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K&R |
こちらは、ドンヒョクとジニョンの娘『かれん』と、その恋人『レウォン』のお話のお部屋です。
二人とも全くのオリジナルキャラクターですので、それでも、OK,OKとお思いの方は、どうぞお付き合いくださいませ。
尚、『レウォン」は、太王四神記で青龍の守り神を演じた「イ・フィリップ」ssiをイメージして創作しております。
かなーーり、個人的な趣味に走ったお部屋ですので、「まーこーゆーのも、ありよねーー」とお考えの方のみ、お入りいただけると嬉しいです。 |
No |
37 |
HIT数 |
1631 |
日付 |
2009/03/08 |
ハンドルネーム |
Library Staff |
タイトル |
ファジー&グレイ K&R 1 |
本文 |
『ファジー&グレイ K&R 1』
「へぇーー、喧嘩したんだ・・・」 「そうよ。」 「へぇーー、喧嘩するんだ・・・」 「・・・・するわよ。」
かれんは、思惑ありげな面持ちで、自分を眺める友人たちの視線をやり過ごすと、つんと顎を上げ、目の前の珈琲を口にした。
熱っ!!
苦くて濃い珈琲がかれんの舌と胸を焼いて、喉元を流れていった。
「ま、あれだけ一緒にいれば、喧嘩のひとつやふたつくらい・・・」 リジーがいつものような解説者の顔をして、その場をとりなした。
「まぁ、だいたい喧嘩の原因のおおよその見当はつくけど・・・」 「どういう意味?」 「例のチュータープログラムでしょう?」 「そういうわけじゃないわよ。」
友人たちの疑わしげな視線をやり過ごして、かれんは窓の外の曇り空に目を馳せた。
チュータープログラムとは、大学の授業において、先輩が後輩のチューター・・・ つまり個人教師となって学業を指導するというシステムだ。
ゼミの授業の一環として先輩と後輩が、一緒にひとつの研究課題に取り組み、レポートを作成するというプログラムだった。 といっても、ゼミの全員が参加するわけではない。
各ゼミの優秀者が上級生と下級生から各一名ずつ選ばれ、二人一組になり、そのゼミの代表としてレポートを作成するのだった。
確かに、選ばれることは名誉なことだったが、難易度の高いプログラムでもあった。 そのチュータープログラムに、かれんとレウォンは選抜されたのだった。
かれんのゼミで選ばれた下級生は、飛び級で進学してきた17歳のまだ幼さが残るコリンという生徒だった。
そして、レウォンは彼と同じハイスクールから進学してきたヴァネッサの担当となった。
「やっぱり、あれだけ一緒にいたら、お互いの相手のことが気になるわよねぇー」 「そんなのじゃないわよ。」 「あら、そぅおー、ま、かれんが気にしなくても、リックは絶対気にしてるわよ」 「あのね、だいたい、いくらなんでも、あのティーンエイジャーのオタク少年をあいつが、気にするわけないでしょう?」 「あーら、リックならかれんの側にいる雄猫だって、気にするわよ。」 そう言うと、友人たちは、くすくすと笑って目を見交わした。
まさか!
かれんは、ちょっと乱暴に珈琲カップをソーサーの上に戻した。 確かにあいつの独占欲は強いけど、今回に限りそれはないわ!
かれんは、妙に大人びた口を利きながらも、興味のあることにしか感心を示さない、所謂「オタク系」で、まだまだ子供のコリンの姿を思い浮かべた。
理屈っぽいコリンより、あれならいっそジェイのほうが、扱いやすいかしら・・・
・・・・いえ、やっぱりあのお馬鹿の相手よりは、ましよ!!
