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B.S.J.
B.S.J.(https://club.brokore.com/bsj)
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サークルオーナー: satovic | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 5773 | 開設:2004.08.05 | ランキング:4(69306)| 訪問者:4280251/9841038
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satovic劇場Annex
satovic劇場Annex
No 40 HIT数 4530
日付 2004/12/11 ハンドルネーム 最高尚宮
タイトル パイライト (1) 超長篇おひまな人限定
本文 ヨロブーン!アンニョンハセヨー!

 これが 今年最後のsatovic劇場です。
 最後はJoonのお望みどおり、善人の顔をした 悪人を 彼が演じられるような作品に
 しました。この役はペヨンジュンにしか出来ません。
 この作品に出てくるJoonは 善人の顔をした悪人ですから 
 みなさんの望むJoonの姿では ありません。
 でも 怒らないでくださいね。これはあくまでフイクションですから。
 現実のペヨンジュンさん、BOF、IMX、日本テレビ、ニューオータニ 等 
 各社のスタッフの方々とは 何の関係もありません。
 もちろん韓国、北朝鮮 どちらの政府機関ともなんの関係もありません。
 純粋に私の頭の中の産物ですので そのつもりでお楽しみください。

 ではでは  Last bell 開演!


Satovic劇場 ペヨンジュン再来日記念作品「パイライト(黄鉄鉱)」

「ペヨンジュンはGOLDである。

金の価値はどこにあるのか?といえば 絶対不変、である。
同様に、どんな環境でも ペヨンジュンは 変わらない。
どんなに忙しくても 疲れていても 絶対にファンの期待を裏切らない。
世の中のいろいろなことに翻弄されてきた世代には、絶対に期待を裏切らないものに
出逢うというのは この上なく嬉しいのである。
彼自身が そのことをよく知っている。 だから彼はAll  or  Nothingなのだ。
完璧でなければ 全く人前へ出ない。出るときは常に完璧でなければならない。
ヨンジュンに会った人はよく言う。まるでペヨンジュンの着ぐるみを着ているみたいだと
それでもいいのだ。絶対不変のGoldであれば。

金の価値はどこにあるのか?
金が金の価値を維持できるのは 世界における産出量が ほどよいという点にある。
今より少しでも流通量が多かったり少なかったりすれば 金はその価値を維持できない。
10作品+1映画+CMちょこちょこ という量は ファンにとって 実にほどよい露出量なのだ。多すぎて おいかけつかれることもなく、チョコチョコとCMが出て新しいイメージを補ってくれる。これ以上でも以下でもないという絶妙なラインを保ち続けている。

金の価値はどこにあるのか?
何からも侵食されない。独自の輝きがある ということである。
ペヨンジュンには その輝きがある。ぜったいに他人とは違うという強い意思がある。
だからペヨンジュンはGOLDに似ているノノ

Joony Stay GOLD!       」


.....と、ここまで読んで 歌島デイレクターは大きな声で笑い出した。

「里子!これじゃすっかりファンレターじゃないか!ワハハハ お前も女だねー!」

「あ、先輩、今の発言、完全にセクハラですよ!! しょうがないじゃないですか!
 もう報道部やめて10年以上も専業主婦やってたんですから、突然電話かけてきて 
 ペヨンジュンの魅力をペラ1で送れっていわれたって できないっすよ!
  .........あっ!」

私は思わず口に手をあてた。「出来ません」は 歌島先輩の前では言ってはいけない言葉だった。「俺達はプロだ。何があってもテレビマンなら絶対に出来ませんって言うな」というのが先輩の口癖だったのを思いだした。
私の顔をみてニヤリと笑った先輩は アーロンチェアに大きくもたれながら言った。

「まだ覚えているところを見ると 言うほどナマッてもいないじゃないか。フフン。
 でも......確かにな.......今回ばかりは 俺も 出来ませんって言いたかったよ。
 どうやってスーパーテレビを5日で作れっていうんだ!
 しかもこのスケジュール表を見てくれよ スカスカなんだ....」

