週が明けて、新しい一週間が始まった。

「ソヨン～。おはよう～！」

セナは、ソヨンが一足先を歩いているのを見つけると、

ソヨンに駆け寄り、声をかけた。

「セナ、おはよう！」

「ソヨン、この間の占い当たった？

　週末のデート、どうだった？」

「うん。当たったわよ。」

ソヨンは、インスとのデートを思い出して、

頬を赤くして、少しうつむきながら歩いた。

「ソヨン、良かったじゃない。

　野暮なことは、聞かないから安心して。

　そっか、いいなぁ。。。」

「ねえ、セナ。もうすぐクリスマスだよね。

　クリスマスプレゼント、何がいいかな？」

「そうねぇ。何がいいかしらね。

　私も、ゴンウへのプレゼント考えなくちゃ。」

～その日の帰り道～

「セナ、ちょっと手芸屋さんに寄っていこうよ。」

「いいわよ。」

「わぁ～。いろんな色の毛糸があるね。

　インスさんは、何色が似会うかしら。。。」

「ソヨンは何をプレゼントするか決めたの？」

「うん。マフラーを編もうかなぁと思ってるの。

　セナは、決めた？」

「まだ、迷ってるの。編み物苦手だし。。。」

「そっか。私が教えてあげようか？

　マフラーなら、簡単だから、一緒に編もうよ。」

「ソヨンが教えてくれるなら

　手編みのマフラーに、挑戦してみようかな。」

「うん、そうしよう。

　じゃあ、セナ、毛糸と編み棒を買おうよ。」

「うん、ソヨン頼りにしてるよ。

　初心者には、どういうのがいいの？」

「そうねぇ、ちょっと太目の毛糸で

　ざくざくと編むのがいいかな。

　時間もそんなには、かからないしね。

　こんなのとか、どうかな。。。」

「へぇ、そうなんだ。ざくざくねぇ。

　いろんな色が混ざってる毛糸も面白くていいね。

　ゴンウは、ダークカラーがいいかなぁ。。。」

ソヨンとセナは、毛糸と編み棒を買うと、

ソヨンの家で、マフラーを編むことにした。

～クリスマス･イブ～

インスは、ＣＤショップでのバイトを

早番のシフトにしてもらい、

３時過ぎにバイトを終えて

足早にＣＤショップを出ようとしていた。

「インス君、お疲れ。これから、デートかな？

　頑張れよ！」

と店長から声をかけられた。

インスは、照れ笑いしながら

「すみません。店長、お先に失礼します。」

と店長に挨拶をして、ＣＤショップを出た。

そしてその足で、ソヨンとの待ち合わせ場所に向かった。

ドーナツショップの前で、小さな紙袋を提げたソヨンが

インスが来るのを待っていた。

腕時計を覗き、時間を確認するソヨン。

ちょっと、早すぎたかしら。。。

待ち合わせの時間まで、あと１５分もある。

クリスマス一色に飾りつけられた街並みを

足早に行き交う人々を、目で追いながら、

インスが到着するのを待った。

インスのバイトが忙しくて

１２月に入ってからは、全然逢えなかった。

電話で待ち合わせの約束をしただけで、

逢うのは久しぶりで、待ち合わせの時間が近づくにつれ

ソヨンは、少しドキドキしてきた。

もう一度、腕時計を覗こうとした時、

ぽんっと、肩を軽くたたかれて、

「ソヨンちゃん、待たせて、ごめん。」

と、インスがソヨンに声をかけてきた。

ソヨンはインスの声に反応して

顔をあげると、インスと目があった。

吸い込まれそうな爽やかな眼差しに

ドキッとして、咄嗟に声が出ないソヨン。

どぎまぎしながら

「あの～。そんなに待ってませんから、

　大丈夫ですよ。」

と返事をするソヨン。

「そっか。それならいいんだけど。

　寒いから、どこかでお茶しようか？」

「そうですね。温かいものが飲みたいですね。」

「じゃあ、カフェまでちょっと歩こう。」

「はい。」

インスの横に並んで歩き始めたソヨンの手を

さっとつなぎ、ジャンバーのポケットに突っ込むインス。

「こうすれば、寒くないでしょ？」

