JOONが、夜中に会いたいと電話してくる時は、
心が疲れている時が多いから、
YUMIは、何があったかは聞かずに、
JOONのもとに駆けつけることにしている。
YUMIは、コートをはおり、マフラーを首に巻くと
足早にJOONのマンションに、向かった。
YUMIは、JOONのマンションから、
歩いて5分くらいのところに住んでいた。
マンションに着き、インターホンで、
JOONの部屋番号を押す。
「はい。」
「私。」
「入って。」
マンションのガラスの扉が開いた。
YUMIは、エレベーターに乗ると、
最上階のボタンを押した。
JOONの部屋のドアのブザーを押すと、
JOONがドアを開けてくれた。
「入って。」
YUMIが、ドアを閉めていると、
JOONが、後ろから抱きしめてきた。
「JOON・・・。」
YUMIは、JOONが後ろから回した手に、
自分の手を重ねた。
「JOON、疲れが溜まってるでしょ。
体が熱っぽいわ。
お部屋で、早く休んだ方がいいわ。」
「うん。。。」
「はい、お薬飲んで。」
YUMIは、解熱剤と水の入ったコップを
JOONに渡した。
パジャマに着替えたJOONは、
ベッドに腰掛けて、薬を飲んだ。
ベッドに横たわったJOONは、
YUMIの手を握りしめて、
「朝まで、そばにいて。」
と、甘えた声で言った。
「ええ、わかったわ。
こうして、そばにいるから安心して。
早く寝て、早く元気になって。」
「うん。おやすみ。」
「おやすみ。。。」
YUMIは、JOONが眠りにつくまで、
彼の手を握っていた。
純粋無垢な少年のようなJOONの寝顔を、
YUMIは、しばらく眺めていた。
閉じたまぶたに、長く美しいまつ毛。
筋の通った高い鼻。
閉じられた厚みのある綺麗な形の唇。
すべすべで、きめの細かい肌に、
いつまでも、撫でていたくなる柔らかな髪。
静まり返ったベッドルームで、
彼の穏やかな寝息だけが、聞こえている。
YUMIはJOONのベッドの横に座ったまま
少し眠ってしまった。
目を覚ましたYUMIは、ベッドルームの時計を見た。
もうすぐ、夜が明ける時間だ。
YUMIは、キッチンに行き、
鍋にお粥を作った。
そして、置手紙を書いた。
~JOONへ~
おはよう!
今日これから、仕事に行きます。
鍋にお粥を作ってあります。
今日は、おとなしくしていてね。
仕事が終わったら、また来ます。
~YUMI~
YUMIは、ベッドのサイドボードに、
置手紙を置いて、
静かにJOONを起こさないように、
ベッドルームを出た。
合鍵でドアに鍵をかけると、
いったん、自分の家に戻った。
シャワーを浴び、着替えると、
トーストとコーヒーの
軽めの朝食を済ませ、
メイクをして、身支度を整えた。
そして、車で仕事に出かけた。
夕方、仕事を終えたYUMIは、
スーパーに寄り、食材をたくさん買い込み、
JOONのマンションに、向かった。
JOONの熱は下がっていて、
顔色も良くなっていた。
JOONは、パジャマの上にガウンを羽織って、
リビングのソファーに座り、
テレビのニュース番組を見ていた。
YUMIは、キッチンで夕食の支度をした。
体が温まるチゲ鍋を作った。
二人は一緒にチゲ鍋を食べた。
YUMIは、夕食の後片付けを済ませると、
リビングに行き、JOONの隣に座った。
YUMIは、JOONの手を取り、
JOONの顔を見つめると、
「JOON、あさってから、またお仕事でしょ。
あなたが、仕事の手を抜けないのは、
よくわかってるけれど、
頑張りすぎないでほしいの。
あなたの大勢の家族(ファン)も心配してるわ。
疲れたら立ち止まって、休憩してもいいのよ。
いつも全力投球で、頑張るあなたは輝いていて、
とっても素敵よ。
でもね、たまには、肩の力をぬいてほしいの。
あなたの心と体が心配なの。。。」
「ありがとう、YUMI。
僕は、そんなに柔じゃないよ。
それに、君が陰で支えてくれているから、
頑張れるんだ。」
JOONは、そう言うと、YUMIの手を両手で包み、
「YUMI、これからも、ずっと僕のそばにいてほしいんだ。
何があっても、僕は君を全力で守るから。」
JOONの突然のプロポーズに、
YUMIは、返事が出来なかった。
何て答えたらいいのかわからなくて、
そして、うれしさと戸惑いが
涙になって、あふれた。
「JOON、私でいいの?
こんな私でいいの?」
「うん、君じゃなきゃダメなんだ。
僕には、君が必要なんだ。
ありのままの僕のすべてを
受け止めてくれるのは、
君しかいないよ。」
「JOON、ありがとう。
これからも、よろしくね。」
JOONは、指でそっとYUMIの涙をぬぐうと、
YUMIの背中に、腕を回して、ぎゅっと抱きしめた。
JOONが腕を緩めると、二人は見つめ合い、
ゆっくりと唇を重ねた。
「YUMI、今日は泊まっていってよ。」
「ダメよ。JOONは、もう少しおとなしくしてなくちゃ。
体調が完璧によくなるまで、おあずけよ。
そのかわり、明日は一日中、一緒に過ごしましょ。」
「しかたないなぁ。
今日は、我慢するよ。
でも、もうちょっと、一緒にいてよ。」
「ええ、いいわよ。」
YUMIは、JOONの肩に、
頭をゆっくりと、もたせかけた。
JOONは、腕を伸ばして、
YUMIの肩をしっかりと抱いた。
~おわり~