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メンバー |
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書き込み |
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No |
35 |
HIT数 |
852 |
日付 |
2005/04/24 |
ハンドルネーム |
iwashinyan |
タイトル |
『クロス』 『喪失』 『バチカン広場』。 |
本文 |
今の僕は、今日という日々をどう過ごしていいかが分からない。
妻のベットの脇で1日中読書をするのは、わざわざソウルから来てすることじゃない。
かと言って、妻の寝顔を見ながら彼女との会話を思い出して微笑んでいられるほど・・僕の精神は強靭でもない。
どうしていいか分からないから、僕は妻の寝ているベットから離れる。
妻が寝ている病室の前の廊下を端から端まで歩きまわる。
・・・歩き足りない。
そのまま病院中の廊下を1階から最上階までグルグルと歩きまわる。
乱れる気持ちとは反対に、僕の足は規則正しい歩幅で右足と左足を交互にクロスさせている。
病院の中を歩きまわる僕の両足。
妻と彼女の中を歩きまわる僕の愛情。
歩いている僕とすれ違う看護士さん達が礼儀正しく挨拶してくれる。
みんな家族があって、そして彼ら(彼女)達は働いている。
僕にも妻がいて、そして働いてきた。
妻に事故が起こるまでは。
僕自身の中に愛情の事故が起こるまでは。
妻が寝ている病室へ引き返す途中、担当の看護士とすれ違った。
「今、奥様の様子を見てきたんですよ。今日は顔色が良くて良かったですね。」と言う。
「奥様・・だんだん元気が良くなってきましたね。」とも言う。
「おととい・・奥様が言ってらしゃいましたよ。病室の窓から見える庭のこと・・」
「庭・・?」
「はい。 『庭の芝生が緑色になる頃までに退院できたら・・』って。」
僕は・・・どう答えたらいいのかが分からない。
今の僕には答える材料が見つからない。
「あとでまた、奥様の病室へ行きますからね。」と言い、看護士さんは廊下の奥へと消えていく。
僕はその後ろ姿を見送る。
そして・・・妻への申し訳ない思いと、彼女と生活する憧れに心を引き裂かれながら、妻の寝ている病室へと向かう。
僕の心の奥が望んでいるのは、全てが整理整頓され、誰にも後ろ指を指されないで彼女と生活できることだ。
妻がそれに同調してくれればと思う。 しかしそれは妻が僕を失うことを意味する。
事故で彼を失い、さらに僕を失うことに妻が耐えられるか・・僕には自信がない。
だけど、妻が同調してくれなければ・・僕は彼女を失う。
・・・・・・・・そして、二度と彼女に巡りあうことはない。
今の僕にあるのは、世界中の誰にも話せない秘密と暗い過去の恥だけだ。
多少なりとも信仰心があれば、告解を受けに教会へ行くところだけども、僕の罪の告白を聞けば、どんな司祭さんも怖気づき、司教様のところへ行くことをすすめてくるだろう。
それともバチカンだろうか? バチカンなら、揺れてる僕のための部屋があるかもしれない・・・。
・・・その夜、僕はバチカンの広場に雪が降り積もる夢を見た。
天から落ちてくる雪の中で彼女と僕の妻の2人が、涙を流しながら僕を見て笑っていた。
彼女たちの涙が雪の粒になり、風に吹かれて僕の足元に降り積もっていく・・・
鐘の音が・・雪の降り積もる広場いっぱいに響きわたっていた。
おちまい
iwashinyan
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ゆこまる
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混乱する現実のインスと、夢の世界の対比がいいです!鐘の音が心に響きました。 |
2005/04/25 17:12 |
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yukity
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幻想的な雰囲気がたまらなくキレイです~。悲しくて、でもキレイな映像が浮かんできました! |
2005/04/24 21:36 |
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ayu4
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涙が雪の粒に...なんてきれいなんでしょ。湖に雨が溜まるウォンより、もっともっとせつなインス。 |
2005/04/24 18:16 |
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86okt♪
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そう…,鐘の音を聞いてインスはどんな決断をするのかな…二人のうちどちらかを選ぶ?それとも放棄?リ~ンド~ン リ~ンド~ン |
2005/04/24 12:39 |
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purinnssi
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インスは どんな思いで 鐘の音を聞いていたんだろうね? せつない |
2005/04/24 07:11 |
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