 ホワイトボードに書かれた5日間のスケジュールは余白だらけだった。
25日 来日          外食
26日 記者会見 内覧会 招待客パーテイ 
27日 取材 インタビュー   会食 
28日 ロッテCF 
29日 離日 

「招待客パーテイって?なんですか?」

「そこは撮らせないからって 俺達にも内容は教えてくれないんだ。
 たぶん、スポンサーの重役の奥様だの 政治家の奥様だのが ペヨンジュンと肩を並べて一緒に写真をとるんだろうよ。ファンミもやらずに 一般のファンは寒い中 道端に集めておいて 金になる皆様だけ特別待遇じゃあ 映せないわけさ。そこだけじゃないぜ、ここもダメ、これもダメ、ロッテの撮影の日なんて 朝出るところさえ まわすことができないんだ。これで どうやって70分もの密着番組をつくれっていうんだよ!」

強気の歌島と言われた先輩が 撮れない項目に次々とバツをつけながら語気を荒げた。
なんとか画になる切り口はないものか...バッテンだらけになったホワイトボードを見ながら 私はフッと まるまる空きのある時間をみつけた。

「27日の午後があいてるんですね? 
 写真展に飛び入りしてファンと交流....なんて画がとれそうじゃないですか?」

歌島先輩はボードから目を離さないままで答えた。

「さあな....ソウルで飛び入りのサイン会をしたのは 本人が 会場の入り具合を自分の 目で見たかったからだろ?連日満員の画がワイドショウで流れたら 行く必要ないから
 本人でてこないだろ?」

「先輩!ペヨンジュンはそんな男じゃないですよー!
 前の日は家族にちゃんと会えなかったから、
 わざわざ 翌日サインしに来てくれたんじゃないですか!
 そういう男なんですよ彼は!彼は金無垢の男です!
 日本の家族にも会いますって 韓国のファンにちゃんと言ったんですから来ますよ!」

「...............前言撤回! 
 やっぱ10年のブランクは大きいなー、お前 報道の基本を忘れてるぞ里子。
 よく考えてみろよ、そう言っておけばペヨンジュンに会えるのを期待して 
 日本のファンが会場に集まるだろ?この男はそういう計算高いところがあるんだよ。
 GOLDじゃなくて ただのパイライトかもしれないぜ」

「ひっどいなー先輩!誰もペヨンジュンのこと知らなくて5日じゃ番組作れないっていう から 手伝いに来てあげたのに、あたしのJoonにそんなこと言うなら帰りますよお! 先輩こそ事実を見逃してますよ。この写真展の収益は全額寄付にまわされるんですよ。 何もそんなことしてまで人数集める必要ないじゃないですか!写真集だって即日完売で 宣伝なんて必要ないのに 何のために彼はそんなに人を集める必要があるんですか?」

「そりゃあ ヤツにはナニか 人が沢山集まった方がいい理由があるんだろうよ!
 
事実を見ろよ里子。ソウルの写真展だって 日本からのツアー客がいなかったら
ガラガラだぞ。 韓国人は ムキムキ男の写真展見に来るほど暇じゃないんだ。それがわかっているから IMXはJTBにもちかけて 急ごしらえのツアーを作ってまで客を運んだんじゃないか。”ヒョン、日本から200人ほど連れてきてよ”なんてBOFに言われてるのさ。事実、2日目なんて日本人以外はいなくて ガラガラだったんだろ?やつはそういうところを計算して 飛び入りでサインなんかしに行くんだよ。いつあらわれるかわからなければ ファンはずっとそこに貼り付いているからな。
空港だってそうだろう?成田ってことだけ教えておいて時間だけは言わない。そうすれば ファンは朝イチから空港に貼り付くから 騒ぎが余計に大きくなる。徹夜組も出るかもしれない。テレビ的にはオイシイ画だよな。各局揃って放送しちゃうよ。本当に静かに来日したければ 成田も羽田も言わなきゃいいのに 場所だけ教えて時間はいわないんだから 朝からずっと迎えに来とけって言ってるのと同じさ。頭のいい男だよ」

