渋谷に降り立つと、もう１１時を少しまわっていた。
今回の記者会見には約1５0社が登録している。
各社記者２名+カメラ１が許されているので、３００人は越える人数がくるはずだ。
中には名うての、テレビレポーターさん達もいるだろう。
どうやって質問しようか...　とにかく元気よく立ち上がっちゃうに限るかな...
でもねえ、ガツガツするのは、みっともないわよねえ....

人をかきわけて前へ出るのは、里子の一番嫌いなことだった。
だが、今回はちょっと違う。１００人の質問をあずかっている、と思うと
なんとかしたいと切に思う。自分のためなら出来ないけれど
誰かのためだったら、何でもできるような気がする。
だから、人は家族が欲しいんだろうな...　
ヨンジュンが、ファンのことを家族と呼ぶのは　こんな気持ちもあるかもしれない。
とにかく、この会場に来ることができない家族ヨロブンのことを思ったら、
なんでもできそうな気がする。

NHKの西門に回ると、そこはすでにウリ家族とおぼしき人達で溢れていた。
ああ、みんなにスモールライトをあてて、かたっぱしから、リュックにいれてつれていって
あげられたらいいのにね...（でも、けっこう重いね、そのリュック....^^;)

そう思いながら、人ごみをかき分けてNHKに入ろうとすると、
里子の顔をみて、ざわめく人達がいた。
まーた２ちゃんねるとかinolifeに書かれちゃうんだろうな...
野菜宗教円のオーナーが、NHKの会見に潜り込んでいた!　
IMXから手をまわしたんだろう、とかなんとか....。

孫さんなんて「四月の雪」の会見の時にソウルでお見かけしたのが最後で、
それ以来　影さえ見たことないし、飛行機で会った時だって、
ソウル行きの便名が韓国公式で発表されてから予約しただけだし、
孫さん自身が飛行機の中で私に会って驚いていたくらいなのになあ...
いろいろ勘ぐる人達はいるのよね..。

今回、里子が会見場に入るのは「韓国ドラマ通信」の記者としてもらったお仕事だった。
太王四神記の記事を書くために、何日もかけて２４話を３回づつ見直して、
全話のカット割の構成表も作った。これで監督のインタビューをしても
全てのシーンについて、互角に語りあえる自信がある。
そういう努力があって、記者会見のような仕事をもらえるわけだが、
言ってもせんないことだった。

記者会見には誰もが入れるわけではない。
ならば、せめて家族の声だけでもヨンジュンに届けてあげたい...
そう思った里子が、ヨンジュンへの質問を募集すると、サイトやメールで
たくさんの質問が届いた。中には絶対に聞けないような三択もあった。

「トットちゃんは窓際、孫さんは瀬戸際、ヨンジュンさんが気になるのはナニ際ですか？」

聞けるか！こんなーん！

「ヨンジュンさんが一番好きなのは円ですか？ウオンですか？ドルですか？」

聞けないっちゅに〜〜〜！(^^;）

ほんまにもう~~~!私をおちょくってど〜するのよ〜〜ったくもう〜〜〜！

韓国のボンゲでは、「何を着て寝ていますか？」「ブリーフですか？トランクスですか？」と
セクハラまがいの質問がとびかい、やや困った王子の表情と冗談まじりの答えに、
会場中が湧いていたが、今回はドラマのプロモで来ているのだから、
ドラマ絡みのことを聞かなければならない。

里子自身が一番聞きたい質問は、ヨンジュンと監督が、
なぜ、あえて「戦わないヒーロー作り」にチャレンジしたのか？ということだった。

「広開土太王の石碑を見ると、歴史上のタムトクの人生は、領土拡張戦争にあけくれた
　好戦的な王だと思いますが、このドラマでは、戦うことを嫌う王として描いていますね。
　戦わないために、これだけ腐心するヒーローというのは新しい形だと思います。

　バッサバッサと切り捨てて勝ち進むサクセスストーリーの方が、痛快感があって簡単だと
　思うのですが、監督は、なぜあえて　戦わないために苦労する王という　
　あたらしいヒーロー像つくりにこだわったのですか？

　また、それは昨年６月の製作延期発表の時のお言葉によると、ヨンジュンさんの提言による
　路線変更のように受け取れましたが、その前はどんな形で描く予定だったのでしょうか？

　また、主演俳優とはいえ、台本にそこまで意見をつけてくる俳優は少ないと思うのですが、
　うるさいとはお感じになりませんでしたか？

　同じことをヨンジュンさんにもお聞きしたいんですが、主演俳優といえ、
　台本に対してそこまでの介入は普通は越権行為にとられると思います。

　うるさい役者というイメージがつけば、仕事もやりにくくなると思うのですが、
　なぜ、あえて、そこまで踏み込んだ発言をなさったのか、お聞かせいただけませんか？」

これが里子が聞きたい質問だった。
ヨンジュンの頭の中が知りたい。彼の考えていることが知りたい。
ペ・ヨンジュンという人間をわかりたい。それが一番の願いだったのだ。

だが、この質問は、やや重かった。一対一のインタビューでならば、
じっくりと聞き込みたいところだが、記者会見に求められているのは、
そういう要素ではなかった。

今回は、太王四神記のプロモーションのための来日だが、
テレビ各社は、人気者であるヨンジュンをテレビに映して数字が稼げればいいだけであり
他局のドラマの宣伝の片棒なんぞかつぎたくはないのだ。

だから、数字のかせげる美味しいコメントがあれば、ヨン様の露出を多くしたいところだが
ただのドラマの宣伝しかなければ、おざなりなコメントで、短く終わってしまうだろう。

つまり、家族のためにヨンジュンの露出を多くしたいと思ったら
ヨンジュンに、何か面白いことを言って貰わなくてはならない。
いいシュートを決めてもらうには、いいパスを出さなくてはならないのだ。

しかし、すべりやすいヨンジュンのことだ....ヘタなパスでは会場がしらけてしまう...
そう思って、寄せられた質問のリストを見直してみると、うってつけのが一つあった！
ちゅんちゅんさんの書き込んだ質問で「スジニのように後ろから抱きつかれたいか？それとも
キハのように前から抱きしめられたいか？」という質問だった。

ドラマにもうまく絡めてあり、これなら、きわどさギリギリでテレビ受けもよく、
どっちに転んでも絶対すべらない質問だった。

模範解答としては「すぐに抱きしめ返してあげられるから、前からです」と王子様になるか
「個人的な経験から言えば...後ろだったようなきがします」と、歳相応のところを見せるか？「後ろからの方が切ない感じがしますね」と家族を喜ばせるか、
「前からだと、お母さんのような気がしてしまいそうで」と、とどめをさすか...などなど、
　何か具体的なことをひとつ添えられれば、前と言おうが、後ろと言おうが見出しが立つ。

いちばんつまらないのは、どっちでもいいです　というそっけない答えだが、
ものは言いようで、「女性から抱きつかれるのであれば、どちらからでも歓迎ですよ」、と、ちょっと男っぽいところをのぞかせられれば、男性からも好感度アップだし、
「服を着ている時には後ろからでもかまいませんが」...ってなことは.....
言わないわよね....ハハハ、、、^^;