かれんは、すっかり冷めてしまった珈琲をぐっと飲み干した。
「・・・・お互いの見解の相違とでもいうところね」 そんなかれんの取り澄ました態度を見て、友人たちはいっせいに非難めいた声をあげた。
「どうせ、このレポートの提出までは、お互いこれに集中しましょう・・とかなんとか提案したんでしょう?」 「まぁ・・・これが終わるまでは、デートはしないでおこうっていう約束をしたのよ。もちろんお互い納得の上よ。」
「・・・・どっちが言い出して、どう約束させたかは、推測できるわ。」 「あのね、だって、あいつは奨学金を受けてるのよ。優秀じゃなければ、取り消されてしまうかもしれないでしょう? このレポートとチューターとしての評価はとても大事な事なのよ。 だからこそ、お互いちゃんと話し合いをして、納得して取り決めたことなの。」
「・・・どうせ、かれんに押し切られたんでしょうけど・・・それで?」 「それなのに、なにかとぐずぐず言い出して・・・一緒に帰ろうとか、珈琲でも飲んでく?とか、あれこれ理由をつけてはなし崩しにしようとしてるみたいな態度をとるのよ。」
「しごく当然の態度だと思うけど・・・」 「だって、このレポートが終わるまでデートしないって約束したのよ。」
「あのね、かれん、なにもそんなに頑なに約束にこだわることはないじゃない。 彼の部屋で10分でも一緒に珈琲を飲んだって約束を破ったことにはならないでしょう?」 「だって、あいつだって、ちゃんと納得したことなのよ。 だから、この期間中はお互いのドアの前できっちりbye-byeなの。」
「本当に融通がきかないんだから・・・なにも一切部屋に行かないって決めなくたって・・・」 「だって・・・」
「それに、お泊りしなくたってほんのちょっと一緒に過ごしたっていいじゃない。」 「・・・・あいつの場合、それだけじゃ、終わらないわよ・・」
「かれん、恋愛には、そういったルール違反はつきものよ。」 「あのね、あいつにとっても今は大切な時期なのよ。それなのに・・・だいたい、あの言い方が腹が立つのよ。 『へぇ・・かれんはそうなんだ・・』とか『かれんは、そう思うんだ・・・』とか!言いたいことがあれば、その場ではっきり言いなさいよ!」
「・・・・っていうか・・・かれんがあまりに直球過ぎる気も・・・」 「うん、リックの気持ちも、わからなくもないかも・・・・」 「なんですって!」
「まぁまぁ・・でも、今日で、無事レポートも提出し終えたでしょう?今夜から解禁じゃない?それなのに、なんで、喧嘩になったの?」 「だから、今夜のゼミの打ち上げで一区切りでしょう?うちはコリンが未成年だから、打ち上げは不参加だけど、 レウォンは、責任を持って最後まで彼女をエスコートする義務があるわって言ったら・・・・」
「あーーあ・・・なるほどね・・・」 「だって、これは最初からの約束だったのよ。 打ち上げでチューターとしての責務も終了だから、そこまでは、きっちり・・・」
「あーあー、それじゃ本当に可愛げがないっ思われるわよー。やっとデートできるっていうのにーー、 だいたい頑なすぎるわよ。約束したけど、10分だけ一緒に珈琲でも飲みましょうね。 これって、約束違反じゃないわよね。って可愛く笑ってこそ、愛しさも増すってものよー」 「可愛げがなくって悪かったわね」
「そんなことじゃ、あのヴァネッサと浮気されちゃうわよー」 「う、浮気って・・・・」
「だって、あの二人同じハイスクール出身でしょう?ヴァネッサはリックを追いかけてハーバードに来たっていう噂だし・・・ 『リック先輩にふさわしい女性になるために、最高にセクシーでキュートな女性を目差して努力してきました。』って、 リックに向かって堂々と宣言したっていうじゃない?心配じゃないの?」 「発言の内容は、さておいても、あの正々堂々とした態度は賞賛に値するわ。」
「もう!感心している場合じゃないでしょう?そんな暢気なこと言ってていいのー?」 「あのリックよ。ヴァネッサじゃなくても、狙ってる子はたくさんいるんだからー。 二人が喧嘩するのを、てぐすね引いて待っている女の子が行列してるわよっ」
友人たちの一斉の抗議の声に、一瞬ひるんだかれんだったが、リジーがいつものように冷静にその場を収めた。
「まぁまぁ、あのリックがかれんと別れるなんて事は絶対にないと思うけど、つまらない罠に引っかからないとも限らないわね。なんといっても男ですもの。 特に彼女と喧嘩中には・・・ま、でも、リックは大丈夫だと思うわよ。」 「・・・・」 「よし!!それじゃ、かれんも気晴らしにぱーーと行こう!」 グループ一乗りのいいマイリーが、こぶしを振り上げた。
「そうそう、こんなときには、馬鹿騒ぎするに限るわ♪」 「やっとゼミもひと段落ついたのよ。今夜は楽しまなくっちゃーー」 友人たちはいっせいに歓喜の声を上げだした。
「じゃ、行きましょーーー」 「えっ?どこに?なんでーーー?!」 「うちのゼミも打ち上げでしょう?気分転換にはもってこいよ。さぁさぁ、かれんも今夜はちょっと派手めなドレスに着替えて、ぱっとクラブに繰り出すわよーーー」 「ええーーーー?!」
