容量 : 374M/400M |
メンバー |
Total :5773 |
Today : 0 |
書き込み |
Total : 12076 |
Today : 0 |
|
|
No |
37 |
HIT数 |
746 |
日付 |
2005/04/24 |
ハンドルネーム |
ryomiha |
タイトル |
[インスの日記より抜粋] 空蝉 |
本文 |
2005年4月○日
愛するソヨンへ
妻の意識の戻らない、あの雪の季節は、もう一人の苦しみを抱えた人がいた。
最初は、互いの顔すら、見ることも無く、唐突な人生の霹靂に、ただ、立ち竦んでいた。
事態が、日々、明るみにされるにつれ、僕も、君も、同じ、懊悩に陥る運命となった。
ただの運命共同体だからではないよね。
ソヨン、君は、痛々しい程に、傷ついていた。そして、僕も。
言葉を交わし、見舞いの時間も重なって、やがて、僕たちは、新たな意識を互いに感じ始めた。
ソヨン、そうだよね。
これは、誰も逆らえない共有の感覚だったんだ。
病院の外へ、初めて、二人で、出た時。まだ、雪が残っていたね。
語らずとも、互いの気持ちは、急速に、牽引し合っていた。
そして、その連れ合いの回復を 望む気持ちが、段々、希薄になっていたよね。
ソヨン、いけないことなのだろうか?僕たち、二人だけの未来を考えることは。
裏切られたからではなくて、ソヨン、君を見ていると、僕の心は、また、未来に向かって
生きていこうと、心から、感じられるんだ。妻とではなくてね。
それを確信していたんだ。君のか細い手に 初めて触れた時から。
インス
(やがて、半年の歳月が流れ、妻は奇跡的に回復し、インスは、ソウルでの生活に戻った。)
2005年○月○日
ソヨン、君は、今頃、一人で、どうしているのだろう。
妻がいても、僕の心は、動かない。空蝉と同じだよ。日々の心の空虚感。
今でも、君の許に、駆けて行きたいこの衝動。僕は、同じソウルの街の中にいて、君を失い、
僕の心は、行く当てもなく、彷徨し続けているだけだ。
あの短い春の病院通い。君といられるのなら、いつまでも、
妻の回復なんてなくてもいいと思っていた。
ソヨン、二度と会えぬまま、心の中で、君を思うだけなのだろうか。
僕は、もう、君以外、誰も抱きたいとも思えない。
キム・インス
|
nirin
|
|
日記につづらなければならない程の思い。切ないです。空蝉・・・源氏を思い出してしまいます。 |
2005/04/24 21:13 |
|
|
|