「先輩! うがち過ぎですよ!あたしはね、報道やめて よーくわかりましたけど、人を疑いすぎるのは私たちの悪い癖ですよ!IMXはね 前回 渋公でファンミやった時に こっぴどく警察から叱られているから時間は言わないって約束させられてるんですよきっと。」

「ワハハハハ!渋公でファンミやったのか?あそこは渋谷署と代々木署の管轄の境界だから あんなところで騒ぎをおこせば 両方からダブルで怒られるぞ。」

「だから到着時間を言わなかったんですよ。孫さんも律儀なもんじゃないですか?」

「律儀すぎて涙が出るよ。俺達にすら到着便を教えないんだから どうやって密着しろっていうんだよ」

「えっ?密着班なのに到着便も教えてくれないんすか?今日のTBSじゃKE 何便とか言ってたけど」

「そりゃ予想だよ。教えてもらえないからデタラメが言えるのさ。本当に便名を教えたら解禁時間まで報道協定かけられて出せないだろ?おれたちにわかっているのは 4時にオータニ入り。それだけだ。とにかくガードが硬くてお手上げだよ。あとは韓国取材班に期待するしかないな......。」

ため息まじりで 先輩がコーヒーに手をのばした。その隙に時計に目をやるともう8時。塾にいってる長女が帰ってくる時間だ。そろそろ帰らなければと思い 紙袋の中身をテーブルに出し始めた。

「はいはい、そんなことだろうと思って 資料を作ってきましたよ。
明日から韓国に行くのは2班でしたよね?ちゃんと2部コピーをとってあります。
これだけあればペヨンジュンの「知ってるつもり?!」が作れますよ。   
これが デビューからの作品の一覧表と CMのDVDね。これは 本人がサイトにあげた直筆手紙のファイル。生育歴は このクレアの特集に全部出ているし、これが私が韓国で探した同級生と関係者のリスト。それから 本人自伝として出回っている日刊スポーツのインタビューは全くデタラメですから、信頼できるのは こっちの月刊朝鮮のインタビューぐらいですね。あとは....」

「お前これ、全部 趣味で集めてたの?」

「はい そうですけど?」

「これだけあったら本が一冊書けるじゃないか?なんで仕事にしないんだよ?」

「.........そうですね.......でも.......家族ですから。家族を売るわけにいかないでしょ?
だからせめて こんな殊勝な心がけを汲んで、インタビューには連れていって下さいよ!1人くらいまぎれてもわかんないでしょ?」

「お前、IMXの孫社長とは顔見知りだって言ったよな?」

「ええ、一度御会いしてますけど?」

「じゃ、ダーメ!ファンだってバレバレだろ?」

「あっ!そ、そっか.....」

歌島先輩に孫さんのこと話すんじゃなかった....。後悔先に立たずとはこのこと。

「ま、オンエアが終わったら 収録素材見せてやるからさ、それで勘弁してくれよ」

「わかりました。そのかわり先輩、がんがん回しといてくださいよー!
 ミーハー嫌いの私が ペヨンジュンに何でこんなにひかれるのか?
 それが 今の私の最大の研究テーマなんですから!」

