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Milky Way Library
Milky Way Library(https://club.brokore.com/sunjyon)
「Hotelier」にインスパイアされた創作(written by orionn222)の世界です
サークルオーナー: Library Staff | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 732 | 開設:2008.11.22 | ランキング:51(8198)| 訪問者:139980/417391
開設サークル数: 1238
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Imagination
Cottage
Private
Congratulations
Gratitude
容量 : 39M/100M
メンバー Total :732
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書き込み Total : 898
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K&R
こちらは、ドンヒョクとジニョンの娘『かれん』と、その恋人『レウォン』のお話のお部屋です。
二人とも全くのオリジナルキャラクターですので、それでも、OK,OKとお思いの方は、どうぞお付き合いくださいませ。 尚、『レウォン」は、太王四神記で青龍の守り神を演じた「イ・フィリップ」ssiをイメージして創作しております。
かなーーり、個人的な趣味に走ったお部屋ですので、「まーこーゆーのも、ありよねーー」とお考えの方のみ、お入りいただけると嬉しいです。
No 71 HIT数 1259
日付 2009/03/28 ハンドルネーム Library Staff
タイトル ファジー&グレイ K&R 2
本文
『ファジー&グレイ K&R 2』



騒音と紫煙と大音量の音楽とDJのアゲアゲトーク
流行のクラブで、かれんは耳を劈く最新のpop musicに軽く眉をしかめながら 人ごみの中を縫うようにゼミの仲間たちの席を探した。

「あーーーかれんーーー!!こっちこっちーーー」

ようやく見つけたゼミ仲間の席は、クラブの隅のほうで、お洒落な人たちでご った返すクラブの中では明らかにそこだけ浮いて見えた。

「なんだかねーー幹事が張り切りすぎちゃった感じよねーー」
「確かにぃーー、あきらかにこのメンツじゃ、ここでは浮いてるわよねーー」
「特に、このメンズじゃあねーーー」

お世辞にもお洒落で遊びなれているとは言いがたいゼミの男子学生たちを見 ながら、友人たちは、口々にそう嘆き、華やかなフロアーを横目にクラブの隅 の席を陣取りながらグラスを重ねていた。

席についたかれんのグラスも、そんな女子の不穏な気配を感じ取ったのか、 いそいそとサービスに励む男子学生の手によって、早々に満たされ、これな ら、無理してこんなお洒落なクラブで打ち上げをするより、学生相手のパブで 十分だったんじゃない・・と思わず口にでそうになる本音をどうにか押し殺した かれんだった。

そうこうするうちに、どうにか場は暖まり、とっくに華やかなフロアーで踊ること をあきらめたメンバーたちは、なんだかいろいろな相談事を持ち出し始めた。 特に、いつも的確な指摘と明確なアドバイスをするかれんの周りには、悩め る男子学生が集まり、次々と相談事を持ちかけていた。

「かれんーーー、どうしたらいいと思うーーー?」
「あのね、ぐずぐずと結論を先送りにせず、この場合は・・・」
「俺は、この先、どっちを目差すべきだと思うーー?」
「どっちか迷っているレベルじゃ、どっちも目差すべきじゃないかもね。本当に やりたい事だったら、どんな反対があってもきっと目差さざるを得ないわよ。」
「あーーかれんーー、俺の話も聞いてーー」

そんなふうに、優柔不断な男子学生相手に真剣に論議をし、いつの間にか、 最先端のクラブで、場違いなよろず人生相談所の体をなし始めたかれんの姿 を見ながら、周囲の友人たちは、「まったく・・・かれんって・・・なんていうか・・・」と、ちょっと呆れて苦笑めいた溜息を洩らした。

その時、クラブにひときわ大きい歓声が上がった。

よろず相談事引き受け中のかれんも、周囲の学生たちも思わず声のあがっ たほうに目をやった。

「リック!!ね、リックじゃない?!?!」

側にいた友人が驚きの声を上げて指差した先には、大勢の女の子を引き 連れたレウォンの姿があった。

「えーーー、あのゼミもここで打ち上げーー?」
「そういえばそうよねー、うちのゼミの連中より、あっちのほうが、よほどこの 場にふさわしいわね。」
「しっかし・・・相変わらず派手なヤツだなー」
そんな同級生たちの声が、ちょっと呆然とレウォンを見つめるかれんの耳にも 届いた。