結局友人たちに引きずられるようにして、例のレポート終了を含むゼミの打ち上げに参加することになったかれんだったが、 その前にドレスアップよ!とジーンズ姿を厳しく指摘する友人たちに急かされて、一旦家に戻って着替えることになった。
ドレスアップって言ったって・・・
かれんは自室のクローゼットの前で、大きなため息をついた。
今回の打ち上げの担当者は頑張って人気のクラブをセッティングしたらしく、それにあわせて派手めなものを・・と言われてはいたが、その手のものはかれんのワードローブには見当たりそうもなかった。
「ないのなら、私のドレスを貸すわよー」と友人たちが、のりのりで言い出してくれてはいたものの、 着こなす勇気もでず、結局自分的に比較的派手だと思えるドレスを選び出した。
・・とはいえ・・・・流行のクラブとやらでは、間違いなく地味な部類に違いないけど・・・
とりあえず、シャワーを浴びようと、バスルームで服を脱いでいるとき、ふと鏡に映った自分の体に目がいった。
真っ白な胸元・・・
なんだか自分の体じゃないみたい・・
そうよね・・・さすがに、もう消えちゃったわね・・・
君のつけた紅い華だって・・・いわゆる「女の子」の時期があって、そのあと、例のゼミが始まって・・・・
ちゃんと終わるまでお泊りはなしにしましょうって・・・約束した。
自他共に認める融通がきかないこの性格
kissすら、ゆっくりする時間も持たないまま・・・
「かれんは平気なんだ・・・」とか「かれんは、寂しくないんだ・・・」って・・ことあるごとに、不満げなため息を洩らすけど・・・
そりゃぁ、私だって・・本音を言えば、寂しくないわけがない・・・
だけど・・・、最初に二人で決めたことだもの
『先輩・・・』
その時、突然かれんの脳裏に優しくレウォンに呼びかけるあのヴァネッサの笑顔が浮かんだ。
アジアとアメリカのハーフで、ブルネットのロングヘアーにエキゾティックな容貌を持つ、間違いなく美人のヴァネッサ
友人たちの信望も厚く、いつも穏やかに明るく、キュートな笑顔を振りまき、気の利いたジョークであいつを笑わせる・・・
かといって、私のように「お堅い優等生」というタイプではなく、ナイスなbodyでさりげなく流行のドレスをお洒落に着こなし 上品なセクシーさを漂わせるヴァネッサ才色兼備とは、ああいう女性のことをいうのね・・・
ジェラシーというより、同じ女性として、認めざるを得ないというか・・・
かれんは、鏡に映った自分の姿を見て、小さなため息を零した。
私もあんな女性だったらいいな・・・と心のどこかで思ってしまう自分がいた。
レウォンともお似合いというか・・・
なにより、あのたおやかな女性らしさを単純に羨まずにはいられない。
男性と話すときのあの上品なしとやかさは、嫌味がなく天性の気質みたいだ。
大学の講義室で、時折、ちらちらと目に入る二人の光景
レウォンの話にくすっと忍び笑いを洩らしたり、上品な仕草で髪をかきあげる所作には、女性のかれんでも、どきっとする美しさがあった。
「先輩・・・ここが分からないんですけど・・・」
そう言いながら、小首をかしげるヴァネッサの肩をさらさらと髪が流れ落ち、その一筋がレウォンの腕に触れる光景は、まさに絵になる情景だった。
周囲もなんとなくお似合いだと認知している節もあり、二人が一緒に勉強している様は、学内の憧れのカップルという雰囲気を漂わせていた。
その近くでは、カリカリしたお堅い優等生と、理屈っぽいオタク少年の組み合わせ・・・
「ねぇ、ここはこれでいいんじゃないの?」 「あのね。さっきも指摘したでしょう!この論理には破綻があるの。」 「そうかなぁー、かれんが間違ってるんじゃない?僕のほうが正しいよ。」 「だからー!」
延々と続く埒のあかない論議は、周りからは面白がられてはいたが・・・
熱いシャワーをさっと浴び終えたかれんは、再び鏡に映った自分の姿に目をやった。
シン・かれん・・・
貴方って本当に不器用ね・・・
とてもじゃないけど、あの・・・ヴァネッサのように、おしとやかに、女性らしくふるまえない。
意地っ張りで強がりで甘え下手・・・
かれんは、ふうっ・・と大きなため息で、鏡の曇りを吹き消した。
****************** 「ファジー&グレイ K&R」編をお送りさせてください。
少し、長くなりましたので、3回に分けてのお届けになります。 最後まで付き合いただけると嬉しいです。
さて、ここブロコリでは、存続問題が起こったり、有料化へと進んでいったり・・・なにかと変化が起こっています。 Milkyの今後について、メンバーの皆様には、何かとご心配をおかけして申し訳ありません。m(__)m 考えてみれば、もう4年も書いているのですね・・・ 今後のことについては、少しじっくりと考えさせていただけるとありがたいです。m(__)m
どんな形になるにしろ、書き続けてきたホテリアー創作に、私なりのエピローグは、ちゃんと書いていきたいと思っています。
なんだか、ファジーでグレイなお答えで申し訳ありませんーー
(2008/11/20 Milky Way UP)
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