「わかった、わかった。雷がなっても喰い付いたら離れない スッポンの里子は
 引退しても まだまだ健在だな。ワハハハハ!」

 豪快な歌島先輩の笑い声が響くスタッフルーム を後にしながら
 私は少し寂しい気持ちもしていた。

 ひっきりなしにかかってくる電話.... 全局が同時にみられるモニターの壁....
 かつて私が座っていた席には 顔も知らない若いデイレクターが座っていた。
 結婚して 報道記者をやめてからこの10年は ひたすら子育てに専念してきた。
 だがしかし、去年の12月にペヨンジュンに出逢ってからというもの 不思議な魅力に
 とりつかれ、その源を知りたい!なぜ日本の女性達がこんなにも 心揺らされるのか
 その根源が知りたい!と思い、自分なりに取材を続けてきた。どこに出すあてもない
 資料とメモの山..... ペヨンジュンのことなら誰にも負けないほど よく知っている。
 今すぐにでも その席に座り10年前と同じように取材をはじめれば 誰にもまけない
 原稿を書く自信がある!現役で仕事を続けていれば、そのインタビューは
 絶対に私がとっていたのに...!だがしかし、スタッフルームに私の居場所はなかった。
 我が身のふがいなさを思うと 汐留のビル群の灯が 涙ににじんで見えた。
 夕食は.......長女の好きなオムライスにしてやろう....
 卵の上にケチャップでハートを書いて.....
 具の中にちょっぴりキムチを混ぜてやろう....遠いソウルに思いをこめて....
 それが 今日の私に出来る精一杯のことだった。


 怒濤の来日が終わり 私は再び スタッフルームを尋ねた。
 
「先輩!お疲れさまでしたー!いい番組でしたねー!ファンとしてお礼いっちゃいますよ。ありがとうございました!あの「選択肢は2つしかないっ」っていうの名言でしたよ。まるで映画のワンシーンを見ているみたいで最高でしたね!ATP賞いけちゃうんじゃないっすか?」

「だろうー!俺もあれを聞いた時にはしびれたね!いい男だよ ペヨンジュンは! 家族思いでさ、あんなスター 日本にはいないな!」

「へへへ、ファンのことを家族って呼ぶなんて 先輩もすっかりファンになっちゃいましたね?私の言うこと 少しはわかったでしょう? たぶんね、あの事故がなければ 彼はきっとヒルズの会場にいって、日本のファン達にもサイン会をプレゼントしてくれたと思いますよ。」

「そうだな、そういう男だな、あれは。本当に金だよ。里子も人妻になって男を見る目がついたよなー。昔はわけのわからんブラスやブリキみたいなのにばっかりひっかかっていたけどさ....」

人を鉱物に例えるのは 歌島先輩の昔からの癖だった。懐かしいこんな軽口のやりあい...

「先輩!またセクハラですよ!人妻かどうかなんて関係ありません!」

「ワハハハハ!とにかく あの事故のおかげで番組的には助かっちゃったよ。
 密着って言いながら 部屋の中には一歩も入れてくれないんだから、尺が足りなくて
 まいったよ。あの事故がなければ 韓国でとれる分を厚くしなくちゃ成立しないと
 思ったからさ、おまえからリストをもらった中学、高校時代の恩師とか そういうの
 全部まわったぞ。結構つかわなかった素材あるから ゆっくり見ていけよ」

「ありがとうございまーす!じゃ、このブース借りますね」

私はテープの山をかかえてオフラインブースにはいった。昔は徹夜で作業するAD達のタバコの煙でモニターが黄色くなっていたものだが 全社禁煙の時代になって デジタルのモニター画面は無機質な青白い光をはなっていた。

私はまず成均館大学時代の友人達のインタビューから見始めた。

「ヨンジュンさんは すごく映画作りが好きで、僕達と一緒に短編映画を一本作ったんです。その時に主人公の役をやってくださいって言ったら 賞がとれない映画には出ないって冗談で断られちゃいました。」

アハハハ....そんな冗談言うんだー。一緒にふざけてみたいなー....。

「結局 僕に監督をやらせてくれて 自分は プロデユーサーをやってくれたんですけれど、自分なら 将来映画を作るときに、半分の予算で 迫力のある リアルな映画を作るアイデアがあるって言ってました。だから プロデユーサーの才能もあるんだと思います」