「きゃーー、久しぶりーーーリックーー♡」
「わぁーーー、相変わらず、素敵―――」
「ね、一緒に踊りましょう♪」

たちまち、女の子に取り巻かれたレウォンの姿を見て、かれんは、はっと気を 取り直すとふん・・・と鼻を鳴らした。

結局、参加したのね。ゼミの打ち上げなんて・・・って、興味なさそうにしてい たくせに・・・
って、まぁ、私もだけど・・・

そんなレウォンの少し後ろから、シックで適度にセクシーなドレスを身に纏っ たヴァネッサが、まるで、彼女然として付き従っていた。

・ ・・・そうよね。そのために打ち上げに参加するべきだと主張したのは、私な んだから・・

かれんは、そう、自分に言い聞かせ、この光景を冷静に受け取ろうとしていた が、最新流行のクラブの中で、いかにも遊びなれたプレーボーイらしいレウォ ンの姿を見て、「ふーん、水を得た魚みたいじゃないの。」と皮肉めいたコメン トを思わず洩らした。

「あーーあーーまさか、こんなところでかち合うとは・・」
リジーが軽くため息をついた。

「リックって、やっぱり、かっこいいわねーー、ま、でも、あのイケメンがここでく すぶってるこの子の彼氏だとは、誰も思わないだろうけど・・・」
「なら、かれんも見せ付けてやったら」
マイリーが、かれんにカチンとグラスを掲げた。

「この子に、そんな器用な駆け引きができるようなら、こんな喧嘩になってな いわよー」

・ ・悪かったわね・・・

「しかも、このメンバーじゃ、見せ付けるもなにも・・・・これじゃ、ただの人生相 談所だし・・」
リジーが軽く笑いをかみ殺した。

・・・・あいつと私・・・こんな場所で鉢合わせするなんて・・・
でも・・・たちまち、フロアーで女の子に囲まれ始めたレウォンと、悩める男子 学生に囲まれてる自分・・・
なんで、あっちはハーレムで、私の周りは人生相談室なの??

「ちょっと、かれん、ここで修羅場は止めてよね」
「いや、修羅場もなにも・・・私たちの存在は気づかれてもいないから・・・」
「確かに・・・・」

・・・ええ・・・確かに・・・

ライトがまぶしく交差するフロアーにいる派手で人目を惹くレウォンたちのグ ループからは、クラブの隅で、小さく固まっているかれんたちは、人ごみにさ えぎられて見えそうもなかった。

「もともと、地味なうちのゼミの打ち上げには、ここはちょっと・・・」

派手なDJがアゲアゲで煽りたてるフロアーから目を逸らすと、マイリーがぱっ と立ち上がった。

「ね、ここで、レウォンのもてっぷりを見せつけられてるってのも、精神衛生上 よくないから、場所を変えましょう」
「えっ?どこに行くの?」
「女の子だけのお楽しみよ♪」
リジーがにっこりと笑ってかれんの腕をつかんで椅子から立ち上がらせた。

「it's a デザートバイキングーー!!」
「デザートバイキングって・・・こんな時間に開いてるの?」
「なんでも、あるのが、ここアメリカよ!」
「確かに・・・」

そんな友人たちの気遣いが嬉しく、かれんは華やかなフロアーで大勢の女 の子に囲まれているレウォンにさっと一瞥をくれると、つん・・と顎を上げ、精 一杯背筋を伸ばして、人ごみを縫い足早に出口を目差した。

そして・・・

真夜中のパーラーで女の子たちは甘い歓声をあげた。

「うわお!!!」
「きゃー、美味しそうーー」
「ちょっと、今夜はカロリーのことは言いっこなしよ。こんな夜更けにお酒を飲 んだあとに、スイーツ三昧なんて・・・考えるのも恐ろしいけど・・」
「さぁ、嫌なことはぜーーんぶ忘れて、OK, let's eat♪」

その言葉を合図に、女性たちはお気に入りのケーキやらデザートやらを手に 手に、賑やかにgirl’s partyが始まった。

早速、たわいもない話題に花が咲いた。

『セクシーだと思う男性のしぐさ、ベストテン』だの、『これからブレイクする次 世代ハリウッドスターは?』だのという埒のないおしゃべり、ケーキにプリン、 アイスにゼリーにシャーベット・・・チョコレートファウンテンの雫とともに、時が 楽しく流れ落ちていった。

