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K&R |
こちらは、ドンヒョクとジニョンの娘『かれん』と、その恋人『レウォン』のお話のお部屋です。
二人とも全くのオリジナルキャラクターですので、それでも、OK,OKとお思いの方は、どうぞお付き合いくださいませ。
尚、『レウォン」は、太王四神記で青龍の守り神を演じた「イ・フィリップ」ssiをイメージして創作しております。
かなーーり、個人的な趣味に走ったお部屋ですので、「まーこーゆーのも、ありよねーー」とお考えの方のみ、お入りいただけると嬉しいです。 |
No |
72 |
HIT数 |
1393 |
日付 |
2009/03/28 |
ハンドルネーム |
Library Staff |
タイトル |
ファジー&グレイ K&R 3 |
本文 |
『ファジー&グレイ K&R 3』
「目が覚めた?」 ドアの向こうから、声がした。
かれんが薫り高い珈琲のマグカップを手にベッドの横に立った。
「夕べはびっくりしたわよ。部屋に帰ってきたら、ドアの前にレウォンが蹲ってて・・・」 そうか・・・・クラブを出て・・・よくは覚えてないけれど、俺はここにきたのか レウォンが、痛む頭を軽く振って、目を覚まそうとした。
確かタクシーに乗ったような気がするけど・・・誰かと一緒だった・・のか?
信号待ちで勝手にタクシーから飛び出したような気も・・・
「ドアから、ベッドまで運ぶの、大変だったんだから・・・」 かれんが、そう言ったあとは、珈琲の香りだけが辺りに漂い、お互い無言の時間が、さらさらと流れた。
まるで、お互いの胸のうちを探りあうように・・・
かれんが、そっとマグカップを差し出した。 ベッドから半身を起こし、手を伸ばして受け取る。 そのまま、珈琲を口にするけど・・・ ・・・何も味がしない・・・
レウォンは、カップをサイドボードに置くと、咄嗟に手を伸ばし、かれんを捕まえると、いきなりベッドの中に引きずり込んだ。 そのまま、レウォンはその広い胸にかれんを抱き寄せた。
咄嗟のことに驚きながらも、かれんはレウォンの胸に抱かれたままでいた。
しかし、いつもなら、すぐにもせわしなく動き出すレウォンの手が、いつまでたってもじっと、かれんの肩の上に置かれていた。 その手は、そのまま、ぴくりとも動かずにはいたが・・・ どことなく動き出したそうな気配をはらみ、じっと体を寄せ合いながらも、なにか言いたそうな・・・聞きたそうな二人・・・ そんなもどかしいような気持ちの揺らぎを、かれんは感じ取っていた。
・・・夕べはあれからどうしたの? ・・・誰と、あんなになるまで飲んだの? ・・・その人と・・・なにか・・・・ かれんの心のなかも、そんな質問が渦巻いていた、
聞きたいような、でも、言い出しにくいような・・・・ それと同時に、微かな後悔の念もどこかにあった。
あの約束に固執したのは、ちょっとやりすぎだった・・・と、思ったりもするけど・・ でも、レウォンだって・・・ なんて、ここで今、あの喧嘩を蒸し返すのも、なんだか・・・ でも・・・言い出したいけど・・・やっぱりそれも・・・ なんだか、もやもやとはっきりしない気分・・・
そんな風に、揺れ動く心を抱えたまま、ただじっとレウォンに寄り添うかれんだった。
お互い視線をはずしたまま、二人してじっとベッドに横たわったまま、時間だけが確実に流れていった。
こんなとき、どうすればいいのかわからない かれんの肩が微かに動いた。 私にも、悪いところはあったのかもしれないけど・・・私が謝るのは・・なんだかおかしくない?
でも・・・・
そんな風に、朝の光の中、二人を包む込む時間だけが、ただ静かに歩みを止めずにいた。 そのうち、だんだんと、かれんの胸が波立ってきた。
体は寄り添っているのに、なんだか、心は離れ離れ・・・ かれんは、自分の胸に問いかけてみた。
いろんな余計なものを全てそぎ落として、今、私が本当に聞きたいことは? 二人、離れ離れだったあの夜を越えて、今、私がレウォンに確かめたいことは? その時、夕べのヴァネッサとレウォンの二人の姿が、鮮やかに脳裏に浮かび上がり、かれんの胸の中に、ポツリと答えが零れ落ちてきた。
・・・・私のこと、好き?