韓国取材のテープだけでも 2時間近く楽しんだ。そして7本目のテープをかけると それは成田からの高速道路の映像だった。ヨンジュンの乗ったBMWの左斜後ろにピッタリとくっついてカーチェイスを繰り広げている。

--------アレッ? 思わず私は目を疑った。

都内でおりるはずが行き過ぎてしまい 再び高速に乗ろうとする時、運転手が料金所のおじさんに 何か渡しているように見えたのだ。もう一度巻き戻して見てみる。やはりそうだ。何かA4の封筒くらいの大きさのものを渡している。なんだろう?何回か巻き戻し、あまりに目を凝らしたので 疲れてしまった私は スタッフルームへいったん出ていき、コーヒーをいれた。歌島先輩は 自分のデスクのところで電話につかまっている。

何気なく散らかった大机の上を見ていたら 成田のJoonの生写真がころがっていた。
おおお!!!素敵だー! さすがにプロが撮ったものは違うねー!と うっとり。
電話が終わった先輩に 私はすかさず写真を見せて 猫なで声で頼みこんだ。

「せんぱーあーい!この写真くださいよおーん!玉緒のオネガイッ!」

「誰が玉緒だよ、気持ちワリーなー!いいよ、それどうせ どこにも出せないやつだからもっていきな。」

「え?どうして どこにも出せないんですか?」

「フイルムが悪かったらしくてさ、星が飛んでるんだよ」

確かに、何枚かの写真には 細かいしぶきのように白い星がとんでいる。ハッ!私はそれを見て思いだした。何日か前に 成田にいってきた家族からもらった生写真にも 同じような現象が起きていた。手帳にはさんでおいたその写真を ごそごそと取り出すと 確かに同じような星がとんでいる。スタッフルームの写真と2枚を見比べながら 私の脳裡では何かアラーム信号のようなものがともった。

「先輩....前にもありましたよね、こんなこと....。これ、成田でファンがとった生写真なんですけど、こっちの写真と同じように星がとんでるんですよ。両方ともフイルムのせいにしては 似すぎているような気がするんですけど....。前にも こんなことありましたよね?なんでしたっけ?」

うしろから覗きこんだ先輩の顔から急にのん気さが消えた。
しばらく無言だった先輩が顔をあげた時、私は彼の脳裡にもシグナルが光ったのを知った。

「スリーマイルだ。」

「えっ?」

「お前と一緒にスリーマイル島の原発事故の取材にいった時のこと、覚えているか?」

「あっ!」

私は小さく声をあげた。スリーマイル島の原発事故の取材の時、放射線を受けたフイルムには小さな白い星がとんでいた。まさか、あの日、日本のどこかで原発事故が?

「先輩、考えすぎですよ。だって...それなら 報道陣のカメラにだって星がとんでるはずじゃないですか。」

「バーカ。今どきのカメラは全部デジカメだよ。俺はポジのフイルム自体をタイトルバックに使おうと思っていたから フイルムを発注したけど、今時フイルムでとってるカメラは殆どないよ。」

「あ、そういえばこの写真をとった人も 写ルンです!で撮ったって言ってたから フイルムですね。」

「一番近いのは東海村か....。」

「先輩!それは考えすぎですよ!だって あの時も 星がとんだりするのは よほどの至近距離で被爆した場合だけだったでしょ?それに、ほら、この大韓航空機の着陸の映像を見てくださいよ。吹き流しが画面の右から左に流れています。ってことは この方角だと南東の風です。東海村からだと風向きは逆です。第一そんなこと起きてたら 熱とか吐き気とか集団で具合の悪くなる人達が出てますよー!ペヨンジュンどころの騒ぎじゃないでしょ?」

「そりゃそうだけどさ....。」

イスにふんぞりかえった先輩は まだ納得がいかないという顔で コーヒーを啜った。

「それより先輩!これ見てください これ! この料金所のおじさん ヨンジュンの車から何か受け取ったんですよ。サインじゃないですかね?何かいい話がきけるかもしれないから あたし聞いてこよっかなー!」

