

「まあ、あれだ・・・オリンピックを開催していると思ったらいい」
「オリンピック?」
父のとっぴな発想になれているジニョンも思わず声をあげた。

「だから、まあ、その・・なんだ・・まるっきり違った国が集ってなにかひとつの事を成し遂げるんだ。
協調と理解と共感と忍耐と・・あとまあ、ある程度の妥協と・・・
そうやって互いに平和な家庭を追求していきなさい。」
ジニョンはその父らしい励ましに、くすっと笑いを漏らしながらもちょっと泣きそうな気持ちになった。

「それからな・・これだけは言っておくぞ。」
父はもう一度しっかりとジニョンの瞳を見て言った。
「これからお前の人生に何があっても父さんはお前の味方だ。
たとえ世界中の人間がお前の事を責めたとしても、父さんは・・・父さんだけは一生お前の味方だからな。」
そこまで言うとしばらくは声にならない父の思いがまっすぐにジニョンに届いた。

「それだけは・・・それだけはしっかりと覚えておきなさい。ジニョン」
「・・お父さん・・・」
ジニョンの口からはありがとうという言葉が出るはずだったが、その言葉とともに涙も溢れ出してきそうで、
ジニョンは心の中で父にその言葉をつぶやいた・・何度も・・何度も・・

ジニョンの父は、今度は少しいかめしい声で続けた。
「とは言ってもお前も嫁に行ったらそんなに簡単に帰ってきたりするんじゃないぞ。
うちの門はドンヒョクssiと一緒でなければくぐれないと思っておきなさい。」
そう宣言したあとで小さな声で付け足した。

「・・まあ・・そうは言っても裏門はあいている・・」
父のその最後の小さな呟きがジニョンのはなむけの言葉となった。


やがて扉の向こうから荘厳な音楽が聞こえてきて、二人の目の前でゆっくりと扉が開いた。
まばゆいばかりの光に満ちたバージンロードの彼方にジニョンはドンヒョクの姿を見た。
光沢のある黒のタキシードに身を包んだ長身のドンヒョクは何故か厳しい表情でまるで怒っているかのように見えた。

きっとドンヒョクssiでも、緊張しているのね・・
そう感じ取ったジニョンは父に腕を取られて彼方のドンヒョクに向かって新しい1歩を踏み出した。
花々に彩られたバージンロードの両側には二人を祝福する人々の笑顔が見えた。

1歩、ジニョンはゆっくりと進んだ。
レストランのスタッフの人達の笑顔。
・ ・・ありがとう・・皆とっても綺麗よ・・

1歩、微かなドレスの絹ずれの音。
フロントの仲間達の笑顔。
・ ・・ありがとう・・・これからも何かと迷惑をかけるかも知れないけれどどうぞよろしくね

また1歩、ステンドグラスを通して差し込む七色の陽光
スンジョン先輩と総支配人の笑顔、
・ ・・お二人ともありがとう・・先輩達のような仲のいい夫婦になるわね。

1歩、荘厳なオルガンの響き。
・・・ジェニーの泣き笑い・・いやだ、そんなに泣かないでよ・・私まで泣いてしまうわ。

1歩、芳しい真っ白な薔薇の花々
・・・レオssiの満面の笑顔・・・どうかこれからもドンヒョクssiをお願いします。・
・・・子供のようなところのある手のかかる人だけど、レオssiがいないと駄目なんです。

1歩、少しずつドンヒョクssiに近づいてゆく。
・・・お父さん、お母さん、
・・・ありがとう・・・お二人から受けた限りない愛情はこれから生まれる私の子供達に返してゆくわ

1歩、目の前の十字架がジニョンを見下ろした。
・・・アメリカのご両親の輝くような笑顔・・
・・・ありがとうございます・・貴方がたの息子が今日結婚します。

また1歩
・・・東海のお義父さんのうつむいた目から落ちた涙・・どうか顔を上げてドンヒョクssiをしっかりとご覧になってください。

そして最後の1歩・・・・
テジュンの顔を見たときジニョンの瞳から一筋の涙が流れでた。

何故なのか、自分でもよくわからない。
ただ、いつだってテジュンの前では素直に流せなかった涙が今何のてらいもなくジニョンの瞳から零れ落ちた。

テジュンはそんなジニョンに向かって2、3度軽く頷くとそっと視線をはずしてかすかに俯いた。
ジニョンはそんなテジュンの姿に穏やかな微笑を贈ると涙に濡れた瞳のままゆっくりと前を向いた。

そこにドンヒョクがいた。

そこには何故かジニョンの事をまるで蜃気楼か何かのように見つめる、僅かに掠められたドンヒョクの瞳があった。
どこか夢を見ているような、今の瞬間が信じられない出来事のように見つめるドンヒョクの瞳の中にジニョンはそっと映りこんだ。

にっこりと微笑みかける。
その瞬間、まるで夢から覚めた人のような、かすかな驚きの後にドンヒョクにゆっくりと微笑が浮かんだ。

微笑むジニョンを映したドンヒョクの瞳が澄んだ湖のように透明な輝きを帯びた。
どこまでもどこまでも澄み渡った果てしなくpureな輝き・・・


二人して前を向き十字架を見上げる。
ジニョンの父がすっと後ろに下がった。

愛と誠実と敬愛と・・順境においても逆境においても、富めるときも貧しきときも・・・死が二人を分かつまで・・

誓いの言葉が静まり返った教会の中で天からの陽光のように参列した人々の胸に降り注いだ。
テジュンの胸に、ジェニーの胸に、東海の父の胸に、ジニョンの両親の胸に・・・

誓いのキスのためにヴェールをあげるドンヒョクの瞳の中にジニョンは二人の永遠を見た。
この世に二つに分けられて生まれ落とされたそれぞれの魂。
今やっとひとつになれるのかしら・・・

運命と宿命と偶然と必然と・・希望と絶望と孤独と安らぎと・・
それらの全てが今ひとつの「愛」というものに結実した。

貴方の目の中にある永遠という言葉の意味を今日から二人でたしかめていきましょうね
今このひと時も永遠へと続く一瞬、一瞬・・・

プリズムのようなどこまでも透明な今の私たち二人の心に、空から降り注ぐ光が、きらきらとまばゆく反射して、愛となって廻りに拡散してゆく。

それでもいろんな色を放つ愛という名のこの光は、きっと喜びや幸せのほかに、ある時は屈折して悲しみや寂しさという光を放つ時もあるのだろう。

ジニョンの唇に少し冷たいドンヒョクの唇が重ねられた。
温かなジニョンの唇から柔らかな熱が伝わりゆっくりとドンヒョクを暖めてゆく。
唇を、手足を、胸を、背中を、全身を・・・そして心を・・・

そっと唇を離した二人の心に愛が七色の光となって決して消えることのない神聖な虹を架けた。


笑顔と歓声の中ジニョンの手から投げられたブーケがくるくると舞って一瞬青空に吸い込まれ、
まばゆい光の中煌きながら誰かの手の中に落ちていった。





(2005/03/16  サファイアUP)

 
 
 

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