呆れるくらいなシンプルな、問いかけ でも、今、確かめたい、たったひとつの大切な真実
この波立つ胸に答えが欲しい・・・
半ば衝動的に、かれんはレウォンのシャツのボタンを震える指でひとつはずした。 途端にレウォンの体がぴくりと反応した。 自分でも驚く大胆な行為にかれんの胸も震えた。
しばらくの沈黙
やがて、レウォンの大きな手がかれんの指をそっと包みこんで、二つ目のボタンへといざなった。
重ねられた二人の手・・・・
促されるように、レウォンの手に包まれたかれんの指が二つ目のボタンをはずした そのまま、三つ目・・四つ目と・・・ すべてはずし終えると、重ねた手で、前をはだけた。
一瞬の静止のあと、絡まりあった二人の視線
次の瞬間、レウォンが、覆いかぶさってきて、二人の唇が重なった。
どこか、ウイスキーの余韻が残る、辛いキス・・・
切なさにかれんの閉じた瞳の奥が潤んだ。
たちまち、堤防が決壊したかのような、レウォンの激しい愛撫が始まった。
本来ならば、こんな風に、体を重ねることで、なし崩しに喧嘩を終えてしまうのは、かれんのスタイルではない。 どちらの言い分が正しいのか、 きっちりと白黒をはっきりさせたがるはずなのに・・・
でも・・・・
激しいキス、せわしなく動き回る手と燃えるような唇、たちまち全身に散りばめられた紅い華々と、熱い吐息・・・
かれんは、レウォンの嵐のように激しい愛撫に翻弄されながら、どこか、スクエアに固まっていた心の一角が、ほろりと崩れ落ち、甘く溶けていくような感覚に溺れていった。
愛されているという確かな実感、ただ私だけを求めてくれているということを全身で確かめたいという心の切ない問いかけに、かれんは身も心も任せてただただ甘く蕩けていった。
やがて、嵐のような愛の時間を終えて、荒い息の元、そっと寄り添う二人だった。 たった今、燃えるように、愛を確かめ合ったけれど・・ 未だに、例の喧嘩の結末は、つけたともいえず・・・ お互い、聞きたいこと、確かめたいことはあっても・・
かれんは、レウォンの広い胸に抱き寄せられながら、いつまでもじっと彼の心臓の音を聞いていた。
数学の公式のように、式があって、答えが導き出される。
私・・・そんな思考を恋愛にも持ち込んできた こんな風に、何も語らず、なにもしない時間・・・
いつも、何か意義のある時間を過ごすかれんにとって、いつのまにか、こんな時間の過ごし方を、しなくなっていたのかもしれない。
ただ二人でいること・・それだけが理由の時間・・・ その時、こつん・・とレウォンが頭をぶつけてきた。
いたっ・・・
次の瞬間、かれんも、自分の頭をこつん・・・とレウォンの胸にぶつけた。
いてっ・・・
でも、お互いのその痛みには、いろんな言葉が溶け込んでいるようで・・・
寂しかった・・や、怒ってた?・・や、ごめんね・・・や、逢いたかった、や・・・そして・・・愛している、や・・・ かれんは、くすっと笑って、レウォンの胸に優しく頬を寄せた。 白・黒はっきりさせたがるこの性格 加えて、意地っ張りで、頑固で、甘え下手
・・・これって、父さんとよく似ているの?
今でこそ、母さんも扱いが上手くなったようだけど、 付き合い始めの頃は、大変だったって言ってたもの
あの喧嘩・・・今、ここで、もう一度問題を提起して、間違っていたのはどちらなのか、はっきりさせるべきなのかもしれないけど・・・
でも、白か黒か、恋愛においては、なんだか、はっきりしないでいたほうがいいときもあるのかもしれない。
お互い、白と黒が交じり合ったグレイのマーブル模様
あいまいで、ぼんやりとしたその境界線の向こうには、二人だけの愛の形かれんは、広いレウォンの胸にそっとキスを落とした。
とくとくとく・・・・と、規則正しい心臓の鼓動 全く・・・あいまいでも、なし崩しでも、愛ってやつには正解はない。
理屈も論理も飛び越えて、そこにはただ、愛と言う真実が光っているだけ・・・
レウォンが、かれんをもっとしっかりと抱き寄せると、満足げなため息を洩らした。
結局、あの喧嘩は、どちらの言い分が正しくて、どちらの言い分が間違っていたのやら・・・
結局喧嘩の結末は、ファジーでグレイなままだけど・・・
・・・・でも、答えはいつだって、ここにある。
レウォンの素肌に包まれて、たったひとつの大切な愛という真実を、今、かれんはクリアーに見つめていた。
********************
「ファジー&グレイ K&R 3」をアップしました。
いやー皆様には、随分とネタばれしていたようで(笑) レウォンは、どこで目覚めたのか?
皆様のレスを読んで「そっかーそれなら、いっそのこと、レウォン→ヴァネッサと一夜の過ち→ヴァネッサ妊娠→自分のように父親のいない子供にはしたくないとレウォンが決断→かれんとの悲しい別れ→それから8年後・・・
というよーな妄想が一瞬頭をよぎりましたが、イタコに「で、8年後、どーするの?」と聞かれたのですが、その先が全く浮かばず、このパターンは断念いたしました(爆)
時間がたてば、もしや突然浮かぶかも知れず、それはいけない!とあわてて結末をアップする次第ですー
とりあえずは、めでたし、めでたし(笑)
次回は、このカップルのひとまずのエピローグをお届けしたいと思っています。
気がつけば、もう12月! あっという間に、今年も終わりですねーー
今回も、お付き合いありがとうございました。m(__)m
(2008/12/05 Milky Way UP)
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