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Dear BYJ |
BAE YONGJOONさんに伝えたい・・・ そんな想いを綴る公開掲示板です(非メンバー様も閲覧できます) |
No |
392 |
HIT数 |
1254 |
日付 |
2009/07/14 |
ハンドルネーム |
どこかのともこ |
タイトル |
【創作】古鄒加(コチュガ)の娘 その壱 |
本文 |
太王四神記18話、 「娘さんは嫁がれたのではなかったですか?」 というタムドクのセリフから、イマジネーションが膨らみ、頭に浮かんだお話です。 はじめましてのご挨拶の後の投稿でいきなり創作とは…と、ちょっとお恥ずかしいのですが、思い切って投稿させていただきます。歴史的考証などは全くしておりません。
お楽しみいただければ幸いです。
皆様、お初にお目にかかります。 私は、高句麗の北の守り、絶奴部族の部族長をしておりますフッケの娘でございます。
ふふ…。 これだけあの父と似たような顔をしておりますから、すぐおわかりになってしまうでしょうね。 一応これでも若い頃は、『姫』と呼ばれた身ではありますけれど、まあ、これほど見た目と合わない呼称も、そうはありませんわね。
…あら、よろしいんですよ。そんなに妙にお気を遣われなくても。もう不惑に手が届こうというような年ですもの。 でも、父も私も見た目こそこうですけれど、父の、高句麗の武人としての高潔さは人後に落ちないと自他共に認めておりますし、私に関して言えば、美しいものを美しいと感じる美意識は、自分にないものを求める人の性でしょうか、人一倍高いつもりでおります。
これでも私、弟のタルグを産んですぐに亡くなった母のほうにも、少しだけですけれども似ておりますのよ。 けれども、当時太子様だった陛下を矢の雨からお護りして亡くなった長兄セドゥルが、兄弟たちの中では最も濃く、その面影を残しておりました。
…あ…、つい兄のことを思い出してしまって… 失礼を致しました。
…代々女子は高句麗王の正妃となる、名門のお家柄なんですよねって? そうなんです。でも私、それについては、大きな大きな葛藤がございました。 少し、思い出話をさせていただいてもよろしいかしら?
* * * * *
先の国王陛下と四部族の長のご子息の殺害を巡るあの大きな争乱がひとまず収束して間もない頃… 太子様が臨時の高句麗王としてご即位なさると父はすぐに王宮に参上し、側近としてお傍にお仕えするようになりました。
王権が仮の形にせよひとまず安定し治安が戻ったので、父は都に別邸を構えることに致しました。 長期滞在には天幕では使い勝手がいま一つですし、何よりも、他の四部族の動きを掴みやすいことが大きかったでしょう。 私は絶奴部の厳しい冬を避け、さっそく国内城の別邸に移り住みました。
それは陽気の暖かな、気持ちの良い春の一日でございました。 ご公務の合間に、正規軍の修練所をご視察されるため、父とコ将軍、そしてわずかなお供を伴われ騎馬でお出かけになった陛下は、父のかねてからの願いをお聞き入れくださり、ご休息のため別邸にお立ち寄りになることになりました。 その際に私は、初めて天顔を拝す機会を得たのでした。
余談になりますが… 陛下が未だ太子様であられた頃、直接お会いできる者はごく限られておりました。 先の国王陛下が、太子様が別宮からお出かけになられたり、客人をお迎えしたりするのを極端に制限されておいでだったようで、部族長の父でさえも、陛下に間近にお会いできたのはご即位後のことでございました。 あ、お話を戻しますわね。
陛下は、屋敷の中庭に面した明るい露台にしつらえたお席に、父と共にお着きになりました。 父は陛下のお許しを得てコ将軍にもお席をお勧めしたようですが固辞され、陛下の背後に厳然と起立され、御佩剣を護持して警護を続けておいででした。あの方らしいといえばらしいですわね。
私は、侍女達と共に供御をお持ちして、お傍に上がったのでした。
陛下はまるで狩りにでもお出かけになるような、身軽なお召し物でおいでになりました。 大国の王と申し上げるよりは、武芸を嗜む裕福な商家のご子息の普段着とでも申し上げたほうがよいような、錆鼠の濃淡の一揃いに、精巧な細工の施された同系色の肩衣をさらりと羽織っておられました。
高い位置で無造作に束ねられた御髪が肩にはらはらとこぼれかかる様… 鼻梁がすっと通り、常に微笑みをたたえたような形の良い唇… この上なく美しい天顔に穏やかな表情を浮かべられ、中庭の春めいた風情を楽しまれているご様子で、背もたれに金の装飾の施された大ぶりの黒檀の椅子の肘掛に、ゆったりと御体を預けておいでになりました。
一言では言い尽くせないような大変なご受難の後のご即位、そして絶奴部以外の四部族は陛下に未だまつろわぬ、全く予断を許さない状況。 そのような御身を全く感じさせないほど、月並みな表現ながら、まさに絵のように美しい様でございました。
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