「高速券渡しているんじゃないの?」
「いいえー。この車ね、VIP用なのにETCを積んでいないもんだから、習志野の料金所でも 船橋でも、ほらね、料金払っておつりもらっているんですよ。だからチケットってことはないと思うんです。きっとサインですよー 王子ったらやさしいわーん!」

「いいねえ、主婦の取材は暇ネタで!お気楽なモンだ。それにしても 何でこの運転手は
 おりるところ間違えちゃったのかねー?俺はそっちの方が疑問だよ。普通 プロの運転手だったら、霞ヶ関で降りるよな。ズンズンいっちゃうから 本当にジブリ美術館にいくんじゃないかと思って心配しちゃったよ」

「そうですよねー。成田じゃあキッチリと ワイドショウの生放送がはじまるタイミングで出てきたでしょ?4時にオータニ入りだったら ワイドショウの時間内にホテルの入りまでを中継で見せるつもりかと思ってましたよ。」

「そこまで狙うか? ペヨンジュンおそるべし! ワハハハハ」

「とにかく明日 料金所に話を聞きにいってみたいんで、このおじさんの顔、
 マビカで起こしてもいいですか?」

「ああ、使っていいぞ。今はな マビカなんて言わないんだよ。キャプチャーって
 言うんだ。山中!お前手伝ってやれよ。里子がキャプチャーつかいたいんだとさ。
 とってやってくれる?」

歌島先輩が手招きしたのは ちょうど通りかかった山中デイレクターだった。私が現役でいたころは まだADだったのに 今では いっぱしの報道マンだ。

「わあ、山中君ひさしぶりねー!結婚式以来じゃない?奥さん元気?」

「おひさしぶりです....ハハハ 去年離婚しちゃったんですけどね」

全くマスコミの連中と来たらライフスパンがすべて短い。こういう時は聞かなかったふりをして...っと。テープと写真をもって山中が戻ってくるのにも5分とかからなかった。
私がいた頃よりも すべてが早くなっている。もう今職場に戻ってもついてはいけまい。

「おまちどうさまでしたー!里子さん また仕事はじめるんですか?こんな古い事件ひっぱりだして」

「えっ?これペヨンジュンの素材だよ。6日前のホヤホヤの画だよ」

「でも....この人、高橋洋一でしょ?ほら、あの北朝鮮のテロ事件の時 容疑に浮かんだ...。一緒に取材にいったじゃないですか?」

山中の手から写真をひったくったのは歌島先輩だった。

「本当だ。確かに似てるな....。少し痩せてはいるけれど.... 高橋だ。どうして高橋が
 ペヨンジュンの車から封筒をもらってるんだ?里子、お前すぐ用賀の料金所に当りを
 とってみてくれ... それから山中、今 調べている新潟のな....」

ワクワクして来た...。私はやはり この 狩りをするような感覚が好きなのだ。情報をおいかけ、おいつめ モノにしていく時の感覚がたまらなく好きなのだ。結婚してから10年間、忘れていた熱さがよみがえってくる。受話器を手にとると 私は高速公団の用賀の料金所に電話をかけた。

「あの...すいません、そちらで先日、不払いをしちゃったものなんですけど....。その時お世話になった職員の方にお礼を申し上げたいと思っていたもので....25日の午後3時半ころに のぼりの一番右のブースにいた方は いらっしゃいますでしょうか....」

スラスラと口をついてウソが出てきた。まだ 取材の腕はなまってはいない。

「ああ、三好さんですね?三好さんは....あの日から きていないんですよ。」

「えっ?きていないというと?」

「三好さんは いつも霞ヶ関にいる方なんですけどねー あの日 突然シフトの都合で  こっちにまわされちゃいまして、そしたら えらく怒りましてねー
 それ以来 霞ヶ関にも顔ださないし、こちらにも出てこないしで、困ってるんですよ。
 おたく お知り合いの方ですか?」

丁寧に礼を言ってから電話を切り 私は呆然とした。つまり あの職員は ヨンジュン達が通る時刻に 霞ヶ関にいたはずだったのだ。だが 急な移動で用賀にうつされた。それがヨンジュン達が急に進路をかえた理由だとしたら....?彼等は あの封筒を渡すためにわざと道を間違えて用賀までやってきたのだろうか.....

