| 容量 : 374M/400M |
| メンバー |
Total :5773 |
| Today : 0 |
| 書き込み |
Total : 12076 |
| Today : 0 |
|
|
| No |
66 |
HIT数 |
2538 |
| 日付 |
2005/04/29 |
ハンドルネーム |
Pisces☆ |
| タイトル |
彼女（ソヨン）の指 インスから |
| 本文 |
昼から時おり、淡く舞っていた雪は、闇が濃くなるにつれ、激しさを増している。
インスは、2階廊下のスジンの病室を目の端にとらえながら、顔は、窓ガラスを
白く覆うほどの雪の向こうを、じっと眺めていた。降りしきる雪の間の暗闇に
ぼんやり浮かび上がる公園の街灯。昼間、ソヨンと歩いた公園・・・。
僕は、何を言いたかったんだろう・・・。何を求めていたんだろう・・・。
ただ、彼女の儚さが・・・、彼女の心の中の琴線が、かすかに震えると、そのまま、
僕の心の琴線に伝わって、同じように震えて音を出すのを 僕は聴いていたのだ
ろうか。彼女が外に出すのを恐れるように隠している響きを、僕はその時、誰よりも
、僕のものとして感じていた気がする・・・・。
ふっと、下を向いて哀しい微笑を浮かべて、インスは、ゆっくり、タバコを消した。・・・・・
ソヨンに何かを話したかった訳ではない・・・・。隣でゆっくり、同じ歩調で歩いて
いたソヨンの手の甲が、僕の手にかすかに触れた時、確かに、彼女の悲しみが
僕の心に溢れるように流れ込んできて、僕は、彼女の手をとらずにいられなかった。
小さな柔らかい細い指の彼女の手は、僕がそっと握ったままになっていた。彼女の
鼓動が彼女の指から、僕の心に静かに震えて伝わってくる。僕の心が大きく震えそう
になった瞬間、僕は、彼女の手を,更にしっかりと握り締めていた。彼女の手は小さくて、
ほっそりした指は僕に握られるまま、じっと何かを考えるように、少し緊張を含んでいる・・。
しばらく、そのまま歩いていると、ふっと彼女の手が柔らかく動き・・・そして、僕の手に・・・
ゆっくり指を預けてきた。先程まであった、緊張感が暖かく解けてきていて、彼女の僕を
気使うような優しさが、彼女の指先から伝わってくる・・・。
、深呼吸を一つして、インスは窓の外から、廊下を眺めた。スジンの病室へ一度、
戻る時間だ。彼女の病室の方へ、2，3歩、歩き始めて、又、雪の舞い散る窓の外に
ゆっくり目をやると、急に向きを変えて、反対側の3階に通じる階段の方を歩いていた。
3階の確か・・・左から二つ目の部屋・・・。ほとんどの病室のドアが閉まっている中、
その部屋は、半分開いて、廊下に明かりがもれている。少しためらった後、そっと覗くと、
柔らかなゆったりした白いカーテンの向こうに、酸素マスクをつけて寝ている人が見える。
聞こえるのは、規則正しい ドッドッという機械の音と、時おり、激しさの増した雪が
窓にぶつかる音・・・。
どの位、眺めていただろうか。不意に、カーテンが大きくゆっくり揺れて、開いたカーテンの間から、
女の人の白い横顔と、細い手が見えた。ソヨンだ。ソヨンの手が、目の前のベッドに置かれている
男の人の大きなごつごつした手の甲を柔らかく包んだ。そして、ソヨンの細い指が、
何回も手首から指先までゆっくりとなで始めた。・・・・・少し、伸びをして、男の人の額に
かかった前髪を上にかきあげて、白い指が、額から鼻先を通り、唇にゆっくりさわる。・・・・・
・・・・・・息苦しくなり、僕は、黙って、急いで病室を離れた・・。来るのではなかった・・・・
来るのではなかった・・・・。
胸の中の熱くて凍った塊が、どんどん大きくなり、僕は、荒い息を吐いて、階段の途中の
手すりにつかまった。
3階では、ソヨンがじっと主人を見つめながら、背中で、去っていくインスの足音を聞いていた。
昼間のインスの大きなしなやかな手が、どんどん自分の中で鮮やかになるのを意識しないでおこうと、忘れようと努力しながら・・・・。
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
・・・・・よく考えたら、ソヨンのご主人は、酸素マスクをつけているのかな・・・・。まあ、ここは、
ご都合主義で、ついでに公園が病院の2階から見えるということも・・・ありと言うことで
・・・・・・・・・。
|
 |
Pisces☆
|
|
|
ogakoさん、今、気付いたのですが、手や指って結構書き方でなんていうか・・・ですね。私は、品行方正真面目な人です。多分 |
2005/04/30 17:13 |
|
|
ogako
|
|
|
手を握る、手をなでる、手の伝えるメッセージがすごく切ないですね。 |
2005/04/30 13:06 |
|
|
Pisces☆
|
|
|
ayu4さん、ありがとう☆ソヨンさんが実はこっそり酸素マスクを外していたら、これは、サスペンスになっちゃう所でした。危なかった。 |
2005/04/30 02:50 |
|
|
ayu4
|
|
|
階段の手すりにつかまるインスを演ずる王子を思い浮かべました、せつない！ **創作大賞ですからマスクでも何でも有りと思うヨン～♪ |
2005/04/30 00:01 |
|
|
|
開設サークル数： 1238
サークルオーナー： satovic |
サークルタイプ：
公開
|
メンバー数：
5773
|
開設：2004.08.05 |
ランキング：4(69306)|
訪問者：4636062/10196849
ブログを見る