そんなふうに、気の置けない仲間と、楽しいおしゃべりに花を咲かせているう ちに、どこかこわばっていたかれんの心もほっと和んできた。

リジーの男性審美眼に笑い転げながら、かれんは、もう何個目かわからない ケーキを口にしながら、・・・きっと甘いものには、心もふわりと溶かしてくれる 力があるのね・・・と心の中で呟いた。

そのころ、レウォンはクラブのカウンターでツーフィンガーのウィスキーロックの グラスを重ねていた。

「そんなに飲んで大丈夫ですか?」
気遣わしげに、ヴァネッサがそっとレウォンの横に座った。

「なにかあったんですか?」
ヴァネッサが、優しくレウォンの耳元で囁いた。

レウォンは、緩慢な動作でただグラスを重ねた。

「先輩・・・・知ってましたか?私、ハイスクールの一年の時からずっと先輩が 好きだったんですよ。ずっとずっと想い続けて・・・いつか、先輩にふさわしい ladyになって、先輩のheartを掴み取りたいって願っていました。そのために ハーバードにも入ったし、女性として努力もしてきたのに・・・まさか、先輩に 付き合っている人がいるなんて、思いもしなかった・・・それも、真剣にお付き 合いしている女性がいるなんて・・・想像もしませんでした・・・」

レウォンの指が目の前のグラスを掴み損ねてすっ・・とカウンターの上を滑っ た。

その手にそっと、ヴァネッサの手が重ねられ・・
「私じゃだめですか?今夜一晩だけでも、彼女の代わりになりませんか?」

耳元で優しく囁いたヴァネッサの言葉に、ぐらり・・・とレウォンの体が揺れ、カ ウンターに突っ伏した。

「あっ・・先輩、しっかりしてください。」
ヴァネッサが、レウォンの大きな背中に寄り添った。

「私が送りますね・・・ほら、肩につかまってください。歩けますか?」

「・・・・ああ・・・」

おぼつかない足取りで、ヴァネッサに体を支えられながら、レウォンはクラブを 後にした。

「タクシーを拾いますね。大丈夫ですよ。今夜は私が最後までつきあいます から・・」
ヴァネッサが、タクシーの中で、そっとレウォンの手を握った。
がくん・・・と大きく崩れ落ちたレウォンの逞しい肩をしっかりと抱きとめながら、ヴァネッサは流れ行く夜の街の中で、にっこりと微笑んだ。

「あーーーもう、一口も食べられないーーー」
「なにか、辛いものを口にしたいわ!」
「あ、かれんの国の・・・ほら・・キムチ・・・あれ、食べたいーー」

真夜中のパーラーで、心ゆくまでおしゃべりとスイーツを堪能したかれんたち は、やがて、それぞれのBFが迎えにきて、girl’s partyは賑やかにお開きと なった。

かれんは、リジーのBFの車で送ってもらうことになった。
後部座席から、二人のやり取りをそれとなく窺う。

今夜の打ち上げの様子を、独特な視点で語るリジーと、思わぬところに、こだわりを見せるBFのザック二人の楽しくもどこかマニアックなやり取りを聴くうちに、やがて、車はかれんの、マンションに着いた。

「送ってくれてありがとう、気をつけてね」

そう笑顔で手を振り、遠ざかる二人が乗った車のテールランプを見送った。

世の中には、いろんなカップルがいるわね・・・
マンションの階段をゆっくりと昇りながら、かれんは物思いに耽った。
万事評論家の視線で物事を捉えるリジーと新聞記者並みの社会情勢知識と、細菌学者並みに、細かいところにこだわるBFのザック
甘い恋人同士と言うより、討論会でもしているみたいな二人・・ずっとしゃべり続けていた。

あの二人、あのまま、一晩中、語り明かすつもりかしら・・
・・・あらゆることを評論するリジーとは、お似合いといえるかも・・・
一風変わったカップルではあるけれど・・・
ま、私の人のことは言えないけど・・・

微苦笑を洩らしながらも、何故かかれんの胸がきゅん・・と締め付けられた。
・・・今頃、レウォンは、どこで、誰と、何をしているのかしら・・・
ずっと胸の奥で、もやもやとわだかまっていた想いに一気に囚われて、階段 を昇り終えたかれんは、はっと部屋の前で足を止めた。

「・・・・・」

痛っ・・・
頭が割れるように痛い。
夕べは飲みすぎたか・・・
そう思って重いまぶたを開けたレウォンはゆっくりと辺りを見回した。

ここは?
・・・・俺の部屋じゃないな・・・




(2008/11/28 Milky Way UP)

 
 
 

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