山中は三好の氏名を控えると 写真をもってどこかへ消えた。

歌島は里子の顔を見た。里子の顔はすっかり報道記者にもどっていた。
事件のはじまりだった。
   

     つづく....

 
anmayu
深夜にドキドキしながら読みました~こ、これはサスペンス?まるでノンフィクション~リアルだわ~! 2004/12/14 01:00
hangan228
ドキドキ・・・・次はどんな事件が・・・あーこの胸の高鳴りは・・・ 2004/12/13 23:30
ayu4
無意識に(3)までプリント指示してました。光熱費通信費無断使用...イケナイ私☆帰りの電車で読みふけって降りるのを忘れそう。。。 2004/12/13 20:11
ayu4
今13日20時。会社です!!!!おkaphaなので、アップに今気づいてこれから読むんです。 2004/12/13 20:10
J1011
待てども届かぬ写真集・・それより気になるこの続き・・お願いです!satovicさん、現在の進行状況だけでも公知して下さい! 2004/12/13 11:09
manarei
プリントアウトして、娘にも回覧。我家でsatovicファン急増中。 2004/12/13 05:33
mappy111
里子!!早くぅ~どうなるの!! 2004/12/13 00:26
最高尚宮
ハッ!ど、どうして私をお笑いの底なし沼にひきこむのよー!これはサスペンスなんざんす!(ううっ....ゆ...誘惑が....お笑いの....) 2004/12/13 00:08
最高尚宮
daidai さん そこかよ!に爆笑。kattiさん ウルトラヨンヨンは出てきません....のつもりだったけど.... 2004/12/13 00:06
chinsimuro
少し暇なので途中まで読みました。よみ終える頃に続編望む。たのしみ!! 2004/12/12 23:29
katti4
わ~ドキドキ~~次回はクールなJoon登場でしょうか。何だかウルトラヨンヨンも現れそうな予感が・・・? 2004/12/12 22:06