ソヨンは、照れながら答える。

「ええ、とても温かいです。」

二人は通り沿いにカフェを見つけると

お店の中に入り、奥の方の窓際の席に

向かい合わせに座った。

ソヨンがメニュー表を開いて

インスに見せる。

「何、飲みますか？」

「そうだなぁ。ブレンドコーヒーにしようかな。

　ソヨンちゃん、ケーキセットもあるよ。

　クリスマスだし頼もうか？」

「そうですね。ケーキ食べちゃおうかな。

　じゃあ、レモンティーとイチゴのショートケーキにします。」

「僕も、同じケーキにしようかな。。。」

インスは、ウエイトレスを呼ぶと

ケーキセットを２つ頼んだ。

「ソヨンちゃん、バイトが忙しくて、

　なかなか逢えなくてごめんね。

　年が明けたら、少しはバイトが楽になるから

　もうちょっと、辛抱してほしんだ。」

「私は、大丈夫です。電話で話すこともできるし、

　あと、少しですから。。。」

「すまない。バイトが楽になったら、

　この穴埋めするからね。」

「あの。。。クリスマスプレゼント受けとってくださいね。」

ソヨンは、紙袋から綺麗にラッピングした袋を

インスの前に置いた。

「ありがとう。何かなぁ・・・？

　開けていい？」

「はい、どうぞ。

　気に入ってもらえるといいんですけど。。。」

インスが袋から中身を取り出すと

手編みのマフラーがでてきた。

「わぁ～。これソヨンちゃんが編んでくれたの？

　ありがとう。

　僕からも、ソヨンちゃんにプレゼントがあるんだ。」

インスは、ジャンバーのポケットから、

綺麗なリボンがついた小さな箱を、

ソヨンの前に出した。

「ありがとうございます。

　開けてみてもいいですか？」

「どうぞ。」

「わぁ～。かわいい。」

小さなジュエリーケースの中には

シルバーのオープンハートのペンダントが入っていた。

「指輪にしようかと思ったんだけど

　サイズがわからなくて、やめたんだ。

　安いバイト代じゃ、こんなのものしか買えなくて。。。」

「こんなものだなんて・・・。

　とってもかわいくて素敵でうれしいです。」

「気に入ってもらえて、ほっとしたよ。

　これから、どうしようか？

　映画でも観る？」

「そうですね。何か楽しい映画を観たいです。」

「じゃあ、映画館に決まりだね。」

インスとソヨンは、カフェを出ると

映画館に向かった。

インスとソヨンは、ラブコメディの映画を観ることにした。

後ろの方の真ん中の通路寄りの席に座った。

映画が始まると、時々くすくすと控えめなソヨンの笑い声が

聞こえるたびに、ついソヨンの顔を見てしまうインス。

映画より隣に座るソヨンが気になってしかたないインスは、

そっと左手を伸ばして、ソヨンの右手を握った。

一瞬ソヨンが、びっくりしたようにインスの顔を覗いた。

二人の視線が合うと、インスが優しく微笑んだ。

ソヨンがスクリーンの方を見ようとしたした時

インスの右手がソヨンの頬を包み、自分の方を向かせた。

二人の目線が絡み合い、インスがゆっくりと顔を近づけて

ソヨンの唇にそっと口付けた。

照れたソヨンが、うつむいた。

インスは、ソヨンのおでこにキスを落とし、

そっと抱きしめた。

映画館を出た二人は、

ファミリーレストランで食事をした。

門限が早いソヨンをインスがタクシーで送ることにした。

タクシーが自宅に近づいたところで

ソヨンが「この辺でいいです。」と言い

タクシーを降りた。

「インスさん、今日はありがとうございました。」

「ソヨンちゃん、バイトが暇になったら電話するからね。

　じゃあ、またね。」

「はい、じゃあ、またこんど。さようなら。」

ソヨンは、インスが乗ったタクシーが走り去るのを

見届けてから、自宅に戻った。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　～つづく～