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B.S.J.
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四月の雪せつなさ大賞!
四月の雪せつなさ大賞!
No 70 HIT数 3076
日付 2005/04/30 ハンドルネーム purinnssi
タイトル 陽炎
本文



夏の盛りも過ぎた。

妻が・・・・・退院をして2ヶ月。

形だけは もとの生活が戻ってきた。




病院で目覚めた彼女は 事故前後の記憶と一緒に 亡くなった彼のことも忘れていた。
なぜ ソウルにいたはずの自分が ここで横になっているのかが判らないと、
困惑した目に 嘘はなかったと思う。

ただ、今まで 誰にも譲らなかった僕の助手席には 座れなかった。

退院の日、長い入院で増えた荷物に埋もれるように リアシートに座って

「そこは・・・・なんだか だめみたい。」

と、助手席を目線で示した。

がら空きの助手席に ホッとした僕は 何を思ってたんだろうか。




明日は またサムチョクへ 行かなければ・・・・

被害者の方の法要があるんだ。 
 
どんな顔で その場に・・・とは思うが、退院後の妻との 始めての遠出になる。


妻が退院する前に ベッドを買い換えた。

ダブルベッドでは ゆっくり出来ないだろうからと

しかし 僕の本心は どこにあるんだ。

同じ部屋で休むことに 以前のような穏やかさは感じない。





「あなた、行かなきゃだめ?」

この期に及んで と 苦い気持ちがのど元にせり上がってくる。

「だめだ。
 君は覚えていなくても 謝罪しなくてはいけない。」

「・・・・・・・・・」

困惑した顔のまま リアシートに体を埋める君が 憎いのか 可哀想なのか。

僕は、やりきれない思いでアクセルを踏む。



日に焼けたアスファルトに 陽炎が立つ

交わす言葉もなく 僕達は 目的地に着いた。







法要が済んで、あちらの方の

「もう、来ないでください。」

との申し出が、幾分気分を軽くしてくれた。

確かに、僕達が謝ったからと言って、亡くなられた方は 帰ってこない。

思い出を鮮明にしたくは無いだろうから。



妻は 早々にリアシートに収まっている。

あちらの方の視線が 耐え難かったんだろう。

鉄の箱に守られて ホッとしている様子に、僕は腹の底にある怒りの火が また点り始めたのを感じた。



運転席に座ろうとして、ふっと上げた視線の先に・・・・・・

・・・・・・・・・・・彼女の姿があった。

悲しく微笑んで 静かにお辞儀をして、

バス停まで歩くのか、ゆっくりと背を向けた。

スローモーションのように目に焼き付いて 僕はしばらく動けなかった。

「あなた? 帰りましょう。・・・あなた?」

妻の声に我に返ると、彼女は角を曲がろうとしていた。

彼女の姿が 見えなくなった。




 
僕は無言で シートに着き 車を発進させた。

彼女の消えた角を曲がらずに まっすぐに車を走らせる。

熱い太陽の熱が また 陽炎を作る。


疲れたのか 妻はシートで寝息を立て始めた。

僕のサイドシートには

いつの間にか 彼女の姿が有った。



陽炎のように 向こうの景色を見せながら

こちらを向いて微笑む彼女がいた。



運転をする 僕の太股の上に 柔らかく彼女の重さを 感じていた。 




********************************************************************

こちらが気になると チュンサンに帰れません。
 これで 終わりにしなくては・・・・・
 しかし、purinnの妄想は 終わってくれるかな?



 
purinnssi
公式 再開 おめでとう☆~” 2005/05/28 08:45
purinnssi
お元気ですか?公式再開が待ち遠しいです。そろそろ撮影も終了でしょうか。 2005/05/27 12:29
purinnssi
ogako様 う~ん インスはどちらで生きていくんだろう・・・このままでは長くはつづかないと思うのだけれど。 2005/05/01 12:18
ogako
現実の世界が陽炎のようにゆがんで、かすんでいく。インスにとって妻が現実なのかソヨンが現実なのかまさに陽炎ですね。 2005/05/01 11:47
purinnssi
ottokke様 ありがとうです。記憶を無くしても 感覚で覚えている事故なのでしょうね。 2005/05/01 02:06
purinnssi
chapiy様 あつ~い時期 お盆のころですが、どうでしょうか?太腿にまで感じる彼女を 彼は忘れることが出来るのでしょうか? 2005/05/01 02:02
purinnssi
ayu4様 こういう時、どんな顔になるんだろうって 思ったんですが。 うまくいったかな? 2005/05/01 01:58
ottokke
車からのアングルでのストーリー、その視点がいいですね~。 2005/04/30 23:58
ottokke
助手席がキーワードですね。座って欲しくないインスは思いつきますが、そうか、妻も座れないんですね、確かに・・ 2005/04/30 23:55
chapiy
座る人のいないサイドシート、陽炎、太腿に感じる彼女の手の重さ・・・・・くぅ~感じさせて頂きました。 2005/04/30 23:35
ayu4
ソヨンとの逢瀬さえも現実か幻だったのか、purinnssiさん同感ですよー 2005/04/30 22:57
ayu4
不倫相手の記憶を失ってしまった妻と、元の生活を続けねばならない残酷さ、つらいですねこのインスも... 2005/04/30 22:56
purinnssi
futako様 素直に許すとは思えなくって、でも 別れるとも思えない。ソヨンとのことで妻への後ろめたさも有るでしょうしね。 2005/04/30 22:40
purinnssi
moondrops様 肌に ぬくもりや重さを残す関係 なんだか そんな気がしたんですが、インスとソヨンは本編ではどうなるんでしょうか。 2005/04/30 22:37
purinnssi
ゆこまる様 罪を忘れた傷ついた妻にその罪を突きつけることは出来ないでしょうが、許すことも出来ないんじゃ無いかなと思いまして。 2005/04/30 22:33
futako
インスの妻への複雑な思いが ソヨンへの想いを余計に切なくさせますね。 2005/04/30 20:30
moondrops
「妻」って何なのだろう・・・考えてしまいました。陽炎に重さまで感じてしまうなんて・・・切ないですね。 2005/04/30 18:22
ゆこまる
怒りの火、陽炎、決して単純でも美しいだけでもないインスの屈折した切ない世界が浮かび上がってきます。 2005/04/30 18:11
purinnssi
Marinche様 太股に重さを感じられる人 書いた後で赤くなってしまった。『君を見ていよう』のつづきということで、どうでしょう。 2005/04/30 15:43
purinnssi
fairwind様 傷ついた妻との生活を すべてをあからさまにして断ち切ることは インスには出来ないでしょうから。 2005/04/30 15:33
Marinche
サイドシートの陽炎に胸がいっぱいになりました…。うう、切ない・・。妄想、私も止まりません(;_;) 2005/04/30 15:29
purinnssi
ジュリー様 「四月の雪」あり得ないこと 彼女との逢瀬は インスに取って 現実だったのか 陽炎だったのか。 2005/04/30 15:27
purinnssi
子供を送りながら・・・・いつもふさがっているサイドシートが もし、空いてしまったらと。 2005/04/30 15:16
fairwind
現実の妻と 儚い陽炎のような彼女。複雑な想いを抱え生きていくインス、切ないですね…。 2005/04/30 13:09
ジュリー
。「April snow」積もることのない雪…抱かせるのは陽炎の如くゆらゆらと心にたゆとう愛、彼女の面影…。素敵ですね。 2005/04/30 12:54
ジュリー
インスの心の葛藤を感じながら読ませていただきました。インスの優しさとせつなさ、揺れ動く心の襞…。切ない美しいstoryです。 2005/04/30 12:53
 
 

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