satovicさんの「ものかき魂」「書きたい度」が熟したみたいですね。ミステリー大好きです。期待してまっす! 2004/12/12 15:47
leaf877
なんだか生々しいフィクションでございますね~^^satovic様、写真集の感想、イメトレの②でございました。ううぅぅ…(涙) 2004/12/12 12:49
ぽんちゃん
里子様、いやsatovic様、あまりにリアルすぎて・・・でも、でも、早く続きを・・・ううぅ~、禁断症状がぁ~~~ 2004/12/12 11:51
元祖daidai
ポッターの不死鳥は読む気合が入らなかったけど、これはいけます。ページをめくらなくてもいいし・・(←そこかよ!笑) 2004/12/12 09:02
元祖daidai
『ミーハー嫌いの・・・』まったく同じです。その研究の答えが分ったら教えて・・でも円周率のように永遠かなぁ~。 2004/12/12 08:59
920mew
うー!つかみだけでどきどきします。左の口角あげて、にやっと意味深に薄笑いするjoonが浮かびます。続きを・・早くぅ! 2004/12/12 08:41
purema
これ、BYJだけにしまっておくのはもったいないです。来年まで待てない!! 2004/12/12 06:53
jjosefine
そうそう、あの時孫様、その封筒ちょっと邪魔・・・と思ってました。あぁ、謎が謎を呼ぶ・・わくわく^^。 2004/12/12 01:40
ishito
すごいです~!もうこれは「来日公式ガイドブック」satovic著?にしてはどうでしょうか。 2004/12/12 00:53
nirin
独り身の夜を楽しんでおられるのですね。つづく・・・早く読みたぁ~い! 2004/12/12 00:47
ririn44
え~つづく~、早く読みた~い!ワイドショーでみた車が走ってる映像、目にうかびますヨン! 2004/12/12 00:10
Rei1018
里子!がんばれ。特ダネを逃すなよ 2004/12/11 23:57
keito320
ぎゃ~っ、ごっ、ご無体なー!早く続きを~(@@)! 2004/12/11 23:36
ariel
あぁ~悪の影が忍び寄る... 2004/12/11 23:13
color
いつも、私なりに答えを考えて、次回のsatovicさんのスレで答え合わせするの好きなんですよ・・・あ!告白しちゃった 2004/12/11 23:13
color
年末なのに、大掃除しなくちゃなのに・・(T_T)・・おぉ~また私の頭の中が×△○※□(>_<)!う~~この続きを考えないと落ち着かない! 2004/12/11 23:09
tattatta
ヨンジュンssiはどの様に登場するのでしょうか。楽しみです。 2004/12/11 22:26
shiosai
その封筒って、成田におなり~の時に孫様が顔を隠すようにあるいは何かの合図の様にカメラにヒラヒラさせて持ってたあれ?怪しい~! 2004/12/11 22:25
みくりく
急な来日には隠されたなぞが・・・続きが楽しみです。! 2004/12/11 22:13
サザエ
おもしろいです。里子は、satovicサンですよね。高速の話は、本当の話?ありえる・・ような、続きおまちしてま~す 2004/12/11 22:09
puneuma
すご~い。satovicさんって天才ヨン。おひまじゃないけど、しっかり読みましたヨン。 2004/12/11 22:07
yjkj
えー!!どうして「つづく・・」なんですか!!この気持ちで来年まで待て、と? 今年最後といわず私に安心して年末を迎えさせてーT_T 2004/12/11 21:44
ronabyj
スパイ大作戦、大好きでした!楽しみです~。ドキドキ タイトル気になります。 2004/12/11 21:35
Allegretto
う~ん、やっぱり面白い!続きが読みたくてうずうずします。いろんなことよくご存知で絶対作家になるべきです 2004/12/11 21:35
minako375
きゃほ~ワクワクするわ~ヨンジュンssiの少し意味ありげな口元が目に浮かびます。続きを楽しみにしていま~す。 2004/12/11 21:33
mimi77
すごーい、わくわくです。里子さんの活躍が楽しみ。ヨンジュン氏はどのように… 2004/12/11 21:28
9085699
展開が速くておもしろいです~。おひまな人でなくてもよんでほしい! 2004/12/11 21:07
tsujisan。
続きを楽しみにしております・・・・ 2004/12/11 20:57
ryomiha
satovicさん、本業で、年末を締めくくるんですね。ヨンジュンの再来日には、国家レベルのmissionがあったのでしょうか!? 2004/12/11 20:50
yuu050
あはぁ~satovicさんの頭の中だぁ~いすき(爆)善人面した悪役スパイしかないでしょうって勝手に思っちゃいました。続き楽しみ!! 2004/12/11 20:45
sae345
satovicさんの才能は、サスペンスにも・・・・ 成田での映像にも封筒があったような? 2004/12/11 20:30
roses
里子はもっちろんsato(vi)co さんですよね~。続きが楽しみです。 2004/12/11 19:58
eastvally
エ~ッ!! スゴ~イ感動サスペンス??「つづく...」がショックで...。satovicさま、悪役ヨンジュン氏が本当に出てくるのでしょうか? 2004/12/11 19:47
86okt♪
わ~っ蘇りますよ!あの高速料金所付近での一件に何が?写真に白い☆って?里子のモデルは?ミステリー(-.-;) 2004/12/11 19:10
ゆめちな
おもしろーい!これは、お歳暮ですね? 2004/12/11 18:48
 
 

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